左翼民主党・規約

(1991年2月3日、リミニ大会において採択)

後房雄・訳

()これは、後房雄名古屋大学教授編著『大転換 イタリア共産党から左翼民主党へ』(窓社)に、収録された「左翼民主党規約」の全文です。文中の規約条項で『略』となっているのは、当初からのものです。このホームページに全文を転載することについては、後氏のご了解を頂いてあります。

〔目次〕 基本原理についての前文 

     第一章                

     第二章  権利と義務

     第三章  党の組織

     第四章  大会

     第五章  指導機関

     第六章  保障機関

     第七章  党の会議と投票方法

     第八章  党の規律

     第九章  党の管理 〜第一四章  最終規定および暫定規定

 

(関連ファイル)              健一MENUに戻る

     後房雄 「共産党は『普通の政党』になれるのか」

     後房雄 「民主主義と両立する左翼」イタリアと日本の左翼の自己刷新

     『イタリア左翼民主党の規約を読む』(宮地作成)

     日本共産党規約

   基本原理についての前文
 左翼民主党は、次のような基本的価値を共有する女性と男性の党である。すなわち、自由、平等、連帯、平和、自然保養という価値である。また、次のような構想や政治綱領を支持する女性と男性の党である。すなわち、社会主義の道としての民主主義の構想と、人間社会の根本的な変革のための諸改革という政治綱領である。

 左翼民主党は、労働運動と社会主義運動の歴史的遺産、イタリア共産党の独自の文化的、政治的伝統、「各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件であるような協同団体」としての社会という理想にその根をおろす。その展望は、その自由志向的な原理において、さまざまな自由主義的、民主主義的な革命の遺産をそれらの階級的な歴史的限界を克服しながら継承するものである。自由や解放の多くの社会的獲得物がその展望を前進させてきた。多くの敗北や誤りがその展望を中断した。さまざまな形能の支配の存続、共産主義の名において形成された専制体制の破産、そして現在の世界の未曽有の挑戦に直面して、より公正で、より民主主義的で、人間の能力をより生かすことのできる社会を希求する労働運動、勤労者、男性、女性に対して新たな諸目標が提起されている。それゆえ、ヨーロッパ社会主義の領域において、そしてすべての先進的民主主義勢力と連携して、根本的に刷新された(イタリアの、ヨーロッパの、世界の)左翼の構築に寄与するために、歴史的経験を克服し、さまざまな伝統を継承し乗り越えることが必要なのである。

 PCIの歴史は、その刷新された左翼へと、文化、思想、闘争、政治的・市民的献身、個人的・集団的な情熱と犠牲などの測り知れないほどの経験をもたらす。

 左翼民主党を創立するのは、イタリア共産党員と、イタリアにおいて左翼全体が新しい出発を歴史的に必要としていると考えるすべての人々である。さまざまな政治文化、思想的傾向、歴史的経験が、生まれ出る党の価値や政治綱領の共通の財産を作り出すために、相互に影響を与え合いながら合流する。

 女性と男性の党。なぜならば、女性たちの自己意識によつて文化、政治、社会関係に刻印された刷新的な推進力を必須のものと考え、二つの性の存在を前提にした社会という目標を掲げるからである。両性間の対立の政治的生産性と女性の政治的自律性を承認するからである。

 自由の党。なぜならば、さまざまな権利のために、諸個人の自己確立のために、さまざまな自律性や相違の価値を生かすために闘うからである。宗教的世界の価値と自律性を受け入れるからである。非暴力の原理が諸個人、諸国民、諸民族、諸国家の間の関係と共生を規制することができるようになるように、戦争に反対して平和のために闘うからである。現在の資本主義的社会関係によって生み出されるさまざまな形態の抑圧や支配からの解放を促進するからである。

 平等の党。なぜならば、不公正に反対し、そして以下のことを提起するからである。労働を人間化し解放すること、その新しい現実的分岐やその現代的諸特徴に即して労働を代表すること、労働の搾取に対して闘うこと。蓄積され配分される社会的富や自らの労働に対する男性と女性の支配力を発展させること。すべての市民に、市民的・社会的領域における平等の機会を提供すること。労働の、そして労働における性別分業を克服することを展望して、さまざまな労働や再生産領域の活動そのものの多元性に社会的価値を与えること。勤労者全体を、この世紀の転換期において社会が直面しているあの根本的な改革(知的・道徳的改革、テクノロジー体制、生産体制に関わる改革、時間や生活形態に関わる改革)の主人公にすること。

 連帯の党。なぜならば、貧しい者と豊かな者の間、世界の北と南の間、発展と環境の間、権力や科学や情報を保持している者とそれらから排除されている者との間の恐るべき矛盾を克服するために闘うからである。そして、個人の経済的自立性を基磋としてすべての者に労働と社会保障への権利が保障されるような社会、サービス組織の管理や広範な連帯的ネットワークの促進におけるボランティアや個人的、集団的献身の市民的価値が承認され支持されるような社会に向けた社会国家の改革を支持するからである。人種差別、外国人嫌い、排外主義、反ユダヤ主義、不寛容、ファナティズムを拒否するからである。

 平和の党。なぜならば、グローバルな相互依存の状況においては、諸国家や諸国民の間の暴力は追放されなければならず、さまざまな紛争は、権利を基礎として、また、すべての国家の間の平等という原理に基づく世界の漸次的な民主主義化を基礎として、国際的な制度によつて統治されなければならないからである。世界の北と南の間の関係と交換比率の均衡回復のために。また、国民国家を越える権力と民主主義的諸制度を備えたヨーロッパ共同体の形成のために。

 自然保護の党。なぜならば、環境に不可逆的な変化を引き起こすような生産様式や消費様式に基づかない持続可能な発展を望むからである。未来の世代の権利をも保障しつつ、地球上の自然の均衡を永続的に維持するような世界社会を望むからである。

