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ロミオ&ジュリエット セブン・イヤーズ・イン・チベット
ライアーライアー チェンバー/凍った絆
ハッピィブルー 恋人たちのポートレート 張り込み
大脱走 虹をつかむ男/南国奮斗篇 白雪姫

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ロミオ&ジュリエット
1996年・アメリカ

ヴェローナの街に、勢力を二分するモンタギューとキャプレットという二つの財閥があった。
二つの家族は対立し、両家の若者たちは街中で派手な争いを続けていた。
片思いの恋に心を曇らせているモンタギュー家のロミオ(レオナルド・ディカプリオ)は、
その女性に一目会うために、キャプレット家の仮装パーティに潜り込むが、
そこで見知らぬ少女と出会い、彼女の美しさにたちまち心を奪われていまう。
その少女もまたロミオに一目で心惹かれるが、
彼女はキャプレット家のひとり娘ジュリエット(クレア・デーンズ)だった。
愛する気持ちを止められなくなったふたりは、
お互いが対立する家族の人間と知りつつ愛の誓いを交わす。

シェイクスピアの有名な悲恋物語『ロミオとジュリエット』を
時代を現代に設定し、財閥一家の抗争を背景に描いた作品。
アート感覚に溢れる斬新な映像に、ロックの音楽をバックに流し、
それでいてセリフは原作にある古典的なものを使っているという、何とも芸術的な作風です。
ストーリーは知っての通りなので、“絵”で楽しむ作品だと言えるでしょう。
キレた男たちが派手にピストルを撃ちまくる暴力的なシーンを多用したり、
変な人が集まる仮装パーティや、アロハシャツを着た教会の神父など、
その芸術性が受け入れられれば楽しめる作品だと思います。
私は前半はついて行くのが大変でしたが、後半は何とかついて行くことが出来ました。
原作のラストシーンは、目覚めたジュリエットがすでに息絶えているロミオを見て
自分も命を絶つというものだったと記憶していますが、
この作品では、ロミオが毒薬を飲みほした瞬間にジュリエットが目覚め、
ロミオが死んで行くのを、ジュリエットがなすすべも無く見つめるというもの。
この原作よりも悲劇的だと思われる新しい解釈は、上手いと思います。

レベル3

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セブン・イヤーズ・イン・チベット
1997年・アメリカ

1939年、ナチス統制下のオーストリア。
有名な登山家ハラー(ブラッド・ピット)は、身ごもった妻から逃げるように
友人のアウフシュナイダー(デイヴィッド・シューリス)らとヒマラヤ山脈の最高峰、
ナンガ・パルバットを目指して旅立った。
ところが第二次世界大戦のイギリス軍のドイツ宣戦布告により、
彼らはインドで捕虜として捕らえられてしまう。
約3年間の収容所生活の末に、ハラーとアウフシュナイダーは収容所を脱走、
2年間に渡る長い逃避行を経て、
ふたりは外国人にとっては禁断の地、チベットのラサにたどり着き、
若き宗教指導者ダライ・ラマ(ジャムヤン・シャムツォ・ワンジュク)と出会う。

この作品は、思ったほど難しくありませんでしたし、
こういう作品にブラッド・ピットが出ようと思ったことは、多いに評価すべきだと思います。
実話ベースですが、これほどのドラマであればフィクションにも負けないでしょう。
しかし、何故か心に迫ってくるものがありません。
ハラーは自己中心的な嫌な男。
それがダライ・ラマと出会い、彼と心の交流を重ねることによって
人間性が変化していくところが見所のはずなのですが、
そこの描き方が甘いのか、何も伝わってこないのです。
つまり、ハラーがダライ・ラマや、彼が教える宗教に対してどんな感情を持っているのかがよく分からず、
肝心の気持ちが変化していく様も分からなかったのです。
そのため、実話特有の淡々とした作りになってしまっているのが残念でした。

