ザ・ワン (製作年度: 2001年)
レビュー日:2011.1.15
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
この宇宙全体には125のパラレルワールドが存在し、その均衡を守るため多次元宇宙捜査局=MVAが監視に当たっていた。が、捜査官の一人ユーロウがその特権を利用して、他世界の自分を次々と殺し始めた。ユーロウは一人殺すたびにそのエネルギーを吸収するかのように超人化していく――。ロサンゼルス。アメリカ大統領をゴアが務める世界。留置場から出てきた男ロウレスをユーロウが襲い殺してしまう。そしてこの時、ユーロウの標的はついに、ブッシュが大統領を務める世界に住む、ロサンゼルス郡保安官ゲイブひとりとなった……。
善ジェットvs悪ジェット
この宇宙にはパラレルワールドがあってそれぞれの世界にちょっとずつ違った自分がいる。
とある宇宙にそのパラレルワールドのバランスを守る多次元宇宙捜査局(MVA)があるのだが、その局員の一人ユーロウが、ある時任務の途中で別の宇宙の自分を殺す羽目になる。
死んだ相手のエネルギーが自分に流れ込んで強くなったのに気づいたユーロウは、ほかの宇宙にいる自分を皆殺しにしてそのエネルギーを独り占めしようという欲望に取り付かれ、とうとう残るはひとつの平行宇宙に住む警察官ゲイブ・ロウだけになった……
というわけで、善ジェット(ゲイブ)と悪ジェット(ユーロウ)の対決が見られる、一粒で二度美味しい映画です(笑)。
……いやもともとのSF設定が穴だらけで突っ込みどころ多すぎるのがトホホなんですけど。なんでパラレルワールドの数が125なんだ、とか、パラレルワールドの別の自分が普通に死んだ場合は残りの自分はどうなるの、とか、そのへんの説明が足りないので、いまいち話についていけない。説明できるほどちゃんと設定を考えてなかった、という可能性もあるが(笑)。
ま、もうそこは「ジェット・リーvsジェット・リー」を見せるためだけのお膳立て、と割り切って考えるしかないんでしょう。
平行世界にはゲイブとユーロウのほかにも同じ人物がいるわけで、ゲイブの世界ではブッシュが大統領だけど別の世界ではゴアが大統領とか、ゲイブの世界では心優しい獣医の奥さんが、ユーロウの世界ではハツカネズミに爆弾しかける冷酷な情婦だったりと、微妙に違うそれぞれの世界の描写もなかなか面白い。ユーロウがそれまでに殺してきた「別の世界の自分」の顔写真、…あれは笑えましたね。金髪とかドレッドヘアとかロン毛とか……(爆)
この善ジェットと悪ジェット、カンフーのスタイルもまったく違っていて、それぞれが演武やる場面と最後に直接対決する場面がやっぱり見てて面白い。ことに善ジェットがチベットのマンダラの前で演武するシーンはもっと見たかったなぁ。手の動きが舞みたいでとてもキレイだった(八卦掌というらしいです)。
「キス・オブ・ザ・ドラゴン」を見たときにジェット・リーについて「カワイイけど怖い」という感想を抱いたけど、この映画で嬉々として演技している「悪ジェット」を見てるとますますその感じが強くなってきますね。ジャッキーは絶対「笑って人を殺す」演技なんてできないものなぁ、たぶん。
ユーロウを追いかけてゲイブの世界にやってくるMVAの捜査官2人組も、ひとりは「ロミオ・マスト・ダイ」で黒人ギャングのボスやってた人、もうひとりは「トランスポーター」でヒットしたジェイソン・ステイサムと豪華。任務途中で先輩捜査官を殺されたファンチ(ステイサム)が、ゲイブの世界ではガソリンスタンドのオヤジである先輩のパラレルと出会い、今までのお礼と任務にかける決意を告げるシーン(相手は何言われてるかチンプンカンプンなわけですが)はなかなかよかったです。