 左翼民主党の構想は、国内的レベル、国際的レベルにおける社会主義の道としての民主主義である。民主主義は人間解放の過程の単なる歴史的手段ではない。その過程の永続的表現であり、解決へ向けての持続的な対立と緊張のなかに現われる。左翼民主党の目標は、民主主義の完全な発展を妨げる社会的、文化的、経済的障害を克服することであり、政治、経済、市民社会の漸次的な民主主義化である。

 左翼民主党は、民衆的で大衆的な改革的政党、イデオロギー的でない政党、予め構成されたモデルを追求することのない政党であることを望む。政治やあらゆる政治組織の限界の原理、すなわち、あらゆる党員の思想的意識を代表しているといううぬぼれとの関係での限界、市民社会における新しい主体、運動、組織の出現との関係での限界、公的諸制度との関係での限界という原理を受け入れる政党であることを望む。指導者主義的ではなく、寡頭制的ではなく、上部主導的ではなく、諸潮流へと結晶化していない政党であることを望む。内部において、あらゆる個人、あらゆる個々の党員や活動家の権利、自由、権限が保障されているような、そして、男性と女性の間の完全な機会の平等が実現しているような政党であることを望む。

 多元主義的で民主主義的な党、自らの内的分岐や相違を価値、資源として生きる党、外部に対して開かれた党であることを望む。政治の改革と刷新をその原理の一つとする政党であることを望む。政治の様式と時間は、男女の市民たちの具体的な生活と調和しなければならない。このような政党のなかで、さまざまな政治的・文化的立場が、指導と政治的行動における統一を追求しながら共存し協力する。政治的決定における多数決の規則は、さまざまな政治的・文化的立場の自律的な形態や手段をも含む多元主義の完全な承認を基礎とする。

 左翼民主党は、イタリアにおける統治者と被統治者の間の関係の歴史的転換のために、民主主義の再生のために、国家の再構築のために、統治のオルタナティヴのために活動する。

   第一章 党

 第一条 加入

(一) 満一六歳を越えたすべての男性、女性は左翼民主党に登録することができる。男女の党員は、大会によつて決定された政治綱領を受け入れ、それを実現するための活動に加わる。政治文化や哲学的・宗教的信念の相違は党の思想的財産を豊富化するものである。

(二) 登録は三年間有効である。大会の後に行なわれ、次の大会の終了時まで効力をもつ。すべての男性党員、女性党員は、毎年、財政的拠出を行なう義務を負う。

(三) 拠出金の支払いを拒否した場合には、党員の資格に関わるすべての権利が停止される。

(四) 登録申請は、本規約の第二条が規定する基礎組織の一つに対してなされる。

(五) 登録申請は、すべての党員が閲覧できる名簿に記載される。

(六) 居住地と違う地域の組織に登録する場合には、居住地の組織に通知される。

(七) 登録申請を受けとつた組織の指導機関は、反対が出された場合であつても、申請が名簿に記載されてから三〇日以内に決定を行なわなければならない。

() 登録の拒否は、関係する組織の指導委員会によつてなされなければならない。

() そのような決定に対する不服は、保障委員会に対して、そして第二審として県保障委員会に対して訴えることが認められる。

 第二条 女性と男性の党

() 女性と男性は、異なつた経験をもつ政治主体として、党の政治的・綱領的方針の作成において協力する。

(二) 指導機関、執行機関、大会への代議員、選挙や公職の名簿において、両性は基本的に平等に代表される。どの性の代表も四〇%を下回ってはならない。

() 女性党員の政治活動は、彼女たちが自由に選択した様式に従ってなされる。女性党員は、活動の自律的形態や、非党員との連携をも行なう別個の組織を形成する。

(四) 党は女性党員の異なつた経験に対して対等な尊厳を認め、彼女たちの場所、資源、情報機関へのアクセスを保障することによつて彼女たちの自律的構想の価値を尊重する。

 第三条 禁止条項

(一) 左翼民主党と他の政党への同時加入は認められない。選挙に名簿を提出したことがあるか、あるいは提出するような組織や運動への加入は認められない。同様に、他の党のための活動や、他の党の選挙名簿から立候補したりそれに署名を提供したりすることも認められない。

(二) 左翼民主党への加入は、憲法によつて規定されている法の前での平等の原則や公行政の不偏不党の原則の完全な尊重を危くするような内部規則や相互援助形態を備えた団体への加入や参加とは両立しない。

 第四条 外国における党

(一) それぞれの国の法律に従って、PDSは、全国評議会によつて規定された場、地域的範囲、活動様式をもつ自らの外国組織を形成する。ただし、第三項に規定する場合を除く。

(二) 外国、とりわけEECやヨーロッパ諸国における左翼民主党の組織は、全国評議会の承認を得て、それぞれの国で活動している左翼政党や左翼組織と行動統一協定や協力協定を締結することができる。

(三) 外国に居住する左翼民主党の党員は、居住するそれぞれの国の進歩的な民主主義政党に加入することができる。

   第二章 権利と義務

 第五条 男女の党員の権利

(一) すべての男女の党員は、自らの経験と自らの特殊能力をもつて党の討論に寄与する権利をもつ。そして、具体的に以下のような権利をもつ。

a) 党の活動、選択、指導機関においてなされた討論、提起されたオルタナティヴなどについて情報を与えられる権利。

b) 党のあらゆる組織において自らの思想的・文化的立場を表現し主張する権利。

c) 党の情報手段やすべての指導機関に対して自らの書見や提案を知らせる権利。指導機関はそれらを考慮しなければならない。

d) 自らの活動や態度に対する政治的性格の批判がなされた場合には、それに関して開かれた所属組織の党員総会において、また、指導機関のメンバーである場合にはそれに関して開かれた指導機関の会議において自らの言い分を述べるために、それらの批判について速やかに知らされる権利。

