第九回 | |||||||
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柳井 美加奈 | |||||||
特別出演 | |||||||
青木 鈴慕 | |||||||
賛助出演 | |||||||
平野 裕子 | |||||||
2007年9月21日(金)午後7:30時開演 紀尾井小ホール |
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ご挨拶 | ||||
本日は御多用の中「二人会」にお運びいただき、厚く御礼申し上げます。 10回は続けようと始めました「二人会」も、第九回を数えることとなりました。 第四回より毎回、青木鈴慕先生に御賛助いただき、天才的な演奏家でいらっしゃる 先生からどれほどのお教えを受けたか知れません。また、三曲界全般に対する深い 御愛情にはほんとうに心を打たれます。 私は、回を追う毎にひしひしと感じられる古典というものの難しさ、深く襟を正さず にはいられません。 本日は、どうぞごゆっくりお聴き下さいませ。 |
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柳井 美加奈 | ||||
曲 目 | ||||
1. | 筝組曲 雲井の曲 |
筝 | 柳井 美加奈 | |
2. | 黒 髪 | 三絃 | 柳井 美加奈 | |
◇ | ||||
3. | 残 月 | 箏 | 柳井 美加奈 | |
三絃 | 平野 裕子 | |||
尺八 | 青木 鈴慕 | |||
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解 説 | ||||
1.雲井の曲 | ||||
(一)人目忍の仲なれば、思ひは胸に陸奥の千賀の塩竃名のみにて、隔てて身をぞ焦がるる (ニ)忘るるや忘らるる、我が身の上は思はれで、仇名たつ憂き人の末の世いかがあるべき (三)たまさかに逢ふとても尚濡れまさる袂かな、明日の別れをかねてより思ふ涙の先立ちて (四)雨の仲の徒然、昔を思ふ折りから、哀れを添へて草の戸を、たたくや松の小夜風 (五)身は浮舟の楫緒絶え、寄る辺も更に荒磯の、岩打つ波の音につれて千々に砕くる心かな (六)雲井に響く鳴る神も落つれば落つる世の慣ひ、さりとては我が恋の、などか叶はざるべき 八橋十三組の一つ、奥組三曲の第三曲。すべて八橋検校の独創と思われる。音楽的、文学的に 優れた価値を持ち、表組第一の「菜蕗」と呼応して八橋十三組の最後を飾るにふさわしいもの である。 (守山 偕子) |
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2.黒 髪 | ||||
黒髪の、むすばれたる思いをば(合)とけてねた夜の枕こそ、ひとり寝る夜のあだまくら(合) 袖はかたしく、つまじゃと云うて(合)愚痴な女子の心としらで、しんと更けたる鐘の声(合) ゆうべの夢の今調さめて、ゆかし懐かしやるせなや、積ると知らで積る白雪。 十八世紀中頃からは、芝居の流行とともに、芝居歌や、はやり歌などとして、現在の地歌端唄 物がつくられていきました。湖出市十郎は、江戸で長唄の唄方の名手として、独吟を得意とし ていました。1779年、大阪に出向き、1784年には「黒髪」を作曲初演し、上方の劇場音楽に江戸 長唄の影響をおとしました。この後、大阪では、文人の作詞活動が盛んになるとともに、峰崎 勾当らの名作曲家が出て、端唄物の芸術性は高められていったのです。 私の三絃における思いの原点がここにあります。「黒髪」は、地歌の入門曲として扱われてい ますが、三絃の素朴な旋律と感情の盛り上がりを堪える歌は、音楽の基本的な部分を捉らえて いて、私も幾度と無く演奏してまいりました。昔、地域やジャンルを越えて作り上げられた 「黒髪」は、今、過去と現在を通り抜けて生き続けていく名曲の一つであると思います。 (柳井美加奈) |
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3.残 月 | ||||
(前唄)磯辺の松に葉隠れて、/沖の方へと/入る月の、光や夢の世を早う。/覚めて真如の 明らけき。/月の都に住むやらん。/ (手事)/(後唄)今は伝だにおぼろ夜の,/月日ばかり は廻り来て。 地歌手事物の名曲であり、1780〜1800年頃に活躍した大阪の峰崎勾当の作曲である。峰崎勾当 の門下の松屋某の息女の追悼曲として作られたといわれている。前唄は手数も少なく、肉親 を失った気持ちを淡々とした飾付けでうたっている。手事五段の妙をつくした各々の手法に、 残された者の心理の起伏を織り込んでいる。その後に格調高く哀切な後唄へと続く。 (守山 偕子) |
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Profile | ||||
柳井 美加奈 | ||||
Profile(芸歴) ← クリック | ||||
青木 鈴慕 | ||||
1951年 | 東京新聞社主催全国邦楽コンクールに「鹿の遠音」の独奏により第一位優勝。 | |||
1970年 | 74年、77年、79年、81年、文化庁芸術祭に大賞、優秀賞、五回の個人受賞。 | |||
1990年 | 日本芸術院賞受賞。モービル音楽賞受賞。 | |||
1998年 | CD「竹一管」により文化庁芸術作品賞受賞。 | |||
1999年 | 松尾芸能賞優秀賞受賞。重要無形文化財保持者、人間国宝に認定。 | |||
2002年 | 紫綬褒賞受賞。 | |||
現在 | 重要無形文化財保持者人間国宝、日本三曲協会副会長、尺八琴古流協会会長 | |||
平野 裕子 | ||||
1989年 | 東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業、在学中宮城賞受賞 | |||
1992年 | 同大学修士課程修了講師を務める。 | |||
1992〜1995年 | 高崎短期音楽大学非常勤講師。 | |||
1993年 | 国際交流基金助成トルコ・ハンガリー公演に参加。 | |||
2002年より | ミカナ・アンサンブルとして海外公演に参加。 | |||
現在 | 生田流鳳友会師範、森の会会員。 | |||
楽器調整 鶴屋三絃店 おことの店 矢野 |
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