この唄は、「作田節」と並んで今年(2005年)の優秀賞受験曲になりました。「遊びションガネー」と同じように指を下げて弾く「中位」の曲で、一夜をともに過ごした男女が、明け方に別れを惜しむ唄です。
暁やなゆり いきゃおそうずめしやいが (あかちちやなゆい いちゃうそうじみしぇが)
別れさめとめば 袖の涙 (わかるさみとぅみば すでぃぬなみだ)
意味:
もう明け方になってしまいましたが どう思われますか
お別れせねばならないと思うと 袖が涙で濡れてしまいます
この唄を作ったのは、今も「湛水流(たんすいりゅう)」として知られる琉球古典の流派の始祖、湛水親方(うぇーかた)幸地賢忠。17世紀の琉球王国で踊奉行を勤めた才能ある音楽家でした。
奥さんに先立たれた湛水親方は、たまたま音楽に理解のある遊女思戸(うみうと)にめぐりあい、彼女にひかれて遊郭にいりびたるようになりました。この唄はその頃の気持ちをよんだものとされています。
やがてその噂が首里城に知られてしまい、当時の摂政、羽地朝秀ににらまれてお役御免となった賢忠は、地位と名誉を捨てて愛する思戸と音楽三昧の生活に……
最も、3年後には羽地朝秀が亡くなったため、王様に呼び戻されたらしいんですがね(笑)。[参考]
「わかりやすい歌三線の世界」勝連繁雄著 ゆい出版
「おきなわの歌と踊り」川平朝申著 月刊沖縄社