レベル3

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ライアーライアー
1997年・アメリカ

フレッチャー(ジム・キャリー)は、口八丁手八丁の嘘を並べて裁判を勝ち取るやり手の弁護士。
離婚した妻と暮らす息子マックス(ジャスティン・クーパー)との約束も、いつも口先だけ。
その日も、必ず行くと約束したマックスの5歳の誕生日のパーティをすっぽかし、
オフィスで美人上司ミランダとの情事に耽っていた。
いつも約束を破られてばかりだったが、それでも父親のことが大好きだったマックスは、
誕生日のロウソクを吹き消す時「たった1日だけでいいから、パパが嘘をつきませんように」と心から願う。
すると不思議なことに、その瞬間からフレッチャーは全く嘘がつけなり、
翌日の出世を賭けた大切な裁判で窮地に立たされてしまう。

ジム・キャリーのオーバーアクションのギャグはちょっと苦手で、
『エース・ベンチュラ』でも『Mr.ダマー』でも笑うことが出来なかった私ですが、
彼のちょっと押さえ気味の演技がほど良い感じで、この作品には笑わせてもらいました。
ジム・キャリーがおよそ自分の芸風には不似合いな“弁護士”などという堅い職業を大げさに演じ、
逆に“弁護士”という職業を小バカにしているところがこの作品の面白さでしょう。
それに加え、息子マックスの父親を想う気持ちがとても良いのです。
正直言って、私はこの作品に“親子愛”などというものは感じませんでした。
息子の大事な誕生パーティをすっぽかして女ボスとセックスしてる父親に、
子供に対する愛情などみじんも感じられないからです。
でもマックスの父親に対する気持ちは、痛いほど伝わってきました。
だからこそ子供の純粋な気持ちを自分の都合で裏切る父親など、どんどん制裁を受ければいいと思い、
フレッチャーが窮地に立たされれば立たされるほど可笑しくなってしまうのです。
しかし、たった1日で全てのカタをつけてしまおうとするところには、無理を感じました。
フレッチャーの息子への愛情の目覚めは端折りすぎだし、最後がドタバタとし過ぎていて、
簡単にまとめられてしまったという感があります。

レベル3.5

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チェンバー/凍った絆
1996年・アメリカ

1967年、爆弾テロにより、公民権運動家のユダヤ人とその幼い息子二人を殺害したとして、
白人至上主義集団KKKの一員サム(ジーン・ハックマン)が逮捕され、死刑を言い渡された。
そして30年後、サムの孫である26歳の新米弁護士アダム(クリス・オドネル)は、
死刑執行を28日後に控えたサムの代理人を名乗り出る。
アダムは何とかサムを救おうと過去の事件を再調査し、その中に隠されていた真実を発見する。

人気作家ジョン・グリシャムの法廷ものであり、名優ジーン・ハックマンの出演にも関わらず、
公開当時にほとんど話題にならず、評判も良くなかった作品。
爆弾テロの裏にある真実が暴かれていくというサスペンス色もあり、
サブ・タイトルが表している“凍った絆”が意味する家族の絆も描かれているのですが、
どちらも中途半端な気がしました。
肝心なところで何が言いたいのか分からなくなってしまっているのです。
それほど悪い作品とは思わないのですが、
あと一歩のところでエンターテイメント性を無くしてしまっているのが残念でした。

レベル2

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ハッピィブルー
1996年・アメリカ

大学を卒業して1年になるが、いまだに就職活動中のトム(デイヴッド・シュワイマー)。
ある日、高校時代の友人の母を名乗る女性、ルース(バーバラ・ハーシー)から
「息子のビルが死んだので、棺をかついで欲しい」という電話を受ける。
ビルに全く心当たりがないトムだったが、葬儀に出かけることにすると、
棺をかつぐばかりか、弔辞まで読むはめになってしまう。

自分の意思をはっきり伝えることが出来ない男性が、成り行きで事を済ませてるうちに
変な方向に進んでしまっていくというコメディ。
どうってことはないですが、深く考えずに楽しめる作品です。
トムの高校時代からの憧れの女性、ジュリー役にはグゥイネス・パルトロウが扮しています。
ひょんなことでルースと関係を持ってしまったトムが執拗にルースに追い掛け回され、
本命を取り逃がしてしまうという設定も面白いです。
自分の意思を持たず、成り行き任せにしていると痛い目に遭うよ、と教えてくれる作品です。

