まるこの日常生活の記録と映画鑑賞記
2000.6.1〜6.10
5月31日(水)
ジョージアに誘ってもらって、『クロスファイア』の試写会。相変わらず、なかなか自力では試写会には行けない。試写状が余ると譲ってくれる友人たちに感謝しなければ。
念力発火能力=パイロキネシスを持って生まれた青木淳子(矢田亜希子)。彼女は自分自身でも制御不能なその強い力を恨み、力を隠すようにひっそりとOL生活を送っていた。しかし、ある日、ほのかに想いをよせていた同僚、多田一樹の高校生の妹、雪江が惨殺されるという凶悪な事件が起こる。犯人に怒りを覚えた淳子は、パイロキネシスでもって復讐する決意をする。
私は昔から超能力ものは嫌いではない。筒井康隆の『七瀬ふたたび』は大好きで何度も読み返した1冊だったし、テレビシリーズの『NIGHT HEAD』にもハマっていた。これらの作品に出てくる超能力者たちは皆、自分の力を知られることを恐れ、その力を隠してひっそりと生活をしている。そして、独特の暗さと悲しみを秘めている。それが正しい超能力者だ。私が『グリーンマイル』に納得いかなかったのは、あの作品に出て来た超能力者・ジョンが、自分の力をひけらかしていたからだった。たとえ、それが“癒しの力”であっても、むやみにその力を使ってはいけない。私が定義するところの正しい超能力者は、耐えきれない怒りを感じた時と、愛する者を守ろうとする時にだけ、その力を使う。そうやって考えると『クロスファイア』の青木淳子は“正しい超能力者”ということになる。
作品としては、期待以上でも以下でもなかった。炎で人間が焼き殺される姿はB級的な印象も受けてしまったが、特撮をふんだんに使った映像の迫力はあった。2時間を退屈させずに見せてくれたので、邦画のエンターテイメント作品としてはまあまあの出来だったと思う。ただ、黒幕の正体がショボくてがっかり。色々説明はされたものの、その人物が結局何をしたかったのかもよく分からず、ストーリー的に尻すぼみになってしまったのがいただけない。映画初主演の矢田亜希子もなかなかの演技をしていたし、脇役ながら桃井かおりの演技は絶品だった。惜しい作品…という気もする。 レベル3
そういえば、矢田亜希子ってトヨエツと常盤貴子が共演したドラマ『愛していると言ってくれ』で、トヨエツの妹役でデビューしたんだよね。トキワちゃんが映画初主演した時はテレビ女優って感じが抜けきれなかったけど、矢田亜希子はちゃんと映画の演技をしてたと思う。『愛していると言ってくれ』の時は演技もぎこちなかったけど、ずいぶん成長したね。
5月30日(火)
チェリー姫に譲ってもらった試写状で『鬼教師ミセス・ティングル』の試写会。友人たちはみんな『ハリケーン』の試写会に行っている。情報によると、十数人の団体で『ハリケーン』を観ているらしい。すげえ。試写状は2枚譲ってもらったので、昨日のボーリングの時に手当たり次第に誘ってみたけれど、「『鬼教師』なんていかな〜い。『ハリケーン』観に行くから♪」ってみんなに断られたもん。何言ってるの? 『ハリケーン』ならお金出して観たっていいじゃない。『鬼教師』のような映画こそ試写で観ないと。それに今日の試写はおいしい劇場試写なんだゾ。みんな『ハリケーン』観てる場合じゃないよ。やっぱり、こういう機会に『鬼教師』観ないと。
結局、あまりのり気でもなさそうだった、さとママさんを誘った。しかし、のり気ではなさそうだったわりには、彼女は開場1時間近く前から並んで待っていてくれた。結構、観る気満々である。せっかくさとママさんに会うので、ラッセル・クロウにラブラブ状態の彼女にあげようと思って、95年にラッセル・クロウがトヨエツと共演した日米合作のB級映画『NO WAY BACK/逃走遊戯』のチラシを持って行った。しかし、私が「これ、あげるっ!」と取り出すと、彼女は思いのほか無反応だった。あれ? もっと喜んでくれると思ったのにな。
優等生のリー・アンは、教師ミセス・ティングルに疎まれて歴史の授業で“A”がもらえない。首席になってハーバード大学への奨学金を獲得したいリー・アンは、ミセス・ティングルに再評価をしてもらおうと必死に考えを巡らせるが、彼女を思う友人たちの協力が返ってミセス・ティングルの怒りを買うことになってしまう。“A”をもらうどころか、退学にもなりかねない状況に困った彼らは、ミセス・ティングルを自宅に監禁するが…。
