ラッシュアワー3 (製作年度: 2007年)
レビュー日:2009.10.31
更新日:2009.11.8
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
ジャッキー・チェン&クリス・タッカーの異色刑事コンビが、過激なアクションとマシンガン・トークで大暴れする大ヒットシリーズ第3弾。花の都パリを舞台に、中国マフィアと壮絶な死闘を繰り広げる。2人の脇を固めるのは、スウェーデンの名優マックス・フォン・シドー、ロマン・ポランスキー監督など多彩な顔ぶれがそろった。今や国際的に活躍する真田広之が最強の悪役を演じ、エッフェル塔でのジャッキーVS真田のアクション対決は必見。
圧巻! エッフェル塔対決
一作目は完成度の高かったこのシリーズも「3」となるとかなりグダグダに……それでもまぁ面白いから見られるんだけど。
スーヤン大きくなって……(違)。
まぁ一作目からは10年近くたってますからねぇ。リーもカーターも年くったし。
しかしふたりとも歌うまいなー。俳優にしとくのはもったいない(違うってw)。
リーのほうは冒頭少し最初のクールな雰囲気が戻ってます。階級は警部のままみたいだけどいっそう落ち着きと貫禄が出てきた感じで。
っていうか、リー警部、もしかしてハン大使の前では無理してカッコつけてませんか? (笑)
カーターは交通巡査に格下げくらってますが、事件に対する動物的なカンの冴えは相変わらずだ。行き当たりばったりに行動してても核心にたどり着いちゃうところは彼の特技か(爆)。
一作目二作目ではかみ合ってるようでかみ合ってなかった部分もあるふたりのコンビ関係は、「3」にいたってもはや「腐れ縁」の域に達してるようで、アクション場面におけるツーカーの呼吸はシリーズ最高。
途中ふたりがケンカ別れして別行動をとるところがあるんですが、お互いに相手の国のファーストフード食べてるし、エッフェル塔の戦い場面では、カーターのカンフーがすっかりサマになってるし(そういや中国語も結構うまくなってるぞ)。
で、ばらばらに行動してても手がかりを追って同じ場所にたどりついちゃうんだよね(笑)。
1から3へとだんだん下ネタ度が増したのが残念だなぁ。お色気度はまだ許せるんだけど、それも「3」はちょっと過剰。そのへんはもっとあっさり目にして、リーとケンジ(真田広之)の過去のかかわりについてもっと説明してほしかった。
今回のメイン敵役は真田広之。英語もジャッキーよりうまいし(笑)、すっかり国際スターになってます。エッフェル塔でのジャッキーとの戦いは圧巻だけど、冒頭のハン大使暗殺未遂シーンでも、ジャッキーと堂々とわたりあって一歩もひかない迫力はさすが。
あそこでジャッキーが日本語しゃべるのは「えええっ?」と思ったけど。
(そういえば今回はフランス語も少〜しだけどしゃべってるよね。英語より発音がサマになってるような気がするんだけど……w)
それにしても、「2」で思わずホロリとさせた父親との関係が養父子だったなんて……次々と明らかになるリー警部の過去はサプライズの連続(笑)。まぁ義理といえども中国における親子兄弟の関係は絶対のものなんでしょうが。
この作品においてはすでに50代突入のジャッキー、確かに老けたなぁとは思うけど一般の50代を考えればまだまだ若い。「1」や「2」に比べると地味だけどファッションもなかなか素敵。ジャケットなんか色は渋いけど裏地の色使いが凝ってる……
しかしあの若い頃の久米宏みたいな髪型だけはちょっと嫌だ(笑)。
【ここが美味しい名シーン】
ドタバタ度の増した今回は「しんみりシーン」はなしかな、と思ったけどちゃんとありました。ケンジをかばうリーをカーターが責めたことからケンカ別れした後のふたり。なーんか寂しそうなんだ(笑)。カーターはホテルを飛び出して街角の中華スナック屋で中華巻きをオーダーしてるし(ここのTVに「インディ・ジョーンズ〜魔宮の伝説」がうつってる)、リーはホテルのルームサービスでフライドチキンとポテトパイなんて頼んでるし……
カーターがパリのカフェでストリートミュージシャンのギター弾きの歌を聴く場面では、ギター弾きの歌ってるのがビーチボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」。そう、「2」の冒頭でリーとカーターが車の中で大合唱していたあの歌(笑)。ここではギターのみの伴奏で、いかにもパリらしいしっとりした、なんともいえないいい味を出してます。
いやこのシリーズ、実は「音楽」が隠れテーマなんじゃないかと思うほど、けっこう大事な要素になってる気がします。要所要所で実にいいメロディ使ってるんですよね。最初はついアクションに目がいっちゃうので気づかないんだけど。
ジャッキーvs真田広之はやっぱりスゴかった。特に最初にふたりが刀を抜き合わせる一瞬は鳥肌モノ。
日本刀の対決って、抜刀の瞬間が一番緊張するものね。あそこでのジャッキーの表情はシリーズ中で一番マジかもしれない。すごぉくカッコよかったもの。
死闘の末エッフェル塔の鉄骨から落下したリーとケンジ。セーフティネットにかろうじてひっかかるがそれもケンジの刀に破られ、どたんばでリーがケンジの手をつかむ。ふたりの体重は支えきれないと見たケンジは刀を捨て、リーの手をつかんで自分の手をもぎ離し、一人墜落してゆく……
ここでのリーの、まるで子ども時代に戻ったように幼くさえ見える涙顔が印象的。
【リーと拳銃】
前2作で構えはしても決して拳銃を撃たなかったリーが、3作目にしてついに発砲……
しかし最初の一発はわざとはずしてるし、その後のは「もののはずみで撃っちゃった」的(おいおい)。
一作目冒頭でも犯人から「撃てよ」と挑発されてるのにもかかわらず撃ちませんでしたよね。カーターなら間違いなく5〜6発は撃ってるぞ(笑)。
少なくとも一作目のときは、銃社会アメリカに対するアンチテーゼの意図も盛り込まれていたと思うのです。拳銃(による解決法)の欠点がいくつか描かれていたし……たとえば。
弾数には限界があるし、関係ない人やモノまで巻き添えにするし、なによりそれを手放してしまったらとたんに無力化するし。
一作目で予備の拳銃をいくつも持ってるカーターと、徒手空拳でも恐れず敵に立ち向かえるリーの姿は、それをはっきりと対比させていました。
ただ、2作目・3作目と見てくると、もしかしてリーにはまだ語られてない裏設定があって、リーが拳銃を撃たない(撃てない?)のはなんか精神的な理由があるのか? とも考えてしまう。
(「ポリス・ストーリー」の時にはあんなにガンガン撃ってたじゃない、とツッコミたくなる衝動にかられますがそれはさて置いて……)
それからこのシリーズでリーが相手に銃をつきつけて「動くな!」という時必ず"Don't move!"と言うのですが、今回は一回だけその前に"Freeze!"というスラングを使ってたな。もしかしてカーターに教わったとか(笑)。
NGシーンでは"Cheese!"と言い間違えてたのが爆笑でした。
