初夏に謳う
2005年5月28日(土)午後6時開演
あづみ野コンサートホール

ホールの壁板
《プログラム》
1. 紫 苑 (山本邦山作曲)
十七絃 松浦 奈央
尺八 岸本 南山
2. 春のソネット (柳井美加奈作曲)
筝T 平野 裕子
筝U 横山 喜美子
3. 天上大風 (柳井美加奈作曲)
柳井 美加奈
尺八 岸本 南山
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4. 短詩抄 (柳井道弘詩/柳井美加奈作曲)
T水月(初演) 三絃 柳井 美加奈
U柿の実の連珠
5. 北国雪賦 (長沢勝俊作曲)
第T筝 横山 喜美子
平野 裕子
第U筝 石井 礼子
三絃 柳井 美加奈
守山 偕子
十七絃 松浦 奈央
曲目解説
紫 苑 (山本邦山作曲)
山地に自生するという紫苑は、初秋の頃、淡紫色の優美な花を咲かせる。その傘状の
小さな花は、雨霧の気を受けると一層可憐さを増し、直立した茎は力強ささえ感じさせる。
その様を、第一楽章で、第二楽章は、霜をうけた葉の光が輝く様を表している。

春のソネット (柳井美加奈作曲)
1996年に作曲された筝二重奏曲。印象的な前奏の後、春の明るさと不安への予感が
交錯して不思議な世界をかもしだしている。

天上大風  (柳井美加奈作曲)
1998年作曲。フィンランドでの自作品による公演の依頼を受け、尺八との二重奏を構想
していた作曲者は、冒頭の部分がまず浮かび、後は導かれるように自然に曲が
出来上がったという。
(第一楽章) 激しく唐突な導入がある。筝のブルース的な伴奏に、静かに尺八の
旋律が乗り、徐々に高まっていく。冒頭の旋律の繰り返しが、すでに懐かしく感じられる。
(第ニ楽章) 筝のソロで始まる。尺八の音色が微妙な変化を伴って流れると、聴衆を優しく、
温かく包み込んでいく。最後に第一楽章の導入部分が三度繰り返される。

短詩抄 (柳井道弘詩/柳井美加奈作曲)
T水月
風寒き宇治の渡りの
瀬をはやみいざよふ波に
浮びゐし夜の月はも

わがいのちなにによるとて
漂へるうつそみかなし
風寒き宇治の渡りの
音たてて疾きながれに
天なるや月の影はも
こゑもなくほのにうつりし
水月は流れざりけり

U柿の実の連珠
空の碧          夕ぐもる
柿の実の連珠      西空の星
ひとなき里の       わがふる里は
秋の夕べ         雪ならん

椎 高く          われひとに背くならねど
病む身に風がつのり  山茶花の散る野辺にきて
雨は降りかはる     ふり返る冬の湖
夜の雪なり        比叡は時雨る
北国雪賦 (長沢勝俊作曲)
東北地方に古くから伝わる二つの行事に光をあて、雪とそれに深くかかわりながら生き
る人々の哀歓を描いたものである。
「かまくら」は2月15日・16日に行われる小正月の行事。雪室に水神様を祭り、その年の

豊年を祈る。笛や太鼓の音も聞こえない、ただ雪と光の静寂の中にこそ、かえって
様々な音の幻想が無限に広がる。
「ぼんてん」は、大きな御幣を神社に奉納する勇壮な行事。雪に閉ざされた人々の
この日にかけたエネルギーの高揚と魂の躍動が感動的である。
《プロフィール》
柳井 美加奈
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岸本 南山
1975年




2001年
岡山県に生まれる。10歳より磯山陵雨山師に手ほどきを受ける。
早稲田大学第一文学部入学と同時に上京。
都山流尺八楽会大師範田辺頌山師に師事。
在学中NHK邦楽オーディション合格。
第45期NHK邦楽技能者育成会修了。
都山流尺八楽会師範試験主席。


横山 喜美子
1982年
1982年
東京芸術大学音楽学部邦楽科(生田流筝曲専攻)卒業。
よりミカナ・アンサンブルの一員として、海外公演(南米・メキシコ・
フランス・スイス・ドイツ等)に参加。またレコーディングにも数多く参加している。
現在、宮城会師範、衣の会会員。

平野 裕子
1989年
1992年
1992年
1993年

2002年
東京芸術大学音楽学部邦楽科(生田流筝曲専攻)卒業。在学中、宮城賞受賞。
同大学修士課程修了。
〜1995年高崎短期音楽大学非常勤講師。
国際交流基金助成トルコ・ハンガリー公演に参加。
現在、生田流鳳友会師範、森の会会員。

ミカナ・アンサンブルの一員として、海外公演に参加。
現在、生田流鳳友会師範、森の会会員。

松浦 奈央
   2000年


2002年
東京芸術大学音楽学部邦楽科(生田流筝曲専攻)卒業。
ミカナ・アンサンブルの一員として、スイス(ジュネーブ・チューリッヒ)、中国(北京)
公演に参加。

中国(北京)公演に参加。
現在、宮城会師範、森の会会員。

守山 偕子
1970年


1993年
千葉大学卒業。
富山市にてサロンコンサートを開催。
朗読ボランティアグループの一員として筝の演奏とお話の番組テープを作成。
ミカナ・アンサンブルの一員として、海外公演に参加。

石井 礼子
1997年
共立女子大学卒業。
野分の会、ミカナ・アンサンブルの一員として研鑽を重ねている。