TOP» 歯科矯正治療における危険性(リスク)について

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について

 医療には、好ましい効果と好ましくない効果の両面が必ず存在します。 お薬を飲んだら、主作用と副作用があります。手術をしたら、悪いところを切り取ることができますが、手術による侵襲で身体が弱るリスクがあります。「世の中、良い事ばっかりではない。」と言うことです。

 矯正歯科治療も同様に、歯ならびが直り良くかめるようになりますが、その過程で歯根吸収など望ましくないことが起こる可能性があります。以下のすべてが必ず起こるわけではありません。副作用が起きないように、少なくなるように注意して治療しておりますが、何パーセントかの確率で副作用が現れることがあります。

 以下の文章をよく読んでから、治療を受けるようにしてください。

1)最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。

 歯が動く時に、歯の周りの骨が一度溶けるわけですが、この時に発痛物質(プロスタグランジンなど)が出るために痛みが生じます。歯の動きの速い人(若い人)は、比較的痛みが少ないようです。

 

2)歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。

 一般的に、新陳代謝の早い若い人は歯が早く動きます。成人矯正治療の場合、通常の1.5から2倍の治療期間がかかることがあります。

 

3)装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。

 何もしないで治る、という事は無いのです。

 

4)治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。

 歯みがきは良い習慣です。歯科矯正治療をしなくても、毎日きれいにしましょう。

 

5)歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。

 歯根吸収は、歯の移動距離や、舌癖などいろいろな要素が絡んできます。なるべく起こらないように適切な治療計画、治療内容を考えてゆきます。歯茎がさがるのは、年齢的な要素、元々あったもが歯が重なっていることで見えてなかった場合も考えられます。

 

5)歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。

 歯根吸収は、歯の移動距離や、舌癖などいろいろな要素が絡んできます。なるべく起こらないように適切な治療計画、治療内容を考えてゆきます。

 

6)ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。

 骨性癒着(歯と歯槽骨がくっついている状態)では、歯が動きません。レントゲン検査で事前にチェックしておりますが、治療の途中で気がつくこともあります。対処方法は、いろいろあります。

 

7)ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。

 事故などで顔面をうったとき、その衝撃により歯の神経が死ぬことがあります。歯科矯正治療においては弱い力で動かしてはおりますが、時々(個人的には10年に1症例ぐらいの頻度)、これが起こります。予測は不可能です。治療終了後数年を経過してから分かることです。歯科矯正治療以前の受傷の可能性もあります。(特に上顎前突の症例)、

 

8)治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。

 私の所では、現時点で一例もありません。金属アレルギーが出た場合、チタンブラケットやプラスティックブラケットなどで対応することになるでしょう。

 

9)治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。

 外科矯正治療の症例では、一度かみ合わせが完全にかわりますので、このようなことが起こるリスクはあります。一過性のものであり、最終的には治ります。(一般歯科の素人矯正は分かりません。)

 

10)様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。

 成長量など、先の読めない事象が起こると、治療方針を変更せざるをえません。患者さんの協力度によっては、予定していた治療効果が得られず、治療方針の変更をせざるを得ません。

11)歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。

 かみ合わせのバランスを取るために、歯の形を変えたり、当たりの強い部分を修正することはあります。

12)矯正装置を誤飲する可能性があります。

 リンガルボタンや小さな針金などが外れた時に飲み込む可能性があります。咳き込む場合は、内視鏡で取る必要があります。早急にご連絡ください。

13)装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。

 当院では、弱めの接着剤を使っておりますので、非常に少ないのですが、リスクはゼロではありません。(接着力が弱いので、ブラケットがよくはずれるという欠点もあります。)

14)装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。

 保定装置=後戻り防止装置です。ちゃんと使わない、壊れても放置する、紛失(無くして)しまうと、とても困った結果(後戻り)が起きます。

 

15)装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。

 歯科矯正治療で新しいかみ合わせに変わったわけですから、古い補綴物(かぶせ物)が合わなくなるのは当然です。

16)あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。

 第1期治療で反対咬合を治したとしても、思春期成長でまた反対咬合が戻ることがあります。その他の不正咬合では、習癖などが再発すると後戻りすることがあります。

 

17)治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。

 矯正歯科治療が終了して、キレイでかめる歯ならび、かみ合わせになったとしても、身体の老化などいろいろな要素で、かみ合わせは変化します。歯茎(歯を支持する組織)が痩せれば、歯並びは変わります。歳を取らないで生きてゆけたら良いのですが。

 

18)矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

 治療期間の倍の時間と手間をかければ戻せるかもしれませんが、そんなことは患者さんも我々もしたくないので、始める前によく考えて、決断してください。

※外科的矯正治療の場合、手術に伴うリスクもあります。(以下にまとめておきます。)外科矯正のリスク

注意事項

 このようなホームページの内容は、一般論で書かれております。実際の治療では、患者さんごとに治療内容が異なります。この点、ご了承ください。