沖縄癒し旅 (2004.2.24 - 27)



2月25日(水)曇り時々雨

いつものとおり、近くのコンビニでパンと飲み物を買ってきて部屋で朝ご飯をすませると、ゆっくりと支度して、またゆいレール県庁前駅へ。
本当なら乗り降りフリーの切符を買って、「ぶらり途中下車の旅」といきたい所だけど、とても一日では回り切れそうにないし、明日はホエールウォッチングだし……まぁ、またの機会にしましょう。首里までの切符を買って自動改札に向かうと、駅員さんが数人の小学生に、いっしょうけんめい自動改札のしくみを説明しています。その情景を撮影するカメラマンと録音マイクを持った人……どこかのテレビ番組の収録でしょうか。なにしろ戦前の「軽便鉄道」以来、線路文化のなかった沖縄ですから、開通時には切符の買い方から自動改札の通り方、車両への乗り込み方まで懇切丁寧に説明したマニュアルまで作られるという大騒ぎだったそうです。
東京だって、地下鉄に自動改札が導入された時はけっこういろいろあったものねぇ……(笑)。

沖縄テレビの社屋横を通過するゆいレール。
県庁前を発車したゆいレールは、国際通りの上を横切り、「新都心」と呼ばれる地域へと入っていきます。「都心」イコール東京という概念があるので、なんだか妙な気もするのですが、確かに首里は琉球王国の首都だったわけだし……このあたりは最近開発が進んだので、真新しい建物ばかり。やがて高台にある首里に向かって、ゆいレールの高度もだんだん上がりはじめ、見晴らしもよくなってきます。路線の北側にひろがる丘陵地帯の木立の中に、末吉宮の建物が見えました。そういえば、琉球古典の曲目「高平良万歳(たかでーらまんざい)」の冒頭の曲にも、親の敵を討ちに行く兄弟が、末吉宮に参詣してそこから海を眺める場面が出てきます。ゆいレールからも、海がよく見えます。

♪慶伊と慶良間の渡中には 海人の釣舟浮きつれて……

いつか末吉宮にも行ってみたいなぁ。

やがて車内放送で「赤田首里殿内」が流れてきました。終点首里駅です。
この首里駅、実はわたしの周辺ではあまり評判がよくありません。「首里城から遠い」「まわりになんにもない」というのがその難点。確かに、駅から望む首里城の赤い屋根ははるか向こう……東京的感覚から言うと、それほど遠くではないのだけれど、夏の暑い日にあそこまで歩くのはイヤだなぁ。それに、途中立ち寄って一息入れられるようなしゃれたお店もないし……首里のみなさん、なにか対策考えて下さい。お願いしますよ。

幸い、2月の沖縄は寒くもなく暑くもなく、空気も乾燥していてぶらぶら歩くには実に快適な気候。わたしは首里城めざして歩き始めました。
しばらく歩いていると、なにやら匂ってきました。与那国島や石垣島の街角でもかいだことのあるこの匂い……そう、泡盛を作るもろみの匂い。首里城のまわりには、いくつか泡盛の蔵元があるのです。
時間があれば工場見学や試飲もしたいところだけど、今日はがまん、がまん。
「時雨」を作っている識名酒造。
近くには瑞泉酒造もある。
首里城の南側にそって歩いていくと、やがて首里城公園の入口へと続く道が見えて来ますが、そちらには曲がらず、金城町の石畳道へと続く坂道をおりていきます。「金城町の石畳道」というと必ず登場する立派な赤瓦塀の家の前を過ぎ、NHKのテレビドラマ「ちゅらさん」で、那覇の古波蔵家として使われた家(正確に言えば使われたのはその家の入口だけなんだけど)の前を過ぎ、昔の民家を模して建てられた「金城村屋」へ。

ここは、以前竹富島で2000年を迎える旅の帰りに立ち寄った所です。本当に気持ちのよい空間で、ぜひもう一度訪れてみたいと思っていました。靴を脱いで上がり、縁側にすわりこんでいたら雨が降ってきました。雨滴が石畳に当たる音も、なかなか風情があります。
今回はじめて知ったのですが、この村屋はただの「無料休憩所」ではなく、実は首里金城町の「公民館」を兼ねていたのです。その日も町内の集まりがあるらしく、おじさんがひとり、準備に立ち働いていました。

