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症例16=成人の上顎前突症+前歯部叢生

 症例写真の加工はしてません。HPにのせるためにファイルサイズ縮小のための切り取りはしてます。どうやって治したか(治療法は)来院された方にのみ、お教えします。

 成人では、成長がありませんので、骨格的な異常は歯の本数を減らして対応するしかありません。骨の位置異常を歯の位置で補正するという考え方です。上下顎骨の位置のズレを歯の位置を変えることにより辻褄を合わせるということになります。歯の位置を変えるためには歯を抜くことによって、隙間(スペース)を創り出さないといけません。ぎゅうぎゅう詰めの満員電車では身動きが取れないでしょう?隙間(スペース)があれば、電車の中でも人は動けますし、顎の骨の中でも歯が動けます。

 この症例は初診時年齢19歳と2ヶ月。高校を卒業し就職して、自分で稼いだお金で治療しよう!!といらした患者さんでした。

写真1:初診時

Over-Jet=+10.0mm

(上下前歯の水平的なズレ)

学校歯科健診なら不正咬合の判定「2」で治療勧告が出ますね。

写真2:初診時の横顔。口が閉じられません。鼻と口の高さの差が少ないです。(鼻が低く見える。)
写真3:歯並びはこうなってます。図中の→➀と②及び③と④が一致するのが望ましいです。(上下の骨の位置関係が合っていれば一致します。)
 上下の顎骨の位置のズレは、歯並びを横から見れば、ある程度は分かります。正確にはレントゲン写真を撮影しないと分からない部分もありますが。
写真4:治療は、上顎第一小臼歯(前から4番目の歯)をぬいてスペースを作り、歯を移動させることによって、主訴(出っ歯)の治療を開始しました。
写真5:大人ですので、治療期間は2年10ヶ月かかってます。矢印の③と④の位置が一致しているのが重要。上顎の第一小臼歯の抜歯スペースに上顎犬歯が移動したから可能になったわけです。(小臼歯抜歯をしないといけない理由がここにあります。)

初診6:終了時の横顔。

上顎前歯が後退すると、当たり前ですが上唇も後退します。上唇が後退すると鼻が高く見えます。

写真7:治療前後の口元の重ね合わせ(スーパーインポーズ)上下の唇の後退が分かります。ご本人大満足。

 

 歯根吸収はほとんどありませんでした。治療費は総額で75万円程度です。

 こういった症例は、マウスピース矯正(インビザラインなど)では無理ですね。歯を抜いて、ブラケットを付けてワイヤーという歯を動かすためのレールを通して、計画的に歯を動かさないと、このようには治りません。

 また、こういった出っ歯ちゃんでは、舌を前に出す癖がありますので、しっかりとトレーニングしてそれも直しておかないと、後戻りの原因になります。マウスピース矯正だから。歯科医院に通院しなくても治る、なんてことはありません。専門的な指導やケアが必ず必要となります。

 歯科矯正治療って、歯をならべるだけじゃないのです。噛み合わせの安定、顔貌との調和などいろいろなことを考えてやってます。マウスピース矯正で簡単に済ませられる症例って、本当に少ないと思いますよ。

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