レベル3

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恋人たちのポートレート
1997年・フランス=イギリス

パリの一流デザイナーの助手アダ(ヘレナ・ボナム=カーター)は、
脚本家のポール(ジャン=フィリップ・エコフェ)と同棲を始めた。
しかし、ポールはアダの後輩リーズ(ロマーヌ・ボーランジェ)の積極的なアプローチに心を奪われ、
アダとの暮らしを捨ててリーズと暮らす決意をする。
しかし、アダはポールの子供を身ごもっていた。

男女合わせて9人が複雑に絡み合うラブ・ストーリー。
ものすごく単純な話なのに、登場人物を多くしてややこしくしています。
“フランス版『男女7人夏物語』”だとか言われているようですが、
2時間で見せる作品に9人が絡まり合っては、分かり難くて仕方ありません。
最後まで観て、果たしてこれだけの人間が必要だったのかと疑問を持ってしまいました。
でも、過去の過ちをフィードバックさせて修復しようとした、ラストシーンだけは良かったと思います。

レベル2

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張り込み
1987年・アメリカ

ある日、警官殺しの罪で投獄されていた死刑囚が脱獄した。
刑事のクリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステベス)は、
彼を捕まえるために、彼の恋人マリア(マデリーン・ストウ)の家を監視することになる。
ところがクリスがマリアに一目惚れしてしまい、
彼女に接近し過ぎたクリスは、マリアからも好意を持たれてしまう。
やがて、勤務を放り出してマリアの家に入り浸っていたクリスは、
マリアの家を張り込んでいた同僚の刑事に脱獄囚と間違えられ、追いかけられる。

刑事もののアクション・コメディ。
リチャード・ドレイファスがコミカルな演技は初めて見た気がしますが、すごく面白かったです。
作品のギャグセンスも私がとても好きなタイプですし、
“電話”という小道具の使い方も上手かったと思います。
それにしても、こういう作品を観ていていつも思うことがあるのですが、
なぜ若い女性がカーテンも閉めずに素っ裸になっちゃったりするのでしょうね。
女の目で見ると絶対おかしいです。
男性の監督は、そんなところまで考えないのでしょうか。
それとも、男性の願望の現れでしょうか。
どっちにしても、カーテンを閉められたら物語りは成り立たなくなってしまいますけどね。

レベル4

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大脱走
1963年・アメリカ

第二次大戦中、脱走不可能と言われていたドイツ軍の第三捕虜収容所に、
脱走の常習犯である連合軍の捕虜たちが集められた。
脱走しては簡単に捕まり、収容所に逆戻りすることを繰り返していた彼らだったが、
協力し合って綿密な計画を立て、地下に掘ったトンネルから250名もの捕虜の大量脱走させる
“X作戦”なるものを企てる。
一方、彼らとは別に単独脱走を計画していた一匹狼のアメリカ将校ヒルツ(スティーヴ・マックィーン)は、
19回目の脱走失敗の直後に、彼らから突飛な協力を要請される。

実話ベースだそうです。
173分という長い作品ですが、ムダがなくテンポよく物語が進んで行き、
“戦争”という重いテーマをバックにしながら、コミカルな作風になっているので、
全く長さを感じませんでした。
何度も脱走を繰り返していては捕まり、罰として独房に入れられながらもめげずに次の脱走計画を練るヒルツは、
まるで先生の目を盗んで校則違反を繰り返す悪ガキ学生のようですし、
“X作戦”のトンネル掘り担当は、17本めのトンネルを掘っていながら、
閉所恐怖症という設定も面白いです。
“X作戦”のチームプレイは、まるでゲームをしているようにワクワクさせますし、
十分な娯楽作品としての仕上がりになっていながらも
“戦争”をバックにしている悲しさを忘れていないところが、この作品のほど良いスパイスになっています。
文句なしの“傑作”でしょう。
スティーヴ・マックィーンの映画は初めて観ましたが、彼ってやっぱりカッコいいですね。

