業務日誌 ○月×日
9時30分起床 体調はやや疲れ気味。体温他異常無し。
寝付いたのが遅かったせいか、起床が遅れる。
普段なら遅れるとそのまま休むのだが、今日は登校する気になる。
多分学校帰りには寄ってもらえると思うけど、早く彼に会いたいと思う。
何故サードチルドレンが側に居ない事をこんなに不快に感じるのか分からない。
不安、不満、不快、どれも違う気がする。喪失感と焦燥、と言ったあたりが近いのかもしれない。
初めての感情なので戸惑う。
朝食は冷蔵庫の中に有った。
サードチルドレンが作り置きしてくれたらしい。
冷めていたが美味しく感じた。
10時30分 3時間目が始まる前に登校。
12時30分 昼食:コロッケパン、サラダサンド、牛乳 計380円
サードチルドレンと一緒に食事をしたいと思って、そう告げる。
なぜか少し驚いたような表情を見せる。学校で言葉を交わすのは迷惑なのだろうか?
屋上で二人で昼食。近くに人は居なかったので学校では喋らない方が良いのか?と問う。
驚いたのは、私から話し掛けたからだと言う事が分かった。
指摘されてみればそうかもしれない。一昨日までは、彼には用事が無かった。
今は違う。側に居ないと不快になる。だから話し掛けるのは当然だと言うと、理解してくれた。
人前でキスをするのも不道徳に当たるか?と聞くと、そうだと答える。
学校では目立つ事はしない方が良いと言われたが、彼に触れたい気持ちが強い。
向かいの校舎からも見えない給水タンクの裏でキスをした。
彼の性器が硬くなってるのを確認したが、ここで性交は無理だと言われる。残念だった。
16時 終業
図書館に本を返しに行く。
当分は本を読んでいる暇など無さそうなので、新たな借り出しは無し。
サードチルドレンと帰宅。
通学路で同級生に出会い、彼は何かからかわれるような事を言われていた。
何を言われたのかと聞いたが、教えてくれない。
教えて欲しかったので黙っている事にした。
「怒ったの?」と聞かれたのでいつものように「別に」とは言わず「怒ってない」と言って反対側を向いてみる。「拗ねる」と言う感情表現だと本で読んだ。
彼は慌てて
「大した事じゃないよ・・トウジがさ、チルドレン同士、地味だけど似合ってるって」
と聞こえなかった会話の内容を復唱した。満足する。
コンビニではなくスーパーで食料品を買う。
普段は買わない生の野菜や調味料の他、フライパン、手鍋、茶碗などを買う。
彼の料理が食べれると思うと嬉しくなる。同時に空腹を意識する。
18時30分 帰宅
サードチルドレンが食事の仕度をしてくれる。
手鍋で湯を沸かしてレトルトの米飯を暖め、フライパンで野菜を炒める。
肉は嫌いなので食べないと言うと、ツナの缶詰は駄目かと聞かれた。
血の臭いと脂臭さが無ければ大丈夫だと答えると、簡単なサラダを作ってくれた。
私は温かい彼の料理は美味しいと思ったが、彼自身は肉が無くて不満な様子。
レトルトのハンバーグを暖めて彼だけ食べた。
一口試したがやはり好きになれないと思った。だけど同じ物が食べられないのは残念だ。
彼が夕食の片づけを始めたのでする事が無くなり、シャワーを浴びる。
部屋に戻ると湯のみにお茶が入っていた。沸かしたてのお茶は熱くて美味しい。
湯沸かしポットも近日中に購入予定。炊飯器も買いたい。
風呂上がりのままの格好で居ると風邪をひくと注意される。
風邪をひかないようにベットに入ると、彼も一緒にベットの中に来てくれる。
待ちきれないで、私が彼の制服を脱がした。
一日中彼との性交を考えるたびに疼いていた身体を抱きしめられ、深い安堵と満足を覚える。
いつものように手と口で準備してくれたので、性交した。
快感が強まり吐く息が声に変わった後、なぜか彼の名を呼んでいた。
彼も終わる時に私の名を呼んでくれた。満足を覚えた。だが不満もある。
「綾波」よりも「レイ」と呼ばれた方が嬉しい、と思う。
そう提案してもう一度性交してもらう。する、ではなくてしてもらう、だった。
彼は終わってすぐは元気が無く、私の身体にも興味を無くす。少し残念な気がする。
けれど休んでいるうちにすぐに元どおりになるので問題は無い。
放電したバッテリーを再充電するのに時間がかかるようなものだと理解する。
二回目の性交の方が彼が終わるまでに長くかかる。でもそれは不満点では無い。
むしろ長い時間を掛けた方がより強い快感を感じる。
満足すべき内容だったように思うが、気が付いたら眠っていた。
目が覚めてもまだ彼は帰っていなかったので安堵する。
寝ているうちに帰ってしまったら、多分喪失感が強くて我慢できない。
「寂しい」と言う感情だろうか?
良く分からないので自信はないが、多分そういう事だと思う。
気が付いた時には22時を回っていた。
性交する為に私が起きるのを待っていたのでは無いかと聞くと、眠っている間に帰るのが可哀相だったからだと答えた。
だが帰ろうとする彼を引き止めて、無理を言って3回目の性交をする。
だいぶ疲れた様子だったので、彼を下に寝かせたまま私が動いてみた。
これなら、一回づつ上と下が入れ替われば休めるので良いのではないかと思った。
私はとても強い快感に満足したが、彼はまだ終わっていなかった。
続けるかと尋ねたが、葛城一尉が心配するからもう帰ると言う。
そんな時、葛城一尉のことを好ましくなく感じる。
彼の保護者なのだから彼の心配をするのは彼女の業務なのだと分かってはいるのだが、彼が葛城一尉の待つ家に帰るのかと思うと、やはり寂寥感を味わう。
「嫉妬」と呼ばれる感情が、少し交じっているのかもしれない。
玄関で見送って、またキスしてもらう。
その後シャワーを浴びてパジャマを着る。サードチルドレンが選んでくれたものだ。
もう、彼の事をサードチルドレンと書くのは不自然な感じがする。
「碇君」と呼ぶ事にしている。この業務日誌でも今後そう表記する事にする。
23時 業務日誌作成 後 就寝の予定
碇君。 なぜか、ただ文字なのに、そう書く時に心拍が上がった気がする。
碇君
碇君
碇君
文字を見詰めていると胸の中の喪失感を強く味わった。
困惑する。
満たされない感じ。
碇君に会いたい。
いま別れたばかりなのに。
以 上
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