八重山旅行記2(1998.6.4 - 6.7)
6/6(土)曇り時々雨
各民宿で朝食後、夕方白保で現地集合するまでフリータイム。
この日も天気が悪く、なんと西表島行きの船が欠航。
西表観光するはずだったおばちゃんたちは、急遽行き先を小浜島に変更。
うふだき荘の若旦那、「南島詩人」平田太一君と一緒にお昼を食べたらしい。
その他、竹富島のグラスボートに乗ったり、水牛車に乗ったりして思い思いの時間をすごしたようです。(「わたしが三線弾いて唄をうたう間、ちょっと持ってて」と水牛のたづなを渡され、大感激した人もいるとか)
わたしは数人のメンバーとともに、安里のおじさんの船に乗って幻の島「浜島」に向かいました。この島は、小浜島の近くの無人島嘉弥真島の、そのまた北東にある三日月形の島で、引き潮のときだけ出現します。
上陸したわたしたちは、まず砂浜を掘って潮干狩。
シジミくらいの大きさの、白い二枚貝(イソハマグリ)がいるんです。これを味噌汁の実にすると、いいだしが出てとてもおいしい。
わたしもけっこう燃えました、貝ひろいに。
なんか狩猟採集民族の本能がよみがえるみたいで……
(浜島探検隊。左端は安里勇さん。その後ろは安里さんの愛船「第一径勇丸」)
シュノーケリングに没頭するあまり、お昼時になっても帰ってこない人もいました。
浜から「おおーいっ、ごはんだよ〜っ!!」と叫べども聞こえず……
仕方ないので男性メンバーがじゃぶじゃぶ海に浸かって歩いていき、呼んできました。
三日月の内側部分には、魚やソフトコーラルがいっぱい。
天気さえよけりゃ、天国なんだけど……
でも、シュノーケリング始めてから、あんなにいろいろなお魚を見たのは、はじめてです。
昼食は、用意してきたジューシー
のおにぎりや、八重山風「カマボコ」や、貝でだしを取った味噌汁にカップラーメンをぶちこんで作った「海人(うみんちゅ)ラーメン」。とてもおいしかった。
それに、なんと言っても、普通のツアーじゃなかなか行けない島に上陸できたのは、貴重な体験となりました。
昼食後島を出発。
安里さんが次に船を停めたのは、海のど真ん中。
船から身を乗り出すと、下にはサンゴの群生が見えます。
シュノーケリングの腕に覚えのある人は、どんどん海に飛び込んでいきましたが、わたしは船上からの鑑賞組にまわりました。昨年波照間のニシ浜でシュノーケリングやっていて、海底までの目測を誤って溺れかけたので、背の立たない所はどうも苦手だ……
安里さんもいつのまにか全身黒のウェットスーツに身をかためています。銛を片手に船に立つその姿は、いやもうカッコイイの一言。
でも、残念ながら健闘むなしく獲物はありませんでした。(^^;
やがて船は石垣の港に入港。
迎えに来ていたのは子どもを連れた安里さんの奥さん……若い! 美人!!
安里のおじさん、さすがです(なにがじゃ?)。
かくしてわたしたちは白保へと向かう……
1998年6月6日、わたしははじめて白保の海と対面しました。
白保の海は確かにすごい。
今まで沖縄の海は何度も見てきたし、夢のように美しい瀬底ビーチやニシハマビーチにも出会いました。
でも、白保の浜のようなのは初めてです。
なんといっても驚いたのがその海鳴り。
沖の珊瑚礁にぶつかる波音が、浜に伝わってくるまでに不思議なエコーがかかります。
「ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ」
という感じで、ほとんど宇宙的な広がりさえ感じてしまう。
その音が、潮の具合や風の具合で微妙に変化しながらも、絶え間ないBGMとなって、白保の村を包み込んでいます。
なるほど、新良幸人や、大島保克や、ビギンはこういう音を聴いて育ったのか……とすごく納得。
白保の浜の近くには、村の人手作りの小屋があります。
通称「ビーチャー(酔っぱらい)小屋」と言うらしい。
民宿に荷物を置いて、浜に散歩に出たら、その小屋から声をかけられました。
「ちょっと、おねーさん、上がって一杯やってきなさい」
小屋にはおじさんたちが2、3人くつろいでいます。
ペットボトルに水割りした泡盛とウーロン茶を詰めて、氷とおつまみを持参して、そこで海を見ながら酒盛りするのが、白保のおじさんたちの楽しみ。
退屈しのぎにカモにする観光客のねーちゃんたちには事欠かないし。
(もちろんわたしも上がり込んでごちそうになってきました)
確かにそこにすわって、海鳴りの音をサカナに呑む泡盛は最高。
おじさんたちは、
「今日は天気が悪くて不漁でさー、そうじゃなきゃ刺身とかあるんだけど。まー今日はこれで我慢しなさいねー」
と缶入りピーナツなぞすすめてくれます。
いつまでもそこでくつろいでいたかったのに、
「吉田さーん、今夜のパーティーの会計〜!」
という現実の声に呼び戻されてしまいました。ああ残念。
夜はバーベキューパーティーの後、みんなで浜に出て、海人兼民謡歌手、安里勇さんの三線と唄を聴きました。これで空が晴れてて月が見えてたら、言うことなかったのに……(泣)
(白保の浜辺にて)
大部分の人は、ツアー最終日をとことん楽しむということで、タクシーで美崎町の民謡酒場に繰り出しましたが、わたしは残りました。翌日シュノーケリングをする予定だったので、体力を温存するためです。
夜、わたしは宿の懐中電灯を借りてまた浜に出ました。堤防に腰をかけていると、前からは海鳴りの音、後ろからはカエルの鳴き声……あとは何も聞こえません。
わたしはしばらくそこで、「都会では絶対聴けない音の御馳走」を味わっていました。
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