10月11月と紅葉狩りにうろうろとしていました。近隣の名所を巡ったり
しましたが、「今年は美しい」とニュースで言っているわりにはイマイチのよ
うな気がしないでもありません。まぁ、桜と違って紅葉の見頃は一瞬だからな
ぁ。「声が出ない」程の絶景を見てみたい物です。
そんな中で気に入った所をいくつか。今「豊悦・金田一」で話題の「八つ墓
村」のロケに使われた、岡山県の八塔寺ふるさと村と吹屋ふるさと村です。両
方とも映画のエンディングテロップに地名が出ているにもかかわらず、それら
しい観光客も見かけずのどかなのどかなところです。日本の正しい「田舎」が
ここにはあります。吹屋は宮脇俊三氏の「ローカルバスの終点に」にも登場す
る、銅山と弁柄の街です。なかなか良いところで私ははまってしまいました。
「ラフォーレ吹屋」という宿泊施設もGOOD! 忘れられた街ではあるけれ
ど、その街を愛して止まない人たちの暖かさや優しさが溢れているような街で、
2ヶ月の間に3回も行ってしまいました。
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吹屋ふるさと村です。
一昔前の日本の風景が
ひろがります。
モノクロネガで撮影し、セ
ピアに焼いて年賀状にし
ました。
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さて、温泉です、おんせん。「ラフォーレ吹屋」にも清潔な大浴場はあるけ
れど残念ながら天然温泉ではありません。で、温泉を求めてトラを走らせまし
た。
今回は「旅」誌の’93年2月号「鈍行列車で温泉めぐり」を参考にしてプ
ランニングしました。自ら“スパライター”と名乗る坂本衛氏の「紀勢本線か
くれ湯探訪」を参考にしてバイクでトレースします。
和歌山までは阪神高速湾岸線を使います。関西空港へのアプローチルートで
あるためにとても走りやすくそして景色の良い道です。特に夜景は素晴らしく、
よくTVドラマなどで東京横浜の**ブリッジとかなんとか出てくるけど、あ
んなのめじゃありませんね。大阪湾は全体が楕円形で海の向こう側にも街の明
かりが見えるから風景に奥行きがあって素敵なのです。また、六甲山や生駒山
の存在も大きいのです。これらの山にある建造物の光が風景に立体感を作り出
しているのです。帰りにも湾岸線を使いましたが、その時は丁度日暮れから夜
にかけてでした。四輪で通ったことはあるけれど二輪は四輪と違って視界を遮
る物が少ない分、全身で夜景を視れるからなかなかよろしいです。
りんくうタウンで降りて一般道へ繋ぎます。さて、時間は丁度昼飯時、出来
たばかりの「全日空ゲートタワーホテル大阪」に足を運びました。最近はホテ
ルのレストラン街もリーズナブルになってきて気軽に利用できるようになって
きました。まぁ、これも平日にうろうろできる特権のひとつですが。今日は、
52Fのスカイレストラン「花梨」にて中華ランチを食しました。(1,812円)
食後はひたすら走る、高速や有料道を使わずに有田まできました。ここで、
ガスチャージ。310qで11.2L入りました。27.7q/L、なかなか
の高燃費です。このあと角長醤油の看板を見て湯浅の街を通り過ぎ、広川町井
関の交差点から中津村へと向かいます。途中の寺杣から入った滝原という集落
に「これぞ究極のガイドブックにない温泉」があるのですが、連絡をとる術も
なく今回はやむなくパス、御坊からの道に合流して美山村へと向かいました。
しかし、和歌山県のこのあたり(北西部)には綺麗な地名が多いのです。美山
村、花園村、清水村とそれぞれ由来はあるのでしょうが訪れてみたくなるよう
な地名ばかりです。実は今回の目的はまさしくこれ! 美山温泉、花園温泉、
清水温泉の入湯が目的なのです。
第1湯目は「美山温泉」、今宵の宿である村営の宿泊研修施設である「愛徳
荘」に温泉が引かれています(正しくは源泉よりタンクローリーで運んでいる)
リフレッシュ・エリアの中にある武者屋敷風の「愛徳荘」にチェックインして
まずは一浴。重曹泉のせいか「すべすべ」よりも「ねとねと」に近い感じで、
「美肌の湯」としてでも売り出せば良いとは思うがいかがなものでしょうか。
山向こうに「日本三大美人の湯−龍神温泉」があるし、泉質も似ているのでは
ないかと思います。温泉に入った日は早寝に限ります。おやすみなさい。
明けて二日目、まずは朝風呂。温泉旅館での幸せです。朝からご飯も3杯食
べてトラとの戦いに備えます。実は先日吹屋に行った帰り、初めてトラで雨中
走行を強いられました。そんな中、前が詰まったのですり抜けをしようと路肩
に寄った瞬間リアがズルっといってしまいました。幸いカッパズボンの損傷と、
カウルに擦り傷を付けただけで済みましたが、どうもライディングが基本的に
BAJAなので、トラに乗るときはBAJAと違うんだと強く意識するように
しなくてはいけないのだと勉強させていただきました。まぁ、テク&体力の必
要なマシンではあります。らくちんなマシンでもあるけれど・・・・。