『スクリーム』シリーズの脚本家、ケヴィン・ウィリアムスンが脚本と監督を担当した作品。ホラーかと思って観たら、ブラックコメディだった。誰でもそうかもしれないが、私にも長い学校生活の中では、何を考えているか分からない教師に出くわした経験があるので、この映画での“生徒VS教師”のバトルは楽しんで観ることが出来た。オチは安易な気がしたが、もともと期待していた作品ではなかったので、がっかりすることもなかった。オススメ出来るほどの作品ではないが、少なくとも『スクリーム3』よりは面白かったと思う。 レベル3
家に帰ったら、さとママさんからスカイメールが入った。さっき、ラッセル・クロウのチラシを観て無反応だったのは、あまりの衝撃に固まってしまっていたかららしい。彼女曰く、「ラッセルさまさまの過去の出演作の中に、こんな作品はない」 この映画、ラッセル・クロウの歴史の中から削除されてるのだろうか? 一応、データベースで検索してみたらこんなんが出てきたけど…(ラッセル・クロウ全出演作)
5月29日(月)
5月22日の日記を読んだマスターから、お怒りのメールが入った。「マスターよりデップの方が愛してるとは何事っ!?寝込んで、今日はお店を休みにしました。即座に主語と目的語の入れ替えを切に希望します」と。では、原文から。「まるこっちは、マスターよりジョニー・デップを愛してる」 主語と目的語を入れ替えてみると「マスターよりジョニー・デップは、まるこっちを愛してる」 ……あれ? 間違ってる? 「ジョニー・デップは、マスターよりまるこっちを愛してる」か? わかんなーい。
5月19日の日記を読んだ匿名希望くんからも怒られた。「『ピンチランナー』なんて観に行かねーよ」 へー。ふーん。ほぅ…。
5月28日(日)
朝、起きたら、まだ雨が降っていた。出掛ける時には上がっていたが、いつまた降り出してもおかしくないような空模様だ。あとは、ジョージアが遅刻するか否かがこの天候の鍵なのか。しかし、なんとこんな日に限ってジョージアは遅刻せずにやって来てしまった。みんなでボーリングに参加するのはこれで5回目になるが、彼女が待ち合わせの時間に間に合ったのは今日が初めてだ。何ということだろう。私の気持ちも知らず、遅刻しなかった彼女はとっても得意げに「ホーッホッホッ」などと高笑いをしている。これでホントに雨が降り出したらシャレにならないゾ。
ヘラルドシネクラブのボーリング大会は2ヶ月に1度開催される。前回は16人の団体で参加したが、今回は18名だった。相変わらずメンバーは増殖をし続けている。このボーリング大会では、ヘラルドシネクラブの会員が1人まで同伴者を連れて参加出来る。今回のメンバーでは12名がこの会員なので、最大24名まで増殖可能ということになる。次回は一体どんなことになってしまうのだろう。
この大会では2ゲームのトータルスコアで順位が決められる。女性には1ゲームにつき30点のハンデが加えられるが、それでも私は一番最初に参加した大会では100名中95位だった。昔からボーリングは出来れば一生避けて通りたいと思っていたくらい下手なのだ。初回参加で95位という不名誉な順位だったにも関わらず、それからも私が参加をし続けているのは、95位でも劇場招待券3枚という商品がもらえたからだった。商品がゲット出来るかどうかは全て運にかかっている。参加者100人の中で、たとえ70位や90位でもヘラルド直営7館で使える3ヶ月の劇場フリーパスがもらえるのだから。スコアがどうとかいう問題ではない。商品をゲット出来た人こそが勝者だったりする。今回もまた、私のレーンではアベレージ100程度の低レベルの小競り合いが繰り広げられていたが、それはそれでまた楽しかった。
観たいと思っていた『マイ・ハート,マイ・ラブ』が、たった1週間で朝2回上映に変わってしまったため、ピーチパイとミス・デイジーとの3人でボーリング終了後に表彰式をサボって、そのままのビルの地階にある劇場の12時10分の回に駆け込んだ。だってもう平日には観られないんだし、今日行かなきゃ来週には終わっちゃってるかもしれないんだもん。劇場は、客の入り具合ですぐにプログラムを変える。危なそうな映画は上映開始後1週間以内に観なければならないというのも、結構キツいんだよね。