レベル5

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虹をつかむ男/南国奮斗篇
1997年・日本

秋葉原の電気店で働く亮(吉岡秀隆)の元に、警察からある男の身元引受人になって欲しいと電話が入る。
四国から姪の結婚式で上京し、酔って暴れて警察に保護されたというその男は、
亮が一年前に四国でアルバイトしていた映画館の経営者、活男(西田敏行)であった。
一ヶ月後、仕事を辞めたことを両親に咎められ、父親と喧嘩して家を飛び出した亮は、
活男の劇場のある四国へと向かうが、経営不振のために劇場は休館し、活男の姿は無かった。
亮は南の島へ渡ったという活男を追って旅立ち、ようやく島で移動上映会を行っている活男と再会する。

西田敏行が主役だと思ったら、吉岡秀隆が主役のお話でした。
寅さん亡き後に松竹が放った新シリーズの第二作目、
私は一作目を観ていないのですが、内容は充分に理解することが出来ました。
しかし、同じ松竹の西田敏行主演の『釣りバカ日誌』シリーズは大好きなのですが、
この映画は全然面白いと思えませんでした。
・・・というより、何が言いたいのかよく分からないし、娯楽映画にもなりきっていない気がします。
西田敏行の芸風もいつもと変わらず新鮮味がないし、
ヒロインである松阪慶子と小泉今日子の使い方も中途半端で、
彼女たちが何のために出てきたのかもよく分かりません。
劇中で昔の映画の名場面を引用したり、懐かしい歌を唄ったりすることで、
観客をノスタルジックな気分に浸らせようとしているだけのような気がしました。

レベル2

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白雪姫
1937年・アメリカ

美しい白雪姫を妬んだ継母の女王は、召使いに彼女を殺すように命じる。
しかし、召使いは白雪姫を殺すことは出来ず、彼女を森に逃がした。
森の中をさ迷っていた白雪姫は小さな家を見つけ、そこで暮らす7人の小人と出会い、仲良くなる。
しかし白雪姫が生きていたことを知った女王は、
魔女に変身し、彼女に毒リンゴを食べさせて殺すことを企む。

グリム童話を元にディズニーが作った、世界最初の長編アニメ。
物語はもちろん子供の頃から知っていますが、ディズニーのアニメで観たのは初めてで、
60年以上も前にこんなに精巧なアニメーションが作られていたことには驚きました。
『スノー・ホワイト』がグリム童話に忠実に映画した作品だということなので、
この『白雪姫』がいかに美化して書きかえられているのか、比べて見ると面白いと思います。
それにしても・・・真剣に観ていると、この作品はかなり変。
小人の家をノックした白雪姫、返事がないので「お留守のようね」と言いながら、
勝手にどんどん家の中に入ってしまい、汚れた家の中をいきなり掃除をし始めます。 
それも、彼女をその家に導いた森の動物たちに、
「あなたはここ、あなたはあそこ」と命令し、掃除を仕切りまくるのです。
そして小人が帰ってきてからも、彼らを仕切る仕切る。
7人の小人のうち、“おこりんぼ”以外はみんな素直に従うのが不思議なくらいです。
毒リンゴを食べて死んでしまった白雪姫を埋葬せず、
ガラスの棺に入れて、いつまでも見つめては悲しみ続けている小人たちもある意味では怖いし、
いくら美しいからといって、何ヶ月も前に死んでる姫にチューしちゃう王子様も怖い。
生き返ったら、とっとと王子様の馬に乗って、小人たちにサヨナラしてしまう白雪姫は調子良すぎ。
私が“純真な子供の心”を失っているから、素直に見ることが出来ないのでしょうか。
どっちにしても、子供に見せて突っ込まれても私には答えようがないし、
安易には子供に見せられない作品のような気がしてたまりません。
この映画が私に教えてくれたことはただひとつ。
“昔も今も、美人は得だ”ということだけですね。

レベル2

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