債権法改正 要綱仮案 情報整理

第21 債務引受

3 免責的債務引受による引受けの効果

 免責的債務引受による引受けの効果について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 引受人は、債務者に対して求償権を取得しない。
(2) 引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
(3) 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務の履行を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

中間試案

3 免責的債務引受による引受けの効果
 (1) 引受人は,免責的債務引受により前記2(1)の債務を引き受けたことによって,債務者に対して求償することはできないものとする。
 (2) 引受人は,免責的債務引受により引き受けた自己の債務について,その引受けをした時に債務者が有していた抗弁をもって,債権者に対抗することができるものとする。
(注)上記(1)については,規定を設けない(解釈に委ねる)という考え方がある。

(概要)

 本文(1)は,免責的債務引受によって,引受人が債務者に対して求償権を取得しない旨を定めるものである。免責的債務引受がされることによって,債務者は,債権債務関係から完全に解放されると期待すると考えられることから,この期待を保護し,規律の合理化を図るものである。もっとも,求償権の発生の有無について一律に定めるのは適当ではなく,解釈に委ねるべきであるとの考え方があり,これを(注)で取り上げている。
 本文(2)は,併存的債務引受についての前記1(3)と同様の趣旨である。

赫メモ

 要綱仮案3(1)(2)の規律の趣旨は、中間試案3(1)(2)に関する中間試案概要のとおりである。
 免責的債務引受がされた後で、債務者が負担した債務を発生させる契約について解除権又は取消権が行使された場合には、引受人の債務もともに消滅するにもかかわらず、解除権等が行使されるまで引受人が引き受けた債務の履行を拒絶することができないというのは不当であることから、引受人は履行拒絶権を有するものと解されており、要綱仮案3(3)は、この点を明文化するものであって、併存的債務引受けに関する要綱仮案1(2)イと同趣旨の規律である(部会資料67A、39頁)。

現行法


斉藤芳朗弁護士判例早分かり