讃岐うどんと讃州麦酒〜四国・室戸行
       旅に出て「旨いもの」「温泉」「地ビール」とくれば、ツーリングライダー
      でなくてもよだれものです。今や旅に「グルメ&温泉」は欠かせないアイテム
      となっています。
       そこで、今回は讃岐うどんを中心にコースプランを練り、四国の東半分をト
      ランザルプで一周してきました。

       阪神間から四国に渡るにはいろいろなルートが考えられます。明石海峡大橋
      が完成したあかつきには、そのルート構成も大きく変わることだとは思います
      が、現状では1)瀬戸大橋で一気に四国へ渡る方法 2)フェリーで四国に渡る方
      法 3)一旦、淡路島にフェリーで渡って鳴門大橋を走って四国に入る方法があ
      ります。今回は往路に3)を使い明石海峡大橋開通後にはなくなるであろう淡路
      フェリー(須磨〜大磯間)に名残の乗船をし、復路は2)で身体を休めて明日の
      仕事に備えるチョイスを選択しました。

       クレジットカードでサインレス決裁で乗れてしまう「淡路フェリー」 24
      時間運行、約30分間隔の運行等、まさに「海のハイウェイ」といった感です
      が、陸上とのアクセスポイントである「須磨」と「大磯」が余りにも、明石海
      峡大橋の「明石」と「岩屋」に近すぎるために、橋の開通の影響をもろに受け
      てしまうのではないかと思われます。徳島行きの路線特急バスや大手運送会社
      のルート便の利用も多いようです。こういった連中は間違いなく定時運行がよ
      り確実になる大橋ルートを選ぶことでしょうから大変です。我々としては、残
      って欲しいものですがどうなることでしょうか? 大橋の通行料が一体いくら
      になるのか? 余り高いと瀬戸大橋みたいに一回走っただけで、あとは再びフ
      ェリーのユーザーに戻ってしまう、貧乏ライダーの私です。
       須磨を出向したフェリーは、進行方向右手にその明石海峡大橋を眺めながら
      進みます。僅か45分間の船旅で淡路島大磯の港に着きました。さて、ここか
      ら一般国道28号線を進みます。この道、当初は由良まで走りきる予定でいま
      したが余りの流れの悪さに洲本でギブアップ、本四連絡道路に逃げ込む軟弱ラ
      イダーになってしまいました。本当にトラは低速どろどろ走行はいけません。
      「走ってなんぼ」のバイクです。

       四国へは鳴門大橋を渡ります。「二輪車転倒注意」の看板を横目に見て、最
      低速度ぎりぎりで、鳴門の渦潮観賞を決め込みます。けど、3月では渦潮は小
      さかった。鳴門ICから国道11号線を徳島へ向かいます。ここは6車線、白
      バイの歓迎を受けつつひたすら走ります。徳島からは高知へ向かう55号線を
      南下します。昔の55号線は走りづらかった。いやな国道10選に入っていま
      した。都市部のバイパスがなく、右折車線もなく、路線バスが走り、商店街を
      横切るという、典型的な地方都市連絡道路で、白浜までの42号線や美濃・関
      あたりの156号線、夏場の27号線などがこの10選入りというところでし
      ょうか。しかし、この55号線、今は阿南市までバイパス化され快適な道へと
      生まれ変わりました。これで、一気に日和佐・甲浦へ走り込めます。時間的な
      短縮もさることながら、気分的な爽快感が違います。「四国は近くなった」そ
      う実感しました。