結婚40周年を迎える熟年夫婦、恋に積極的な女優の卵、家庭外に快楽を求めて夫以外の男性とセックスにふける女、前夫が同性愛に走ったことから恋に臆病になってしまった舞台演出家…“幸福を求め続ける11人の11通りの幸せ探し”。
何人もの登場人物がいくつかの物語を同時進行させていくというのは『マグノリア』的な手法だが、この作品は『マグノリア』にしたかったが『マグノリア』にならなかった、という印象だった。まず、ひとつひとつのエピソードに毒がないので面白くない。甘ったるいだけの恋愛エピソードがコロコロと切り替わるだけで、引き込まれるものが何もない。2時間という短い時間の中で多くのエピソードを見せようとしているため、それぞれの登場人物の背景を説明しきれおらず、誰にも感情移入しているヒマはなかった。次に、全てのエピソードをひっくるめた登場人物の関係がつまらな過ぎる。ラストシーンで彼らが集結することでその関係が分かるのだが、気が抜けるような反則技を使っているのだ。結局、脚本も担当したというこの監督が言わんとしているものが何なのか、最後まで分からなかった。
それでも、出演者だけは豪華。熟年夫婦にショーン・コネリーとジーナ・ローランズ。その他、今、私が一番気になっている女優アンジェリーナ・ジョリー、マデリーン・ストウ、ジリアン・アンダーソン、デニス・クエイド、ライアン・フィリップなどなど、実際にピンで主役を張っている役者たちが大勢出ているところだけが見どころ。レベル2.5程度の作品だが、アンジェリーナ・ジョリーが出ているだけで私の評価はちょっとだけアップ。 レベル3
劇場を出ようとしたら、入替上映となる『ザ・ビーチ』に長蛇の列が出来ていた。すごーい。もう上映して1ヶ月になるのに、やっぱりこれがディカプリオ人気なのか。こりゃ、『マイ・ハート,マイ・ラブ』の扱いも悪いわけだ…と思ってその列に並んでいる人を見ていたら、みんな手にヘラルドの招待券を握り締めていた。5月末まで有効のやつね。なるほどね。
映画のあとは、ピーチパイとミス・デイジーとの3人でパスタ屋さんに入って遅い昼ゴハン。ミス・デイジーは店員を上目遣いに見上げて、可愛らしい声で「ナスとベーコンのパスタの…大盛り♪」と頼んだ。さすがダテにバイキング隊長はやっていない。実力派なのだ。ピーチパイもつられて大盛りを頼んだ。このふたり、凄過ぎる。私はいくらミス・デイジーの指令があっても、大盛りなどとても食べられそうにないので、普通のパスタを頼んだ。それなのに、店員はわざわざ「大盛りですね?」と聞き返してくる。違うっちゅーの(笑) でも、パスタのあとは、みんなでちゃんとデザートのシフォンケーキも食べた。もちろん、ミス・デイジーの指令である。
ジョージアは遅刻しなかったが、奇跡的に晴れてくれたので、自宅に帰ってから念願の米を買いに行くことが出来た。5キロの米袋を自転車の荷台にくくりつけて走らせる。なかなか人には見せたくない勇姿だ。でも、これで明日から食いつなげるから、安心、安心、ひと安心。
5月27日(土)
あ、雨が降っている。激しく降っている。何でずーっといい天気だったのに、週末になって雨が降るの? 溜まっている洗濯物が片付かないというのもつらいけど、一番つらいのは米が買いに行けないことだ。「あと少し」と気付いてからチビチビと食べて何とか今日までもたせてきたけど、もうそろそろ限界に達している。明日も雨なの? 勘弁してよ、私にとっては死活問題なんだから。
明日はヘラルドシネクラブのボーリング大会だ。ボーリング幹事の遅刻常習犯ジョージアは、参加者全員に前もってこんなメールを送ってきていた。「私は絶対遅刻するから、みんなよろしくね♪(遅刻しなかったら雨降るんじゃない?)」 ……ジョージアは大物だ。幹事のくせに遅刻を予告している。完全に開き直っている。でも、もし彼女が遅刻せずにやって来て雨が降るようなことがあったら、また明日も米が買いに行けなくなってしまう。それは困る。とっても困る。だから、明日だけは遅刻してきても許してあげよう。
