第25 更改
民法第515条及び第516条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。
(2) (1)の更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。
(3) 民法第516条を削除するものとする。
3 債権者の交替による更改(民法第515条・第516条関係)
債権者の交替による更改(民法第515条・第516条)の規律を次のように改めるものとする。
(1) 債権者,債務者及び第三者の間で,従前の債務を消滅させ,第三者が債務者に対する新たな債権を取得する契約をしたときも,従前の債務は,更改によって消滅するものとする。
(2) 債権者の交替による更改の第三者対抗要件を,債権譲渡の第三者対抗要件(前記第18,2)と整合的な制度に改めるものとする。
(3) 民法第516条を削除するものとする。
本文(1)は,債権者の交替による更改が,旧債権者,新債権者及び債務者の三者間で合意しなければならないという現行法の規律を維持しつつ,債権者の交替による更改が債権の消滅原因であることを明らかにするものである。また,本文(1)は,更改の成立に更改の意思が必要であるという判例・学説を明文化することを意図する点において,前記1及び2と同様である。
本文(2)は,債権者の交替による更改の第三者対抗要件を,債権譲渡の第三者対抗要件制度と整合的な制度として,民法第515条の規律を改めるものであり,同条を実質的に維持することを意図するものである。債権譲渡の第三者対抗要件が登記・確定日付のある譲渡書面となる場合にはこれと同じものとなり,債権譲渡の第三者対抗要件が確定日付のある証書による通知となる場合には,同条を現状のまま維持することになる。
本文(3)は,債権譲渡の抗弁の切断について民法第468条第1項の規定を削除することが提案されていること(前記第18,3(1)参照)を踏まえて,同項を準用していた同法第516条を削除するものである。なお,債権譲渡の抗弁放棄の意思表示を書面によってしなければならないとする規律を準用することを提案していないのは,債権者の交替による更改は,債務者が契約当事者として契約に関与する点で債権譲渡との違いがあることを考慮したものである。
規律の趣旨は、中間試案概要と同じである。ただし、債権者の交替による更改が債権の消滅原因であること、更改の成立に更改の意思が必要であることについては、要綱仮案1(3)において表現される。
(債権者の交替による更改)
第515条 債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。
第516条 第四百六十八条第一項の規定は、債権者の交替による更改について準用する。