「歩く事もままならない。」と、旦那さんに抱きかかえられ、来院されました。

写真 説明

歯科矯正の専門的な教育を受けていない歯科医が、ストレートワイヤーテクニックで「並べただけの症例に見えました。

 歯列の形が良くないですし、下顎の臼歯は内側に倒れて、舌のはいる場所を狭くしています。舌に圧痕がついているのがわかるでしょう? 治療における、いろいろな配慮が欠けてます。(というか、治療した人は何が悪いか、わかっていないのでしょう。) 何カ所か歯科矯正医を訪ね、ウチまでいらっしゃいました。スプリントもお持ちでしたが、スプリントでは治らないのです。(患者さんご本人が一番良くわかってらっしゃいました。)数多くの矯正医は、「治す必要はない。」の一点張りだったそうです。

 「これで矯正治療は終わった。」と言われても、患者さんは納得しないのです。確かに、見た目だけは良いですけどね。でも、噛めない矯正治療なのです。患者さんご本人が一番よくわかってます。また、見る人が見ればすぐにわかります。

一番左が初診時、真中がスプリント調整時(左の写真の30分後ぐらい)、右が現在(再矯正治療中)です。

最初は歩けませんでしたが、スプリントを調整すると歩いて帰られました。背骨はS字カーブを描くわけですが、左の写真は胸部が突き出て骨盤も前方位をとってます。スプリントを調整した後は、胸部の突き出しが減り骨盤が脚の上に位置するように変化してます。左と中の写真のあいだにやったことは、5分ほどのスプリントの調整だけです。どこかの歯科医が作ったものにレジンを盛り足したり削ったりして、この患者さんの姿勢を正しくする方向に誘導すべく調整しただけです。(スプリントを作るだけで、調整のできない歯科医はたくさんいる。)

本当のことを言うと、かなり遠くからいらしたので、ご近所の矯正専門医をご紹介したのですけどね。そこでも、「治療不要。」と言われたため、私が診ています。

右の写真は、まだ治療中ですが、かなり自然な立位に変化していると思います。

治療前後の上顎歯列の変化:見てわかるとおり広がってますが、拡大装置を使ったわけではありません。

 

治療前後の下顎歯列の変化:舌が三角形だったのに、丸くなりました。拡大装置は使ってません。ワイヤーを調整しながら合わせていっただけです。

あい」

※コメント:ストレートワイヤーテクニックといって、針金を曲げないで歯科矯正治療ができる装置が考案されています。言っては何ですが、シロウトでも歯科矯正治療が可能になるように考えられた装置です。歯科矯正治療の基本(診断、治療経験、治療技術)を知らなくても、治療ができるというと、そんなに簡単な話ではありません。

 この症例は、おそらくストレートアーチワイヤーテクニックで治療されたものでしょう。見た目は治ったように見えますが、患者さんにとっては気持ちの悪い治療結果でしかありません。患者さんに合った、歯列弓の形、かみ合わせの形があるのです。

 ストレートアーチワイヤーテクニックは、所詮既製服です。多くの人に、だいたい会うかな?レベルの治療です。少しでも難しい症例なら太刀打ちでsきません。

 スタンダードテクニック(針金を患者さんに合わせて曲げる治療方法)なら、オーダーメイドの治療です。患者さん一人一人に合った、治療法をとなります。