上顎前突の歯科矯正治療TOP
日本人においては、上顎前歯は下顎前歯に対し、2〜3o前方位置するのが正常とされております。上顎前歯が下顎前歯よりも前に離れてゆくほど、上顎前突症(俗に、出っ歯と言いますね)がひどくなります。学校歯科検診では、プラス8oを越えると「2」という判定が出て、歯科医への受診を勧められます。(しかし、学校歯科検診では、本人が出っ歯を気にされている場合、本人了解の上で7ミリ以下でも治療勧告を出すことがあります。相談して治療方法を知るのは患者さんの権利だと考えてます。その後に実際治療を受けるかどうかは、また別の問題です。)
1. 上顎前突の原因
遺伝によるもの(親が出っ歯なら子供が出っ歯になるのは、ある程度は必然かもしれません)の他には、指しゃぶりが長くしつこく続いた場合、アデノイド肥大や扁桃肥大による口呼吸、各種咬癖、舌突出癖、外傷の影響などがあります。現在は、あまり見かけませんが、鉗子分娩の後遺症でもなります。歯の本数の異常でもなります。たとえば、下顎前歯が一本少なければ(先天欠如歯があれば)上下顎の位置関係が正常でも下顎の歯並びが上顎のそれよりも小さくなるため出っ歯ちゃんになります。
また、ある種の症候群によるものもあります。(これは健康保険適用となります)。
原因のよくわからないものたくさんあります。
2..病態
歯科矯正治療では、変えられない頭部(脳頭蓋)を基準にして上顎骨下顎骨の位置を考えてゆきます。上顎前突で骨格的な異常があると言うことは、下顎骨よりも上顎骨がとにかく前にある場合に他なりません。また、上下顎骨の位置関係が正しくても、上顎前歯が前に出ている場合(唇側傾斜)や、下顎前歯が後ろに引っ込んでいる場合(舌側傾斜)でも上顎前突になります。
治療の難易度は、骨格的にズレが大きいほど難しくなりますが、歯科矯正治療では、いかなる症例でも最終的には治します。
3.上顎前突で困ること
生命には関係ございません。
出ている部分(上の前歯や骨)をぶつけやすいようです。→上顎前歯を折ったり、脱臼したりする子供の大半が出っ歯チャンです。
咀嚼能率は落ちます。(前歯でかみ切れません)
しゃべり方が正常咬合の人と異なります。(舌の使い方が違う。)→上顎前突のアナウンサーはいません。
口唇の閉鎖が困難な場合、だらしない顔に見られます。=口呼吸も併発している場合が多いですが。
見た目、顔貌の問題を気にされる方もおります。(お笑い芸人ならOK?)
4.治療時期
1)乳歯列期=歯科矯正を専門でやっている歯科医はあまり積極的に治療しないと思います。指しゃぶりについては、4歳頃までにやめれば、それほど影響はでません。よって、お話しだけにします。(説得まではしないです。)
2)永久前歯交換期(6〜8歳頃)=レントゲン写真等検査が可能になったら、資料をとり分析して、治療方針を決定し、治療開始となります。上顎前突の原因により治療内容は変わります。例えば指しゃぶりをまだやっていたら、この時期は説得になります。治療装置を見せて、「やめないのなら・・・。」と、取引をすることもあります。(患者さんの性格を見て、臨機応変に変えますけどね。)明らかにひどい扁桃肥大、アデノイド肥大があった場合、耳鼻科に処置をお願いすることもあります。上顎の大臼歯が前にずれてきている場合は、後ろに戻してあげることも考えられます。
骨格的な異常があれば、上顎が前に出ていればそれを抑制する方向に、下顎骨の成長が悪ければその成長を促進する方向に治療を進めます。出っ歯を安定させるように舌が協調している場合(舌突出癖がある場合)、この治療も合わせて行います。
3)成長観察=小学校高学年から中学生にかけて、思春期成長の時期があります。個人差はありますが、ひと月に1cmも身長が伸びたりします。身長の伸びと下顎骨の長さの間には比例関係があります。つまり身長が伸びる時には下顎骨の伸びるというわけです。この時期に、上顎を止めて下顎を出すとうまくゆく症例もあります。
4)永久歯列期1(中学生ころ)=骨格的な異常が軽微である場合は、ブラケットを付けて、歯を並べて治すこともあります。
5)永久歯列2(成長が終わってから)=身長の伸びが止まってから、骨格的な異常を修正する場合は、外科手術にて対応します。この治療については、歯科矯正治療も外科手術及びそれに付随する入院費も健康保険の適応が受けられます。
☆基本的な症例
1.混合歯列期に置いて、機能的顎矯正装置を使用した症例(下顎骨劣成長タイプの上顎前突症)
5.指しゃぶりの治療
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