       日和佐からは南阿波サンラインを走ります。旧有料道路ですので、中高速コ
      ーナーが続き快適です。ただ、もともと生活感のない道路だったので、無料に
      なった今、最小限の道路維持活動だけでは「うらぶれた」感じがしないではあ
      りません。全国の有料道路が無料になっていくのは歓迎すべきことなのですが、
      もともと観光目的で作られた道は生活感にかけるわけで、手をかけてやらない
      と痛んでいくのも早いような気がします。
       景色は最高です。リアス式海岸に広がる太平洋、はるかに浮かぶ白い船。遠
      くまでやってきたという実感が湧いてきます。街中をちんたら走っているだけ
      では絶対にこんな気持ちにはなれません。日常の景色から離れた情景を目に焼
      き着けたとき初めて旅心が目覚めるのかもしれません。
       このサンライン、途中に何ヶ所か展望台が設置されています。いくつかを通
      り過ぎ三つ目の展望台でトラのイグニッションをOFFにしました。自分とト
      ラだけの静寂が支配します。いや、遠く足元から波の砕ける音が響いてきます。
      マップで自分の位置を確認し次なるルートを頭に描きます。ソロツーリングす
      る私たちには大切な瞬間です。ナビのいないツーリング、情報は自分だけがた
      より、一瞬の判断ミスが大きなタイムロスにつながることもあります。迷った
      ら「止まる、確かめる」が大原則ですが、予め走るルートの地名をそらんじて、
      予想到着時間をシュミレーションしておくと、上手くいくようです。まぁ、調
      子の良いときは、「道が呼んで」くれるので大丈夫ですが(^_^;)   この第3
      展望台、10年ほど前にXLRで来たときにも寄りました。何年たっても、変
      わらない景色、変わってしまった自分。旅に出ると時間の経過を感じさせられ
      ます。

       あとは、R55を使いひたすら室戸岬を目指します。阿佐海岸鉄道の新幹線
      のような高架橋を見て、白浜海水浴場で有名(サーフィン客に落雷!!)な甲
      浦を過ぎたら、55号線は爆走区間に変身します。流れは80ー90KM/h、対向車も
      ほとんどありません。ロケーションは、断崖の海岸線に白波が砕け散るといっ
      た荒涼とした感じです。オーストラリア・ビクトリア州・南氷洋に面した、グ
      レートオーシャンロード、北海道・襟裳岬へ向かう黄金道路。殺伐とした景色
      がそそります。室戸岬も昔のままでした。高校時代に合宿できたロッジも顕在
      です。はずかしいような10代の自分が今にもでてきそうで、なんか懐かしい
      というよりも赤面してしまいました。室戸岬を回り込んで、これも昔は有料だ
      った室戸スカイラインを駆け上がります。バックミラーには圧倒的な大海原が
      広がります。地図通りのとんがった景色が目に飛び込んできます。気持ちの良
      い道です。

       再びR55に戻り、今宵の宿「ピースフル・セレネ」を目指します。ここは、
      林道黄金地帯物部川沿いの195号線に面している、最近得意の「公共の宿」
      で、香北町立による温泉付きのリゾートホテルです。その外観は「セレネ−月
      の女神−」をイメージしたなかなか瀟洒なもので、シャンデリアのさがるエン
      トランスロビー、噴水がある吹き抜けのレストラン、それぞれに調度の違うゲ
      ストルームなど、豪華なリゾートホテル並の設備が揃っています。そして、天
      然温泉です。当日は月曜日ということもあり16室ある客室に泊まり客は私を
      含めて2組5人だけ。到着後・就寝前・起床後と合わせて3回風呂に入りまし
      たが、毎回ひとりっきりでした。泉質は少しヌメリのある濃厚泉です。やはり、
      厳寒期ツーリングの温泉は身体に滲み入ります。とろけてしまいました。また、
      晩・朝の食事についても質良共に満足のいくものでした。高知からも近いし、
      これから南四国を攻めるときには使いたい宿です。
       翌日、パーキングに止めたトランザルプは凍っていました。尼崎ではもう、
      春の息吹を感じる季節に入ってきていますが、ここ四国山地はまだまだ冬の装
      いです。しかし、キリっと晴れ渡った空の下、マシンを暖気させながら旅装を
      整えていく瞬間、う〜んいいですね! この気持ち 日常から離れ旅の空の下
      にいる自分を感じます。そんな中、トラをR195高知方面に走らせました。