e) 党の諸機関においてそのたびごとに決定される多数派の立場とは異なつた立場を、公然たる形においても維持し主張する権利。

(f) 規約前文において言及された原理や価値と対立しないような大衆的イニシアティヴや団体に参加する権利。

(g) 党の指導機関を選出する権利、指導機関の一員やあらゆるレベルの大会の代議員に選出される権利。

(h) 選挙名簿、指導機関、おょび大会代議員への候補者を規約の規定や規則に従って提案する権利。

(i) 関係する党組織が規定した運営規則に従って、全員投票、問題別大会、決定権をもつ会議や総会を通じて特に重要な諸問題に関する決定に参加する権利。

j) 党をやめる場合に、決意した理由を述べる権利。

 第六条 集団的形態における権利の行使

(一) 男女の党員は、第五条で規定されている諸権利を集団的形態においても行使する。

(二) 男女の党員は、内部討論と党の方針決定に寄与するために、政策的な提案や綱領の提起を集団的にも行なうことができる。また、規約の規定や規則に基づいて、指導機関や大会代議員の候補者を集団的に提案することができる。男女の党員は、書見の自由な表明と普及のために集会を組織する権利を保障される。

(三) 男女の党員は、党の全般的な思想的・政治的意識を形成し豊富化することに寄与するために、社会やそのなかに存在しているさまざまな勢力や思想的感受性との新たな関係や結びつきを作ることに寄与するために、そして、規約前文で言及されている原理や価値と対立することのないような政治的・文化的な目標や構想を追求するために、党外からの参加者をも含む団体、研究イニシアティヴ・センター、テーマ別フォーラムなどの組織化や出版活動を集団的にも行なう権利を認められる。

() 女性党員は女性だけのテーマ別フォーラムを組織することができる。

(五) 本第六条で規定している集団的権利の行使のために、また内部討論や公的イニシアティヴにおける対等な条件を保障するために、指導機関はさまざまなレベルにおいて、党の部屋や諸手段の利用を促進し調整する。

(六) 全国予算やそれぞれの州組織、県組織の予算は、規約前文で言及されている原理や価値と対立することのないような政治的・文化的な目標や構想との関係で男女の党員によつて集団的になされるイニシアティヴに対して資金を配分する。資金の配分の基準や割り当て額は財政規則によつて規定される。

 第七条 男女の党員の義務

(一) すべての男女の党員は以下のような義務を負う。

a) 党の政策やそれを実現するためのイニシアティヴを、それぞれの適性や力に応じて支持する義務。

b) それぞれの力に応じて、そしてそれぞれの所得に相応する範囲で、党を財政的に支える義務。

c) 選挙運動において、選挙綱領の普及と、左翼民主党の名簿ないしそれによつて支持された名簿の勝利のために努力する義務。どのような場合にも、党の選挙運動に重大な積害を与えるようないかなる公然たる立場表明も行なわない義務。

d) 党内での両性間の関係が、常にそれぞれの権利と尊厳を尊重するものであるようにするために努力する義務。

(二) 男女の党員によつて集団的に推進される重要な大衆的イニシアティヴは、調整の目的のためにさまざまなレベルの指導機関に通知される。

 第八条 男女の支持者の権利

(一) 左翼民主党の男女の支持者は、以下のような権利をもつ。            .

a) 党の大衆的イニシアティヴや、自分たちが参加しうるすべての集会、会議、活動に関して速やかに情報を与えられる権利。

b) 政策の形成と検証、地方および州レベルの議員との討論、党の機関や議員によつてとられた政治的方針や選択の総括などのための集会に参加する権利。

(二) 左翼民主党の州連盟は、州レベルや地方レベルにおいて、前項の権利の行使のための規則や、政策や候補者に関して男女の支持者の意見を聞くための規則を作成することができる。

 第九条 女性たちのイ二シアティヴ・センター

(一) 地域において、女性党員は、党の指導機関の了解を得て、党員ではない女性たちとともにイニシアティヴ・センターの形成を行なうことができる。

(二) イニシアティヴ・センターに参加している左翼民主党の女性党員は、地域連盟の大会への自分たちの代議員を選出する。

(三) イニシアティヴ・センターに対しては、政策の形成や選挙名簿の作成に関して提案を行なう権利が認められる。

   第三章 党の組織

 第一〇条 党の組織構造

(一) 党の組織構造は、第一四条が州連盟に対して認めている組織権限を別にすれば、通常以下のものによつて構成される。 (a) 基礎単位、 (b) 市町村連盟、(C) 県連盟、(d) 州連盟。

(二) 国家の州分権的改革の提案と首尾一貫する立場から、党は州レベルを自らの組織の基軸とし、政策形成や政治指導における州連盟の自律的な役割を承認し促進する。

 第一一条 基礎単位

(一) 左翼民主党の基礎単位は、通常、以下のものである。地域支部、労働や学習の場におけるサークル、(第二一条第六項に規定されている基準に基づく) 問題別の支部 (地域的範囲を特定しない場合もありうる)、女性のみによつて形成される支部。さらに、女性たちは地域支部やサークルの内部に自律的なグループを形成することができる。

(二) 基礎単位は、それぞれの社会的・地域的領域において党の組織化やイニシアティヴを推進する。

 第一二条 市町村連盟

(一) 県委員会は、複数の基礎単位が存在する市町村に市町村連盟を設立することを決定し、それにその地域における党の自己組織化権限を委ねる。

(二) 市町村連盟は、市町付の領域における党の政治的イニシアティヴ全体を指導する。

  1. それぞれの市町村連盟は、一つの市町村の領域を包含する。
  2. 小規模な市町村が複数存在している場合には、連盟は複数の市町村にまたがることがありうる。

() 大都市地域においては、連盟は地区段階に形成されなければならない。

() 市町村連盟が形成された場所においては、市町村連盟は問題別支部を作ることもできる。どのような問題に関して支部が形成されるかは、全国評議会が投票権者の過半数によつて決める。そして、いずれにしろ、全般的な性格の政治的・思想的問題に関する問題別支部を形成することはできない。