朝靄煙る中出発、椿山ダムサイトの二車線路を軽快に流します。このままR
424、425、371と繋いでもいいのですが、それでは能がありません。
ここはひとつ「暗い谷沿いの1.5車線、車はあまり通らない」とツーリング
マップに記入された寒川集落を抜けて河合湯の又林道へと向かいます。途中の
寒川ですが「純ちゃんの応援歌」のロケ地だそうで、おおよそ「ロンバケ」し
ていない山口智子のポスターが貼ってあったりしました。林道といってもオー
ル舗装なので大丈夫でした。しかし、この辺は林道の宝庫です。BAJAで来
たのであればコース組みが楽しくてしょうがないと思います。
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河合湯の又林道です。トランザル
プでこの手の道を走るのは、はっ
きり言って辛いものがあります。林
道はやはりBAJAですね。ここらへ
んには20KM台の林道が多数あり
ます。走りにこなくては・・・
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林道を出ると龍神温泉です。ここからは高野龍神スカイラインを走ります。
このスカイライン、龍神側と高野側にしか料金所がないので今まで何回か走っ
たことがあるのだけれどもいずれも、途中の林道から入ったり出たりしていた
ために料金を払ったことがありません。しかし今回は大枚620円を奮発して
箕峠まで走りました。標高を800M、900M、1,000Mと稼いでいく
につれて気温が落ちていきます。護摩檀スカイタワーのあたりで標高1,28
0くらいでした。おそらく気温は一桁前半だったと思います。上着はウィンタ
ー仕様でぬくぬくにして行っていたのですがズボンはジーパンのみ。太股が凍
ってしまいました。この後に入った花園温泉では太股がとろけてしまいました。
これだから冬場のツーリングは止められない(^_^;)
その花園温泉ですが、箕峠からR371で稜線を下り(斜度15%以上はあ
ろうかというむちゃくちゃな下り、これで国道?)、R480を金屋町方面に
5キロ程走った所にあります。10時からのオープンに10時に到着した私。
一番風呂です。緋の絨毯を踏みしめ浴場へと向かいます。服を脱ぎガラス戸を
開けると溢れる浴槽に揺らめく湯気、それが窓から差し込む冬の光に輝いてい
ます。朝からこんな贅沢をしていいのでしょうか。ここの泉質もすべすべして
います。結構長風呂しましたが、最後まで私できらめく浴室を独り占めしてい
ました。風邪を引かぬように充分休息して次の清水温泉へと向かいます。
清水温泉は12時半からと聞いていたのでどこかで昼食を取ってからと考え
ました。こんな田舎町で昼食を食べようと思ったら役所の周りにある一膳飯屋
が一番です。清水町でも当然そうすべく街中を徘徊しましたが、お目当ての飯
屋が見つかりません。そこでやむなく「道の駅」に向かい‘日替わりランチ’
600円を腹に収めました。それにしても最近、「道の駅」の整備状況がすさ
まじい勢いですね。けど、なにか違う気がするのは私だけでしょうか。ドライ
ブに必要なサービスを享受出来る場所を期待しているのに、その実お土産屋&
ふるさとレストランという組み合わせが多いように思います。むしろガソリン
スタンドを中心にしてコンビニエンスストアなどを一緒にしたロードストップ
の様な物の方が実際役に立つのではないかと思います。私たちは国道移動の時
の休憩には良くショッピングセンターを利用します。トイレはあるし買い物は
できるし休憩スペースまであるところもあるし、ガソリンスタンドも隣接して
ある場合が多いし重宝しています。まぁ、若干世間の冷たい視線に耐えないと
いけないときもありますが(特に雨降りの時など)
いよいよ清水温泉です。ここは山の斜面に長い杭を打ち込んでその上に八角
形のログハウスが八個乗っかているというユニークな‘空中温泉’です。ここ
も一番風呂を決め込みます。桧を使った浴槽はほどよい大きさで溢れる湯をた
たえています。ここもすべすべタイプの泉質。またも長湯してしまいました。
別棟の休憩室でアイスクリームをかじりながら、またゆっくり休息しました。
これで、今回の温泉行は終了です。R480、370、424と繋ぎ、冒頭
の通り夕暮れ時の湾岸線を走って帰宅しました。帰ってライディングウェアを
脱ぐと硫黄の香りがほのかにしました。不思議に疲れもなくなかなか充実した
行程でした。また、こんなツーリングもしてみたいものです。
〈データ〉
◇美山温泉愛徳荘
・入浴 300円 11〜15時
・宿泊 6,950円から
◇花園温泉
・入浴 600円 10〜21時
・宿泊 10,000円から
◇清水温泉健康館
・入浴 510円 12:30〜21時
鄙びたというよりも地元の人御用達といったような、入浴する人に愛されて
いるような温泉が好きです。
TRANSALP 約500q
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