5月26日(金)
会社の後輩(♀)とツーショットで飲んで語る会。彼女とはこれまでも時々ふたりで飲みには行っていたものの、ここしばらくは音沙汰がなかった。別の支店に勤務しているコなので、会うのも10ヶ月ぶりになる。10ヶ月前は私もヒマヒマな部署に所属していて、のほほんと毎日を過ごしていたので、もっぱら彼女の愚痴を聞いてあげる役目だったが、今回はどちらかと言えば私の方が愚痴っぽくなっていたかもしれない。人間は忙しくなると心が荒んでくるという事実が、自分でも分かる。ヤな傾向だ。
前半はさんざん会社ネタで盛りあがったが、後半は映画ネタへと移行した。彼女も映画好きだが、映画マニアの友人たちとは違い“普通の目”で映画を観ているので、これも話していてなかなか面白い。「『ザ・ビーチ』と『アメリカン・ビューティ』と『グリーンマイル』を観たんですけど、あれって面白いんですか?」と興味深い質問をしてきたので、「いや、面白くないかも」と答えておいた。「そうですよねー、面白くないですよねー」と彼女。なかなかストレートだ。『グリーンマイル』は上手くツボに入ってしまえばOKかもしれないが、ダメな人には全くダメだと思う。そもそも、娯楽を求めて映画を観に来る人には3時間以上もの長い時間は苦痛でしかないのだ。『ザ・ビーチ』と『アメリカン・ビューティ』は完全にマニア向け作品だと私には感じられたので、彼女のような“ちょっとした映画好き”の人に対しては、なかなか理解出来ないだろう。
「じゃ、何が面白かったですか?」と聞かれた私は、思わず考え込んでしまった。こうやって考えていくと、なかなかこういう人に薦められる映画がないことに気付く。彼女は、銃とか麻薬とかが出てきた時点で、既に実生活を逸脱しているようで嫌だと言う。『ノッティングヒルの恋人』が好きだったと答えた彼女にあえて「面白かったよ」と答えられた作品は『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』だった。もう半年も前に観た作品だ。私は“普通の人”に薦められるような作品が半年に1本しか出ないことにも改めて気付かされた。彼女は『オール・アバウト・マイ・マザー』が気になっていると言うので、とりあえず「やめとけ」と言っておいた。あと、友人の間でものすごく評判が悪い『ミッション・トゥ・マーズ』も観に行きたいと言うので「私は観ていないけど、かなりヒドイらしいよ。黄金糖みたいな宇宙人が出てくるらしいよ」と答えておいた。それでも彼女は自分の目で確かめて来ると言ってきかなかった。どうなっても私は知らないよ。
19時から始めた“語る会”も、22時には終わってしまった。週末だというのに、この時間は早すぎる。今日は『ナインスゲート』の試写会の日だったので、終わってから友人たちがどっかで飲んでいるかもしれないと踏んだ私は、後輩と別れたあとにナタリーに電話をしてみた。「今、どこにいるの?」と聞いたら、「○○○○○で飲んでるの〜。今、6人居るよ♪」という返事。見事に勘を敵中させ、その場に乱入することに成功した。「最近ゼンゼン飲んでない」とボヤいていたのは、つい1ヶ月前のことだった。今月の13日に約2ヶ月ぶりに飲みに行って以来、この2週間で6回も飲みに行っている。ようやく、本来の私の生活ペースに戻ってきたかもしれない。
5月25日(木)
約束通り、ミス・デイジーと『アンドリューNDR114』でデートの日。たぶん彼女に誘われなかったら、この映画は観に行かなかっただろう。だって、怪しそうなニオイがプンプンしてるじゃん。ロビン・ウィリアムズと聞いただけで「ヤバイっ!」って思っちゃうじゃん。初めて彼を『ガープの世界』で見た時は、いい役者だと思ったんだけどな。『ミセス・ダウト』なんかもすごく好きだったんだけどな。何か変だと気付いたのは去年のことだった。去年公開された『パッチ・アダムス』『奇蹟の輝き』『聖なる嘘つき −その名はジェイコブ−』という3本のロビン・ウィリアムズの主演作を観てようやく気付いた。役柄が変われど、彼の演技はみな同じだ。彼は自分をそれぞれの役柄にするのではなく、その役柄をロビン・ウィリアムズにしてしまっている。何だか、テレビドラマの中の赤井秀和を見ているようなのだ(言い過ぎ?)。