 第一三条 県連盟

(一) 県連盟は、通常、県ないし大都市を基礎として形成される。ただし、各州連盟が異なつた決定をした場合はその限りではない。

(二) 各県連盟は、その担当地域における政治的イニシアティヴを指導し、担当地域に存在している市町村連盟、複数の市町村にまたがる連盟、大都市の地区連盟の活動を調整し、それらの了解を得て、その県や大都市にかかわる政策方針や政治的選択を決定する。

 第一四条 州連盟

(一) 州連盟は州内の党の政治的イニシアティヴを指導する。

(二) 州大会の開始前に採用されるべく全国評議会の決議によつて決められた基準に従って、全国指導委員会によつて州連盟に対して権限、職務、資源が与えられる。

(三) 州連盟は、党の全国指導委員会および関係する県連盟の了解を得て、活動の客観的必要性との関係において組織レベルの異なつた編成を決定することができる。

(四) 州連盟が自らの自律的な規則制定権限を行使する際の決定文書は、党の指導委員会に通知されなければならない。指導委員会は州連盟に対して再検討と新たな決定を求めることができる。

(五) 各州連盟は、財政規則に基づいて諸資源の使用を計画化する役割を果たし、党の全国予算の作成に参加する。

(六) 州連盟は党によつて州の選挙に提出される名簿の名称とシンボルを決定する。その決定は全国指導委員会の承認を受ける。

() 左翼民主党は、民族的・文化的な、あるいは政治的・制度的な自立性の特殊な問題が提起されている州において、本規約の諸原則を堅持しつつ、州規約を承認することができ、政治的・綱領的協定に基づいて左翼民主党と結合する自立的な組織の形成を決定することができる。その規約と政治的・綱領的創立協定は、全国評議会の構成員の絶対多数によつて承認され、本規約に付加される。

() 前項の規定は、トレント県およびボルツアーノ県にも適用される。

 第一五条 党組織の責任

(一) それぞれの党組織は、大会によつて決定された政治的・綱領的な方針を尊重しつつ自らのイニシアティヴで、現われている問題や自らが関心をもつ問題に取り組み解決する。また、全国政治および国際政治のあらゆる問題について立場を表明することができる。

(二) それぞれの党組織は、指導機関によつて採られた決定や方針を実行する義務、新しい党員を獲得する義務、新しい幹部の養成を推進する義務、党の財政的必要に協力する義務を負う。

(三) 指導槻関および執行機関は、特別多数が規定されている場合を除き、単純多数で決定を行なう。それらの機関の運営方法や内部構成はそれぞれの機関の自己管理権に委ねられる。その自己管理権は、規約によつて規定された諸原則と合致するような仕方で行使される。

(四) 指導機関は、男女の党員や男女の有権者に対して開かれた集会において、自らの活動について定期的に---そして少なくとも一年に一回――報告する義務がある。

(五) それぞれの党機関やあらゆるレベルの個々の指導者は、集団の書見や志向を聞き取り、より広範な討論や自覚的な党活動のために必要なあらゆる情報を提供し、前記の策五条、第六条が規定する個人的、集団的な権利の行使を保障することによつて、男女の党員の活動を助ける義務がある。

(六) 指導機関が規約に合致する仕方で行なつた決定は党組織を拘束する。そして、全国的指導機関が行なつた決定は党全体を拘束する。ただし、前記第五条、第六条が規定する男女の党員の権利にかかわる場合は除かれる。

(七) 指導機関は、政治活動における性別分業を克服するために必要なあらゆる措置をとる義務がある。そのために、指導機関は諸段階や様式を設定し成果を定期的に検討する。

(八) 地域、県、州、および全国の指導機関は、十分意味のある程度において男性労働者と女性労働者を含んでいなければならない。

 第一六条 外部の諸団体との協定

(一) それぞれのレベルの党組織は、本規約の前文において規定されている原則や価値に対応するような目標を追求している外部の諸団体と協定を結ぶことができる。

(二) 協定の目的、および党組織と外部の団体の相互の権利と義務は、通例として、正式の文書において規定されなけれはならない。

(三) 当該の各組織に関して、外部の団体との協定は大会によつて選出された対応する指導機関によつて承認される。

(四) 党組織と外部の団体は、期限の限定された特定の活動のために非党員を登録することができる。それは、その特定の活動そのものに関連する党活動に参加するといぅことを意味する。

   第四章 大会

 第一七条 大会

(一) それぞれの党組織および党全体にとって、最高決定機関は大会であり、大会の決定はすべての組織を拘束する。

(二) 大会は政拾情勢を検討し、対応する組織の政治方針を決定し、提出された文書についての判断を表明する。

(三) 大会の運営方法は、全国評議会によつて大会規則として規定されなければならない。臨時大会の場合には、大会を招集する機関によつて規定される。

(四) 大会規則は、党員数に比例して代議員数を決定するための基準を決定する。大会規則は、最近の総選挙において当該地域で獲得された票数や、大会における投票者の数を考慮する修正基準を決定することができる。

(五) 競い合う複数の政策綱領に基づいて大会が展開される場合には、全国評議会によつて承認される大会運営の規則は、それぞれの綱領に対して大会運営における対等な条件を保障する。