やがて雨も上がったので、村屋を出ました。坂道を下までおりてしまうとまたのぼってくるのが大変なので、今日は下にはいかず、また首里城公園まで戻り、今度は龍潭へと歩いていきました。お昼はこの池のほとりにある「潭亭」で。
潭亭名物「彩飯」。
色とりどりの食材が目にも舌にも快い。
お昼を食べてからバスで安里三叉路まで戻り、今度は祟元寺方向へ少し歩いたところにある「又吉楽器店」へ。那覇で三線のバチをいちばんたくさん取りそろえているのは、たぶんここだよ、と聞いていたので、新しいバチの購入に。
ここにバチを買いに来たのは2度目。前回買ったバチは大きさ、重さはよかったのだけど、長さが微妙に合わなくて、仲嶺三線店のお兄さんに改造してもらいました。しばらくはそれで調子よかったのだけど、「自分に合うバチは弾いてるうちに変わる」のだそうで、やはりイマイチしっくりこなくなってきた……

というわけで、今回は前回の失敗を教訓に、今まで使っていたバチも全部持参し、お店で三線を試し弾きさせてもらって、大きさも色もかたちも様々なバチの中から、ようやく「これかなぁ?」という一本を見つけだしました。
試し弾きの途中で出てきた店主とおぼしきおじさんから、三線の持ち方や姿勢を直される、というおまけまでついて(笑)。

バチを購入して、安里三叉路まで戻ったら、再び国際通りをウォーキング。いろいろなお店を一軒一軒見ていきながらのんびり歩いて、三越まで来てみると、「那覇の物産展」が開催されていました。那覇でこんな物産展などやって人が集まるのかなぁ、と思いながら会場をのぞいてみました。まあ、さすがに、東京の物産展のような大にぎわい、というわけにはいかないようでしたが、それなりにお客さんは入っているようです。

三越からふたたび国際通り入口まで歩き、今度は「わしたショップ本店」へ。店内をひととおり見て回った後、2階に上がってここの片隅にあるコーヒーショップに入ります。ここは、いつも那覇に来ると一度は入る喫茶店、「琉球珈琲館」の支店なのです。

実はわたし、昨年の秋頃から大好きだったコーヒーが飲めなくなりました。仕事でストレスがたまって時には一日5〜6杯……という日々をすごしたあげく、ある日(というか、ある事件)を境にぴたりと身体がコーヒーを拒否。コーヒーカップを口元に近づけた時にふわりと立ち上るあの香り……あれがダメになってしまったのです。なぜかアイスコーヒーは飲めるし、その後、なんとかカフェオレとエスプレッソ(あれは少し香りが違うので)は飲めるようになりましたが、ホットコーヒーが飲めないというのは結構不自由なものです。おまけに「香りがダメ」ということが思わぬ影響を……なんと、「スターバックスコーヒー」に入れなくなってしまったのです。

ストレスの大元であった仕事をやめたわけだから、もしかしたらコーヒーも飲めるようになったかも……とは思っても、あえて飲みたいという気も起こらなかったのですが、今日はひさびさに美味しいコーヒーが飲みたい気分。で、いつもユニークで美味しいコーヒーをいろいろ出してくれるこのお店に入ってみたわけです。さて、今回は何にしようかな?
海洋深層水仕立て「美ら豆珈琲」。
ここのコーヒーは「トロ珈琲」や「泡盛珈琲」、「ぶくぶく珈琲」などユニークなものが多いのですが、今回は新製品、海洋深層水仕立てという「美(ちゅ)ら豆珈琲」をオーダーしてみました。
「飲んだ後にほのかに漂う海の味わい」とありましたが、うーん、そこまでは……
でも、コーヒーカップから立ちのぼる香りをふかぶかと吸い込んで楽しむ、なんてひさしぶり。一口含んでその味わいを楽しむのもひさしぶり。ああ、コーヒーって、こんなに美味しいものだったのね〜。

コーヒーとの再会をこころゆくまで楽しんでから、わたしは宿に戻り、三越の物産展で買った「天妃ぬ前(てんぴぬめー)饅頭」を食べながら、夕方まで、部屋でのんびり三線を弾いてすごしました。

小麦粉で作った薄皮の中に麦こがしの餡を入れた「天妃ぬ前饅頭」。
月桃の葉の香りがほんのりと。
夕方になったらシャワーを浴びて、ちょっとオシャレな服装に着替えて夜の国際通りへ。今日も呑みに行く約束が……(笑)。
夜の国際通り。

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