ある日、マーティン家に1台のロボットが届く。父親のリチャード(サム・ニール)が家事の手伝いや子供の遊び相手のために購入したのだ。アンドリュー(ロビン・ウィリアムズ)と名付けられたこのロボットは、人間と同じように感情や創造力を持つ“欠陥商品”だった。リチャードはそんなアンドリューに興味を示し、彼を家族の一員として扱い、その創造力を生かした仕事をさせた。やがてアンドリューは、自分も人間になりたいと強く願うようになる。
子供向けのロボット映画かと思ったら違っていた。セックスについて子供に教育する以上のことがとても熱く語られているし、2時間11分という長い上映時間も子供向け映画としては常識を外れている。これは完全に大人を対象に作られたファンタジー映画だということが分かる。しかし、観ていて子供の気持ちを取り戻せるというようなシロモノでもない。
ロビン・ウィリアムズが、ロビン・ウィリアムズの顔を出して登場するのは後半になるが、前半で起こるエピソードの数々は、全て後半でロビン・ウィリアムズを登場させるために用意されている。つまり、ロビン・ウィリアムズがアンドリューNDR114を演じたというよりは、ロビン・ウィリアムズのためにアンドリューNDR114というキャラを作り上げたという印象だ。どこか間違っている気がする。『グッド・ウィル・ハンティング』でオスカー俳優となった彼が、いつまでもこんな扱いを喜んで受けていていいのだろうか。
アンドリューと心を通わせる少女“リトル・ミス”は『ポーリー』でオウムと心を通わせていた少女(ハリー・ケイト・エンゼンバーグ)が演じていた。作品のコンセプトも、この『アンドリューNDR114』と『ポーリー』は良く似ているのだが、出来としては『ポーリー』の方が数十倍良かった。モノマネしかしないはずのオウムが人間の言葉を理解して話すというそのストーリーは、ファンタジーの秀作だったと思う。子供はもちろんのこと、大人でも充分に楽しめる作品だった。でも、『アンドリューNDR114』は、観ている最中にも「そんなバカな」と思うことの連続だった。非現実的なことを描いているSFやファンタジーは、観客に「そんなバカな」と思わせてしまった時点で、既に失敗してしまっている。『アンドリューNDR114』は、一言で言ってしまえば“大人を対象にした子供だまし映画”だった。 レベル2
映画の後は、初めてミス・デイジーとツーショットでお酒を飲む。ミス・デイジーはかわいい。やっぱりかわいい。他愛のないお喋りであっという間の2時間が過ぎ、脇で着々と閉店準備をしている店員に追い出されるように店を出た。今までも映画を観てから飲みに行くとなると、どうしても飲み始める時間が遅くなってしまうため、圧倒的にこの“追い出されて帰る”というパターンが多かった。今日も結局23時で閉店の店に23時半近くまで粘っていたのだから、店側からしてみればヤな客なのかもしれない。でも、今日は私たちが悪いわけじゃない。悪いのは、自分の歴史を2時間11分もかけて200年分も語ったアンドリューだ。責めるならアンドリューを責めておくれ。
5月24日(水)
予告編がすごく面白くて、気になって仕方なかった『スティル・クレージー』を、えびちゅと観に行った。しかし、公開してまだ5日めの、平日には一番人が集まりやすいと思われる夜7時の回だというのに、客はわずか3人。私とえびちゅの他に、知らない男性がひとり居ただけだった。もしも私とえびちゅが別の日を選んでいれば、その男性はひとりきりだったはずだ。どうやら私たちは、その男性の“映画館ひとり占め”を邪魔してしまったようだ。すまんのぉ…。
そんなことより、この映画ってそんなに話題になってないの? 本当は面白くないの? と、一抹の不安がよぎる。だって、隣の劇場でもう2ヶ月も前からやってる『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の方が、よっぽど人が入ってるんだもん。