(六) 大会はその冒頭において大会の議長団および議長を選出し、議事日程を決定し、規約および大会規則の規定に合致する仕方で大会の運営規則を採択する。

() 大会議長団は指導機関としての役割を担う。その任務は大会規則によつて明確に規定される。

() 大会はそれぞれの組織レベルについて規定された期日に招集される。

() 臨時大会は、上級の指導機関によつて提起され、その構成員の三分の二の多数によつて採択された決定によつて招集することができる。臨時全国大会は、左翼民主党の全国評議会によつて招集することができる。

 第一八条 基礎単位の大会 (略)

 第一九条 市町村連盟(複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む) の大会 (略)

 第二○条 県連盟の大会 (略)

 第二一条 州連盟の大会 (略)

 第二二条 全国大会

(一) 党の最高審級は全国大会である。全国大会は全国評議会によつて少なくとも三年ごとに招集され、全国評議会によつて決定された規則に従って選出された代議員によつて構成される。臨時大会は、全国評議会の決定、あるいは少なくとも三つの州連盟ないしは少なくとも党員の三分の一を代表する組織によつて提起された要求によつて招集することができる。

(二) 大会は政治情勢を検討し、議事日程にのせられた諸問題や全国評議会と全国保障委員会の活動報告を議論し評価する。大会は、党の政治的綱領的方針および掲げる目標を決定する。

(三) 大会は、全国評議会、全国保障委員会、および全国監査人団を選出する。

 第二三条 テーマ型大会

(一) 州委員会および全国評議会は、州選挙および総選挙を考慮して、選挙綱領の重要点を承認するために、通例としてテーマ型大会を招集する。そのほかに、特定の政治問題を検討したり、個別テーマについて決定を行なったり、あるいは党組織の状況を検討したりするためにテーマ型大会を開くことができる。

(二) 第一項において指示された機関は、党組織の代議員を選出する方法、および男女の党員たちによつて担われるさまざまな団体、センター、テーマ別フォーラムや本規約第一六条が規定しているような党が協定を結んでいる外部の団体の代表を選択する方法を決定することによつて、テーマ型大会のための規則を承認する。それらの諸団体の代表は、発言権と提案権はもつが投票権はもたずに大会に参加する。

(三) テーマ型大会には、当該レベルの指導機関と保障機関の構成員は権利として参加する。テーマ型の州大会には、州議会議員もまた権利として参加する。テーマ型の全国大会には、党の下院議員、上院議員、ヨーロッパ議会議員は権利として参加する。州レベルおよび全国レベルにおいて党のリストで選出された非党員の議員は投票権をもたずに参加する。

 第二四条 全国女性会議

(一) 女性会議は、女性の構想や政治を議論し、そうした政治の全般的な方針と目標、および党の政治的・綱領的な方針への女性の協力を決定する。

(二) 女性会議は、地域連盟、県連盟、および州連盟の領域内で招集することができる。

(三) 全国女性会議は少なくとも三年ごとに招集される。

(四) 女性会議は、女性評議会によつて決定され党の指導機関によつて承認された規則に従って招集される。

 第二五条 男女の労働者の会議

(一) 左翼民主党の男女の労働者の全国会議は全国評議会によつて定期的に招集される。

(二) 男女の労働者の全国会議の代議員は、党の全国指導機関によつて決定された規則に従って、労働の場におけるサークル、および市町村連盟 (複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む) のレベルにおける会議から選出される。

(三) 男女の労働者の会議は、地域連盟、県連盟、および州連盟の領域内で招集することができる。

 第二六条 レファレンダム

(一) 特に重要な問題や政治的選択に関して、それぞれの指導機関は男女のすべての党員を対象とするレファレンダムを公示することができる。

() レファレンダムの結果は、それを公示した党組織にとつて拘束的である。

(三) 全国評議会は、規則によつて公示の手続きを決定し、レファレンダムに付すことのできる問題を決定する。

  第五章 指導機関

 第二七条 基礎単位の指導機関

(一) 基礎単位においては、大会が指導委員会と保障委員会を選出する。

(二) 指導委員会は書記長と会計責任者を選出する。

 第二八条 市町村連盟 (複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む)の指導機関

(一) 市町村連盟 (複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む) の委員会は男女の党員を代表し、連盟の政治方針やその地域に関する党の政策的選択を決定する。また、自らの基礎単位の設立を決定する。

(二) 連盟委員会は、規則に従って自らの活動および内部組織を規律する。

(三) 委員会は書記長を選出し、その提案に基づいて執行機関を選出する。

(四) 連盟委員会は会計責任者を選出する。

() 連盟委員会は少なくとも一力月に一回開かれる。

 

 第二九条 県連盟の指導機関

(一) 県委員会は県連盟の領域における党の政治方針と政策的選択を決定する。そのために、市町村連盟書記長会議、あるいはなされるべき決定に関わる市町村連盟委員会との合同会議を招集することができる。

(二) 県委員会は県連盟の書記長を選出し、その提案に基づいて県指導委員会 (政治指導を任務とする機関)、執行機関、および会計責任者を選出する。

(三) 書記長は、最初の投票においては投票権者の絶対多数によつて選出される。それ以後の投票においては、選出のためには投票者の絶対多数が必要とされる。

(四) 県委員会は、規則に基づいて自らの活動と内部組織を規律する。また、議長と、指導活動や執行活動に携わつていない三ないし五人のメンバーによつて全体が構成される議長団を選出する。

(五) 県委員会は少なくとも二力月に一回開かれる。

() 県委員会の議長団は、県連盟の執行機関との合意によつて、また、いずれにしろ委員会そのものの楕成員の三分の一が要求した場合には、県委員会を招集しその議事日程を決定する。

(七) 県議会の選挙、県庁所在地である市町村議会の選挙、および比例代表制で投票が行なわれる市町村の選挙に関わる名簿の作成のためには県委員会の決定が必要とされる。県議会の選挙が複数の県連盟に関わる場合には、名簿は関係する県連盟の合意によつて作成される。

