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治療の流れ (検査:特にセファロ写真について)

 転医されてきた患者さんのお話を聞くと、「なぜ、その装置を選択したのか?」、「現在の状態をちゃんと説明したのか?」など、首をかしげるようなことを話をされる方が多いのです。

 治療開始前に、セファログラム(頭部エックス線規格写真、英語ではCephalogram,Head-plate)を撮影するのは、歯科矯正治療の専門教育を受けた人なら、やって当然の内容です。

 転医患者さんでこれをしていない例はよくあります。撮影していても、ちゃんと分析しているの?という例も多いですね。下の写真がセファログラムです。規格写真ですので、転医されても、世界中で使えます。転医される場合は、持参してください。

(転医時に必要な資料=治療継続依頼書、初診時のレントゲン写真、口腔内写真、顔面写真、治療経過、治療費の精算書。) 円満に転医できない場合は仕方ありませんが。

セファログラム

 このセファロ写真で何が分かるか?と言いますと、

1)歯科矯正学的には、頭蓋に対する上顎骨や下顎骨の位置関係、歯のはえかた(角度や位置関係)、気道の状態、下顎関節の形、成長の段階などがわかります。

2)それ以外には、アクロメガリー(末端肥大症)、蓄膿症などを見つけられます。あ、いびきが凄そうな人もわかりますよ。

 上のレントゲン写真の患者さんは前歯部開咬の患者さんですが、シロート矯正を二度もやった患者さんでした。(で、治っていない!=上下の前歯が噛んでいないから分かりますね。)

  セファロ写真を撮影してちゃんと分析すれば、普通の歯科矯正治療では絶対に治らない症例だとわかるんですけどね。シロート矯正で時間とお金を無駄にしたわけです。あと、この患者さんは顎関節症になってました。(顎が痛く出てご飯を食べるのがツライと話されておりました。)

 ちゃんと検査して、分析して、治療計画をたてるためには、このセファロ写真は必ず必要になります。逆に言えば、これを撮影しない歯科医に歯科矯正治療を委(ゆだ)ねては絶対にいけません。

 保険治療での歯科矯正治療では、このセファロ写真の撮影装置を持っていることが治療施設の認可基準のひとつになってます。当たり前と言えば、当たり前のことなんですが、患者さんたちは分かってないみたいなので、あえてここに書いておきます。

「まず、セファロ写真を撮影して、不正咬合の成り立ち原因をちゃんと把握すること。」

 不正咬合の成因を把握したら、患者さんにちゃんと説明すること。証拠が残るように、ちゃんと紙にまとめるのは当たり前のことです。

※セファロ写真には正面、斜め45度で撮影する場合もあります。顎偏位症例では、必須ですね。

※日本矯正歯科学会認定であれば、認定申請時、5年ごとの更新時の症例報告で、第三者からセファロ写真のトレースのチェックが行われます。あんまりひどいと、「もう1回やり直し。」になるそうですよ。学会認定であれば、当然セファロ写真を撮影しているし、トレースして診断している可能性が高くなるわけです。普通の歯科矯正治療を専門にしている人間なら、セファロ写真を撮影し、トレースしないで、治療を始めるなんて恐くてできません。

 

まとめ

 セファログラムも撮影し、分析結果をちゃんと聞き、治療方針費用などを十分理解し、同意してから治療を開始してください。