今では伝説にもなっている1977年の野外ロックフェスティバルを最後に、人気ロックバンド“ストレンジ・フルーツ”は解散した。それから20年、メンバーはそれぞれに違う仕事に就き、連絡すら取り合っていなかった。イビサ島でコンドームのセールスマンをしている
“ストレンジ・フルーツ”のキーボード奏者だったトニーは、最後のロックフェスティバルでプロモーターをしていた人物の息子に、20年ぶりの“ストレンジ・フルーツ”再結成の話を持ちかけられる。その気になったトニーは、昔の仲間のメンバーを集めるが…。
“ロック版『フル・モンティ』”という触れ込みのこの作品、もう少しコメディ色が強いと思ったら、それほどでもなかったかな、という印象。ひとりで頑張ってバカをやってくれた、超ナルシストであるボーカルのレイを除けば、他のメンバーたちがみんな「もう、自分たちはこの時代にウケる人間ではない」と悟ってしまっているようなところが、いまひとつ面白みに欠ける。世間に忘れ去られようとも、過去の栄光を捨てきれない男たちが見せる70年代のロックスピリッツの時代錯誤ぶりが、この作品を面白くする一番のポイントだと思うので、その役割がメンバーの中でもレイだけだったというのが、やはり物足りない。それでも、安心して観ていられるサクセスストーリーなので、分かりきった展開とはいえ、そこそこ楽しめた。何も考えずに息抜きに観るにはいい映画だと思う。 レベル3.5
5月23日(火)
最近の私はちょっと偉い。ゴールデンウィークにお金を使い過ぎたことを反省して、それからずっとお昼はお弁当持参で会社に行っているのだ。使い過ぎたお金を食費から削る作戦だ。ゴールデンウィーク前までは、1年間で数回しか台所に立たなかった私が、ここのところ毎日晩ご飯も作っている。やろうと思えば出来ないことはない。ただ、今までやる気が起こらなかっただけだったのだ。朝もパン食をやめてご飯にしたので、ここ3週間くらいコンビニにも足を踏み入れていない。あー、なんて私は偉いんだろう。自分の偉さに酔いしれる今日この頃…。
でも今日、とても重要なことに気がついた。米がない。あと少ししかない。今週、乗りきれるかどうか微妙なところだ。週末になるまでスーパーに米を買いに行く時間はない。米がなければお弁当を持って行けない。朝ゴハンも食べられない。このまま禁断のコンビニに足を踏み入れることになってしまうのだろうか。まるこっち、ピーンチである。
5月22日(月)
朝、スカイメールでミス・デイジーから「木曜日に『アンドリュー』観に行かない?」と、デートの誘いがあった。『アンドリュー』は観る気なしだったけど、ミス・デイジーとデートなら喜んで行っちゃうよ。だって、私はミス・デイジーにメロメロなんだもん♪ 彼女はとってもヘンなコだ。でも、そのヘンなコぶりがまた可愛い。私が男性だったら、きっと彼女みたいなコに惚れちゃうんだろうなーって思う。
ずっと観るタイミングを逃していて、もうこのまま諦めようかと思っていた『玻璃の城』も、仕事が上手い具合に片付いたので、ようやく観に行くことが出来た。公開されてからそろそろ1ヶ月が経つし、もう前売り券を手に入れるのは無理だと思っていたけど、プレイガイドを覗いてみたら、まだ売っていた。ラッキー♪ でも、映画は1000円までで観るものと考えている私にとっては、前売りでも1400円っていうのはやっぱり高い。
1996年大晦日のロンドンで1台の車が猛スピードで路肩に激突し、車に乗っていた香港人ラファエル(レオン・ライ)とヴィヴィアン(スー・チー)は即死する。父の死の知らせを受けて、ラファエルの息子デイヴィッド(ダニエル・ン)はロンドンへと向かうが、父と一緒に亡くなったのはデイヴィッドの知らない女性だった。警察でデイヴィッドは、ラファエルとヴィヴィアンが香港に共同名義で家を持っていることを聞き、それを処分するためにヴィヴィアンの娘スージー(ニコラ・チェン)と一緒に香港へと向かう。その家に着いたふたりは、ラファエルとヴィヴィアンが大学時代からの付き合いであったことを知る。