(八) 県委員会は、県議会および人口二万人以上の市町村の議会における〔政党間の〕 連合を承認する。

(九) 左翼民主党の名簿によつて選出された者が参加する政府連合の承認のためには県委員会の決定が必要とされる。

(一〇) 県保障委員会の議長団事務局の構成員は、権利として県委員会に加わる。

(一一) 県委員会の議長と県保障委員会の議長は、権利として県指導委員会に加わる。

 第三〇条 州連盟の指導機関

(一) 州委員会は男女の党員を代表し、州の領域における党の政治方針を決定する。

(二) 州委員会は、第一四条が規定している自律的な規則制定権が州連盟に対して認められるのはどのような事柄に関してかを、構成員の絶対多数によつて決定する。

(三) 州委員会は党の州書記長を選出し、その提案に基づいて州指導委員会 (政治指導を任務とする機関)、執行機関、おょび会計責任者を選出する。

(四) 書記長は、最初の投票においては投票権者の絶対多数によつて選出される。それ以後の投票においては、選出のためには投票者の絶対多数が必要とされる。

(五) 州委員会は、規則に基づいて自らの活動と内部組織を規律する。また、議長と、指導活動や執行活動に携わっていない三ないし五人のメンバーによつて全体が構成される議長団を選出する。

(六) 州レベルにおける党機関の構成およびその変更、州レベルにおける名簿の作成、県レベルや県庁所在地である市町村における名簿の承認のためには州委員会の決定が必要とされる。

(七) さらに、前項に規定されているような場合において左翼民主党の名簿によつて選出された者が参加する政府連合の承認のためにも、州委員会の決定が必要とされる。

(八) 州委員会は少なくとも二力月に一回開かれる。

(九) 州委員会の議長団は、州連盟の執行機関との合意によつて、また、いずれにしろ委員会そのものの構成員の三分の一が要求した場合には、州委員会を招集しその議事日程を決定する。

(一〇) 州委員会には、左翼民主党の州議会議員団の代表が、州委員会そのものによつて決定される人数で、発言権と提案権をもって権利として参加する。

(一一) 州保障委員会の議長団事務局の構成員は、権利として州委員会に加わる。

(一二) 州委員会の議長と州保障委員会の議長は、権利として州指導委員会に加わる。

 第三一条 全国指導委員会の提案

(一) 県書記長および州書記長の選出にあたり、内部規則によつて規律されたそれぞれの機関の提案権のほかに、全国指導委員会にもまた自らの提案を提出する権利が認められる。

 第三二条 全国評議会

(一) 全国評議会は左翼民主党の最高の代表機関である。

(二) 大会議長は、党の書記長を選出するために、全国評議会が選出され次第ただちにそれを招集する。

() さらに、全国評議会は、議長と、指導活動や執行活動に携わつていない三ないし五人のメンバーによつて全体が構成される議長団を選出する。

() 全国評議会は党の全国指導委員会を選出する。

() 全国評議会は、大会によつて決定された政治方針を改訂しその実行を検討するために、少なく年に二回開かれる。さらに、全国評議会は、選挙運動にかかわつて、あるいは党組織の総体的な活動が行なわれるあらゆる機会に、左翼民主党の政策的選択を決定するために招集される。

() 全国評議会は、規則に基づいて自らの活動と内部組織を規律する。

(七) 全国評議会は自らの活動をさまざまな委員会に分割することができる。その委員会の構成や任務は全国評議会の規則によつて規定される。さらに全国評議会は、非党員にも開かれた諮問会議の設立を決定し、その橋成と任務を決定することができる。諮問会議の文書は全国評議会によつて検討されなければならない。

(八) 全国評議会には、一〇人の下院議員、五人の上院議員、三人のヨーロッパ議会議員によつて構成される議員グループの代表団が常任代表として参加する。

(九) 前項の規定によつて全国評議会に参加する議員は、発言権と提案権をもつ。また、綱領と制度問題についての投票権をもつ。

(一〇) 全国評議会の議長は、全国評議会の招集を準備し、その活動を管理し、その公開性を保障する。さらに議長は、その構成員の三分の一の要求があつた場合にも全国評議会を招集する。

(一一) 全国評議会の構成員ではない州書記長と県書記長は、発言権と提案権をもってその活動に参加する。さらに、PDSに加入している労働組合指導者もまた同様の権利をもつて全国評議会に参加する。

(一二) 全国保障委員会の議長団事務局の構成員は、権利として全国評議会に加わる。

 第三三条 補充

(一) 県、州、および全国の指導機関において、通常の選出手続き以外に、通例としては職務を退いた他の構成員の代わりとして、指導機関に加わる新しい同志を補充することが例外的に許される。あらゆる補充は、指導機関の構成員の三分の二の多数によつて決定されなければならない。長期にわたつて理由なく指導機関の活動に参加しない場合には、その議長団は当事者に対して辞任を要求することができる。

(二) 前項の規定は、本規約が発効して以降二年以内において適用される。

 第三四条 女性評議会

() 女性評議会は、女性たちの出会いの場、コミュニケーションの場、さまざまな経験や企画の検討の場であり、また彼女たちの政策やイニシアティヴを練り上げる場でもある。

(二) 評議会は、党の政治やイニシアティヴに対する、女性会議によつて決定された方針や目標の範囲内における女性たちの自律的な協力を議論し決定する。

(三) 女性評議会は、党の指導機関の招集や、その議事日程にのせるべき問題に関して提案権をもつ。さらに、第二条第二項が規定している候補者選択の基準や候補者名簿に関する提案権をももつ。

