1999.12.10 |
私はブドウ栽培を行っている。私は化学者であるから、農薬の危険性については、周辺の栽培農家より、はるかに深く推測することが出来る。しかし、使用する農薬の一品一品について、その副作用を統一的に調べたことはなかった。 主として、ブドウ農薬の副作用(変異原性、毒性症状、発ガン性、分解性)を調べてみた。 周辺農家の方々にもお知らせしたいと思います。また、ベランダ菜園を楽しんでいる豊かな心の皆様方、そしてブドウの買い出しにお見えになる多くの方の自己防衛に役立つことを切に願っています。更に、高濃度・変異原的大気圏を棲み家とする細胞達への贈り物になれば幸いです。 地球上の生物は、過去数十億年にわたる自然環境との調和の中で、交配・分化・淘汰等が行われ、変化を遂げてきた。この変化の過程において、不連続現象の一つに、細胞内DNAの塩基配列の変化や破壊等に起因する”突然変異”がある。原始時代の自然環境においては、”突然変異”の原因としては、地球外からの各種電磁波(太陽光、宇宙線など)、地球に存在する天然放射性核種(ウラン系列、アクチニウム系列、トリウム系列)からの放射線、火山の噴火や山火事などに起因する化学物質等が考えられた。われわれヒトの細胞は、このようなバックグラウンドの下に形成されてきた。 さて、このような良好なバックグラウンドで生ずる突然変異よりも、もっと高い頻度で突然変異を起こさせるような物質のことを”変異原物質(変異原ともいう)”と呼んでいる。また、突然変異を起こさせる性質を変異原性という。 化学物質の多くは変異原物質であり、この変異原性を調べることにより、ヒトの細胞が受けるであろう様々な負の現象、例えば、発ガン性等を予測することも可能となる。農薬には以下に示すような毒性がある。発ガン性だけを強調して、他の症状を軽視してはいけないと思う。脳障害、中枢神経障害、先天異常の誘起、内臓疾患等々、全てが発ガン性に優るとも劣らない病気であろう。わたしは、変異原性のデータこそ重視しなければならないと思う。 健全な細胞を次世代へ伝達する義務のある我々にとり、変異原性に関するデータは極めて重要である。しかし、質・量とも、まだまだ不十分であると思われる。 毒性症状: 以下に示す調査表から、毒性症状を抽出した。 脳障害、死、昏睡、呼吸不全、呼吸困難、痙攣、血圧低下、運動こう進、中枢神経系障害、発ガン、催腫瘍性、催奇性、先天異常の誘起、男性生殖機能障害、肺組織、腎臓病,肝臓病、甲状腺、消化管、下痢、吐気、コリンエステラーゼ阻害(血圧低下、下痢、流涎)、皮ふ刺激、刺痛、頭痛、胃痛、嘔吐、かゆみ、灼熱感などの顔面錯覚感、眼・気道の刺激、目のかすみ。 これらの症状は、ダイオキシンのところで紹介した病名より、かなり上品(?)なものであり、私が、特に怖れていた、行動異常や老化促進が無かったので少しは安心した。しかし、”脳障害”がそれであったら大変だ。 少しは安心したが、 「やっぱり、農薬は嫌い」 である。 環境問題に関する国や地方自治体の取組は、一昔前より積極的になっている。しかし、均衡ある持続的な発展を求める限り、眼に見えない小さな細胞のことより、眼に見えるムニャムニャのほうが大切に決まっている。したがって、そのような組織から出てくる情報は、”均衡と持続”というフィルターが掛けられていることに注意しよう。この点、週刊誌や単行本等に見られるセンセーショナルな記事にも注目する必要があるのである。 環境影響: 魚類、水生生物、甲殻類、ミツバチ、魚類への生物濃縮、ミツバチり、鳥類。 農薬の分解性: 殆どの農薬が、水や光に対して安定である。農薬は水で希釈して使用するので、水に対して不安定では困るのである。 農薬は加圧噴霧器を用いて、目的とする葉面に吹き付ける。残念なことではあるが、葉面に付着する量より、大気中に散逸する量の方が圧倒的に多い。環境大気に放出された農薬ミストは、水や光りに対する安定性のお陰で、ゆっくりと土壌に蓄積されることとなる。 引用資料は、化学物質安全情報提供システム(kis-net)、国際化学物質安全性カード(ICSC)等である。なお、化学物質安全情報提供システム(kis-net)は、神奈川県環境科学センターが構築したものであり、神奈川県の公害行政の質的高さを感じる。貴重な情報源の一つであった。
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