←室戸岬
大きな太平洋が広がる
明るく開放的な所です。
ピースフルセレネ
メルヘンチックな外観に
似合わず、内装調度は
なかなか凝っています。
気持ちのいい宿です。
       今日は、香川県綾上町の讃岐うどんの「山越」と香川町の地ビール「讃州地       ビール」を目指します。高知道が開通した今、R32も快適なハイウェイとな       りました。大型トラックや観光バスがいないだけでこんなに道は活き活きする       のです。もちろん、平日とあって他県ナンバー車も極僅かです。適度な勾配と       屈曲、トラは軽快にクリアしていきます。平行する土讃本線、R32に負けず       劣らずくねくねとしています。古い時代に敷設されているからなのでしょうが、       おおよそ本線らしくありません。それでも、なんとか直線化しようと路盤つけ       かえ工事が行われた箇所が多くあるようで、国道から見ていてもそれとわかる       ところもあり、廃線跡ファンとしても楽しめる道でした(「鉄道廃線跡を歩く       2」に詳しい) 大歩危・小歩危のコンクリートで固めた奇景を見て池田町に、       そして琴平町へ向かいます。        琴平からはR377を走ります。10qほど走った綾上町羽床上という集落       にめざす讃岐うどんの店「山越」があります。製麺工場が昼間だけうどん屋を       やっているというスタイルのこの店は、まだ11時過ぎというのに大勢の常連       さんで大賑わいです。一見さんの私は注文の仕方さえわかりません。(この店       にはメニュー表というものがない。価格表がない、私にはわからない・・・・)       讃岐うどんにはセルフサービスタイプの店も多くあるのですが、ここまで徹底       して流れ作業に身を任せなければ行けない店の経験は麺喰いの私にもありませ       ん。あれよあれよという間にてんぷら(ここでは魚のすり身を揚げた物をこう       呼びます)うどんを手に常連客の間に座ってしまいました。なんだかんだで2       40円の安さですが、味の方は店の雰囲気に圧倒されて「評価できず」です。       まぁ、不味くはありませんでしが、あまりにも常連が多いためか、少しサービ       ス精神に欠けるきらいが見受けられることと、このような店にありがちな「奢       り」を感じてしまいました。ここには、もう二度と足を運ぶことはないだろう       と思いながらトラにキーを差し込みました。        次は讃州地ビールです。まず、電話で場所を確かめます。その電話の応対の       悪いこと、悪いこと、宅配ピザ屋の方がまだましなぐらいの対応です。いやな       予感が漂います。その予想は的中! 飲むに値しないアルコール飲料がその店       には存在していました。ここは二度と訪れることはないでしょう。後で、話に       聞いたところによると讃州ビールのデベロッパーはコンピューター関連企業と       のこと、商売から入って旨いものが創れるわけがありません。しっかりと下調       べして行かなかった私が悪いのです。        この後は、高松から神戸青木へフェリーに乗り帰宅しました。       「うどん」と「地ビール」はおもいっきりスカったけれども、ツーリングと       しては充分に楽しめました。香川のうどんが美味しいのは変わりない事実だし、       創る人の心意気が感じることができない地ビールが不味いのもあたりまえのこ       とです。うーん おもしろかった。また、どっかへ行くゾー!!     データ      ・ピースフル・セレネ          〒781ー42          高知県香美郡香北町美良布1224ー2          08875−9−3388          一泊二食 9,800円より(サ込、税別)      ・山越          綾歌郡綾上町羽床上602ー2          0878−78−0420          営業時間9時〜13時30分  日曜休み      ・香川ブルワリー          香川郡香川町寺井624          0878−89−8001          営業時間10時〜18時    日曜休み          店頭販売のみでブルーパブ等の設備はありません。試飲は可能です。      ・トランザルプ 走行約500q  フェリーの利用多し。
 
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