(四) 評議会は、その活動のための規則、とりわけ招集方法に関する規則を制定する。

() 評議会は企画を決定し、女性たちの政治的イニシアティヴおよび党の指導機関によつて委任された諸問題について決定を行なう。

() 女性評議会を構成する基準は、第一回の全国女性会議によつて決定される。ただし、あらゆるレベルの党の指導機関に選出された女性たちは、女性評議会に参加するかどうかを選択する権利をもつ。

() 女性評議会は、その活動を遂行するために、さまざまなレベルで調整委員を選出し、また、必要と認めた時には執行部を澤出する。

 第三五条 全国指導委員会

(一) 全国指導委員会は、大会決定および全国評議会によつて決定された方針の範囲内において、党の政治指導の活動を保障する。

(二) 指導委員会は書記長が招集し議長をつとめる。指導委員会の活動は記録される。その公開性は指導委員会によつて決定される。指導委員会の楕成員ではない州書記長は、発言権と提案権をもつてその活動に参加する。

(三) 指導委員会は、書記長の提案を受けて、その活動の組織形態を決定し、さまざまな活動部門の責任者を指名する。

(四) 指導委員会はより小規模な政治的機関や執行機関の設置を決定することができる。それらの機関の構成員は、書記長の提案を受けて指導委員会によつて選出される。

(五) 指導委員会は、議員団長、州書記長、市長連絡会とともに、党の全国予算を承認する。

() 全国評議会の議長と全国保障委員会の議長は、権利として指導委員会に加わる。

 第三六条 全国書記長

(一) 全国書記長は党を政治的に代表する。

() 全国書記長は指導委員会を招集しその議長をつとめる。

(三) 全国書記長は、全国評議会によつて投票権者の絶対多数をもって選出される。

 第三七条 合議制機関の選出の基準

(一) 大会における投票の方法は関連する大会規則によつて決定される。ただし、次項で規定される比例代表の基準は堅持される。

(二) 代表ないし政治指導の任務をもつ合議制機関は、大会で表明されたさまざまな立場の比例代表の基準に基づいて選出される。

(三) さらに、代表ないし政治指導の任務をもつ合議制機関は、それぞれの組織の規模の違いを考慮して選出される。しかし同時に、小規模な組織が十分に代表されることも保障される。

(四) 県連盟の指導委員会、州連盟の指導委員会、全国指導委員会は、それぞれ県委員会、州委員会、全国評議会によつて、それぞれの組織の書記長の提案を受けて選出される。提案を作成するにあたり、書記長は自らが主宰する委員会を活用する。委員会はそれぞれ書記長の提案を受けて三つの擦関によつて選出される。

 

 第三八条 全国会計責任者と会計委員会

(一) 全国指導委員会はその構成員のなかから全国会計責任者を選出する。全国会計責任者は、規約第五三条に規定されている職務を全国レベルにおいて遂行する。

(二) さらに、全国指導委員会は、会計責任者によつて主宰され構成員が五人を越えない会計委員会を選出する。会計責任者および会計委員会の選出は、指導委員会の構成員の三分の二の多数によつて行なわれる。

 第三九条 指導組織およぴ活動組織の形成

(一) それぞれの組織は、党における現在の男女間の分業を克服する義務を負う。そして、その目標を実現するために積極的な活動とあらゆるイニシアティヴを決定し推進する。

(二) 指導組織おょび活動組織の形成においては、フル・タイムの指導者とパート・タイムの指導者がバランスよく存在することを保障するために、パート・タイムで党活動に携わつている非専従の指導者を最大限に活用しなければならない。

(三) フル・タイムないしパート・タイムの職員の採用は、その活動が市町村連盟、県連盟、州連盟の範囲内のものである場合には州委員会の定めた基準に従って決定され、またその活動が党の全国指導委員会のもとでなされる場合には全国指導委員会の定めた基準に従って決定される。

(四) 党は指導者おょびすべての党職員の職業的・文化的教育を保障する。そのために、有給教育期間を保障する。

   第六章 保障機関

 第四〇条 保障機関とその権限

(一) 基礎単位および市町村連盟の保障委員会、県保障委員会、州保障委員会、全国保障委員会、全国監査委員会は、党のそれぞれのレベルにおける民主主義的活動の保障機関であり、党員の権利の尊重と討論への自由な参加を保障する。

(二) 保障機関はそれぞれの大会において選出され、政治指導機関と同じ任期をもつ。そして、次回大会に対して自らの活動に関する責任を負う。

(三のa) 保障機関は、規約の正しい適用、個々の党員および党組織の権利の尊重と義務の履行を審査する。

(三のb) 保障機関は、本規約第八章の規定に基づいて、規律手続きを扱い決定する。

(三のc) 保障機関は、予算、決算、および財政資産や組織決定とそれらの対応関係を審査する。

(三のd) 保障機関は、必要に応じて査察を行なうことによつて、資産の運用や管理が規定通り行なわれているかどうかを審査する。

 第四一条 基礎単位と市町村連盟の保障委員、県と州の保障委員会(略)

 第四二条 全国保障委員会 (略)

 第四三条 全国監査委員会 (略)

  第七章 党の会議と投票方法

 第四四条 会議の公開と会議の運営

(一) 党の大会や会議は、代議員や指導機関の選出について議論される場合を除き、通例として公開である。特に微妙な問題に関しては秘密会議を開くことができる。

(二) 基礎的地域連盟の総会やその分科会は通例として公開である。

(三) 指導機関の討論は、それが定める方法に従って通例として公開される。保障機関の決定も同様の仕方で公開される。

(四) 指導機関は、あらかじめ連結された議事日程に基づいて招集されなければならない。討論は公式の文書をもって終了しなければならない。決定は、機関そのものの構成員の少なくとも半数の出席と、出席者の多数をもって行なわれる。