香港では金像奨(アカデミー賞みたいなもん?)に12部門でノミネートされ、大ヒットした作品らしい。しかし私は、この大メロドラマがなぜそんなにウケたのか全く分からなかった。もちろん、大人にだって学生時代の忘れられない恋があってもいいと思う。実らなかったからこそ、美しく残る思い出はあって当然だと思う。でも、この作品ではその思い出を美化し過ぎていて、嫌悪感すら覚えてしまった。なぜ不倫相手と事故死した自分の親を、子供が簡単に許せてしまうのか。私がデイヴィッドやスージーの立場だとすれば、自分の親と不倫していた相手を恨むより、家族を裏切り続けていた自分の親のことを嘆き、恨むと思う。たとえそれが学生時代からずっと続いていた恋だったとしても、だからといって簡単に許せるものではない。デイヴィッドやスージーの考え方や行動が理解不能だったため、私はこの作品を全く受けつけることが出来なかった。ラファエルとヴィヴィアンの友人だという弁護士も頭が悪過ぎ。あんな弁護士、いやだ。 レベル1.5
久しぶりに、鑑賞後に“お怒りモード”で帰宅することとなった、まるこっちであった。1400円返して欲しい。
ぷりぷり怒りながら家に帰ったら、マスターからメールが入っていた。「26日の『ナインス・ゲート』の試写状が余ってるけど、欲しい? 欲しかったら“マスター愛してる”って言え!」って。うーん。マスターのことは愛してるし、マスターより愛してるジョニー・デップもすごく観たいけど、その日はもう予定を入れてしまっていたのら。残念なのら…。
5月21日(日)
今日は映画仲間のリンダの結婚式。仲間の中で、私とジョージアのふたりが二次会に出席することになった。遅刻の常習犯ジョージアが相手だったので、「遅刻したら、三越のライオン前で反復横飛び100回」とメールを打って脅しをかけておいたが、言ってる端から私が遅刻しそうになってしまった。猛ダッシュで駅まで向かっている途中、二次会の場所が書かれた案内状を家に忘れて来たことに気付いた。家に取りに帰っていれば、私自身が反復横飛びの刑に処されるのは必至だ。この前、ヨッパー状態の時にもらった案内状だったので、ろくに場所も確認していない。ジョージアに慌てて電話を入れてみたが、彼女も“電話に出られない状態”らしい。仕方ないので「案内状を忘れたから、持ってきてね〜」とメッセージを入れて、そのまま駅に向かい電車に飛び乗った。なんとかなるさ。いざとなった時は思い切りが必要なのさ。私の人生なんて、いつも見切り発車ばかりなんだから。
待ち合わせの三越ライオン前に着いたのは、待ち合わせ時間の2分前だった。三越のライオンには、カウボーイハットをかぶった男性が誇らしげにまたがり、キョロキョロと辺りを見回していた。前にえびちゅから三越のライオンにまたがって待ち合わせをした友人の話を聞いたことがあるけど、生で見たのは初めてだ。ホントにこんなことやる人って居るんだ。でも、かなりカッコ悪い。三越前で反復横飛びをするよりも、きっとカッコ悪い。これからやろうと考えている人は、マジでやめた方がいいと思う。ジョージアは予想通り遅刻してきたが、私のメッセージを聞いてちゃんと案内状を持ってきてくれた。とりあえず、これで貸し借りがゼロになり、彼女は今回も反復横飛びの刑は免れた。
無事にリンダの結婚式二次会の会場に着いた私たちは、リンダのダンナさん“ポール”の会社の人たちと同じテーブルになった。色々話をしてみたが、ポール同様、彼らはとってもマトモな人たちだった。私が普段付き合っている友人たちの個性が強烈過ぎるからなのだろうか、それとも初対面だからマトモな人を装っていたのだろうか。そういう私も、とりあえずかなりマトモな人を装ってみたりした。当たり前じゃん、初対面なんだもん♪ でも、ヨッパーになると余計なことまで喋ってしまうのが私の悪い癖だ。ワインをガンガン飲んで気持ち良くなった私は、聞かれたのでついつい自分の年齢をバラしてしまった。黙っときゃいいものを…ねぇ。でも、嘘つくのが苦手なんだよな。聞かれればホントのことを喋っちゃうんだよな。その上「去年は1年で180本の映画を観ました♪」なんていうオタッキーなことを自慢気に喋っちゃったのも、結局は墓穴を掘ったに過ぎないんだろうな…。匿名希望くんは「結婚式の二次会なんて合コンの予備会みたいなもん」と言ってたけど、きっともう誘われないんだろうな。くぅ…。
2000.5.11.〜5.20.
HOME