() 会議の時間は最大限広範な男女の同志たちが参加できるようなものでなければならない。そのために、開始時間と終了時間が明示されなければならない。

(六) 党の会議においては喫煙が禁止される。

 第四五条 投票方法

(一) 政治的性格の文書に関する殺票はすべて公開投票である。

(二) 大会によつて選出される指導機関と保障機関、代表機関によつて選出される指導機関と執行機関、および大会代議員は、直接の記名投票で選出される。公開投票は一斉投票で行なうことができる。大会では、投票権者の少なくとも一〇分の一の要求があつた場合には秘密投票とされる。全国評議会、州委員会、県委員会、およびさまざまなレベルの保障機関によつて行なわれる記名投票は、それぞれの機関によつて定められた方法によつて通例として秘密投票とされる。

   第八章 党の規律

 第四十六条 義務の遵守

(一) 党への加入には、これまでの諸条項によつて規定されている義務の履行が必要とされる。男女の党員には、規約の尊重および党内や社会生活における適正な行動が義務づけられる。

(二) 規約の規定や党への加入に伴う義務に違反した者は誰でも、規律手続きに付される。

(三) 規約によつて承認されている権利の行使は、規律手続きの対象とすることはできない。

 第四七条 規律手続き

(一) 規律手続きの開始要求は、その要求が対象としている男女の党員が構成員となつているかどうかには関わらず党のどの指導機関によつても提起されうる。

(二) 第一審級の規律手続きの要求は、それぞれ当該の男女の党員が所属する市町村連盟 (複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む) の保障委員会へ提出される。また、指導機関の構成員の場合は、同レベルの保障機関へ提出される。

(三) 管轄の保障機関は、要求を受け取るとただちに男女の当事者に連結を行ない、嫌疑の事実を完全に明示する。

(四) 討論は、五ないし七人の委員会において、規律手続きが開始されてから三力月以内に行なわれる。その委員会は、保障機関によつてあらかじめ定められた規則に従って保障機関内の互選で選出される。委員会の活動を保障するために、必要に応じて補欠の委員を選出する。委員会は保障機関の議長によつて主宰され、保障機関の任期全体にわたつてその職務を遂行する。

(五) 前項が規定している討論の条件が尊重されていない場合には、要求した機関ないし当事者は、一級上級の保障委員会に訴えることができる。

(六) 男女の党員は、嫌疑の基礎となっている事実が何であるかを知る権利をもつ。

(七) 保障機関の議長は、しかるべく事前に、討論の期日と時間を設定し、手続きに付された男女の党員や必要とされる証言者を招集する。

(八) 保障委員会の議長は、手続きの開始を要求した指導機関に討論の期日と時間を連結する。その指導機関は代表者に要求の根拠の説明を委任することができる。

(九) 当事者ないしは手続きの開始を要求した機関によつて文書の入手や証言の聴取が要求された場合には、規律手続きのための委員会が決定する。

(一〇) 規律手続きのための委員会は、自らの自由な納得に基づいて証拠や論拠を評価することによつて、手続きに付された男女の党員の嫌疑が根拠をもつかどうかを審査する。

(一一) 討論が終わると、委員会の構成員だけの会議において決定がなされる。

 第四八条 規律的処罰

(一) 規律的処罰としては以下のものがある。

a) 文書による警告

b) 党組織における職務からの罷免

c) 一力月から六力月までの党員権停止

d) 除名

(二) 処罰は、男女の当事者ないし規律手続きの開始を要求した指導機関の側からの不服の申し立てがない場合には、決定から二〇日後に執行される。

(三) 市町村連盟(複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む) 保障委員会および県保障委員会によつて設置された委員会の規律的決定については、州保障委員会によつて設置された規律手続きのための委員会に対して不服を申し立てることができる。州の委員会の決定については、中央の保障機関によつて設置された規律手続きのための委員会に対して不服を申し立てることができる。全国機関の構成員にかかわる決定については、中央の保障委員会によつて設置された委員会が、不服申し立てを受けて事件を再検討する。そして、すでになされた決定を修正ないし確認することができる。

 第四九条 司法手続きの効果

(一) 規律手続きは、当該事実から生じた民事訴訟ないし刑事訴訟とは独立に遂行される。

(二) 規律手続きは、当該の男女の党員に対する刑事手続きが係争中である場合には停止することができる。ただし、保全手続きがとられた場合を除く。

(三) 刑事罰を受けたために公職停止となつた男女の党員、あるいは重罪判決が確定した男女の党員は、党から除名される。

 第五〇条 保全手続き

(一) 規律手続きの開始時点ないし過程において、当該の男女の党員が所属する組織の保障機関は、関係者の証言を聴取したうえで、党員権停止を決定することができる。その保障機関の決定に対しては、当該党員も党員権停止を要求した指導機関も中央の保障機関へ不服を申し立てることができる。その申し立てを行なうことができるのは二〇日以内である。

(二) 刑事手続きに付された男女の党員は、その個人的自由を制限する手続きがなされた日から、党員権を停止される。ただし、その手続きの採用に重大な理由が伴う場合を除く。不服申し立てについては前項の規定が適用される。被疑者が所属する組織の保障機関は、党員権停止が公表されるようにする。

(三) 刑事手続きに付された男女の党員の党員権を停止することができる。党員権停止はあらゆるレベルの指導機関が要求することができ、当該党員が所属する組織の保障機関によつて---当事者からの聴取を行なつたうえで---決定される。保障機関の決定に対する不服申し立てについては第一項の規定が適用される。

(四) 著しく放免的な判決が出された場合には、当該の男女の党員はただちにすべての権利を回復する。管轄の保障機関は、そのことが公表されるようにする。

(五) 調査を受ける当該党員は、自発的党員権停止に訴えることができる。それは管轄の保障機関に連絡されなければならない。保障機関はそれを拒否ないし確認することができる。自発的党員権停止の確認は、保障機関による保全的党員権停止採用の代替となる。

 第五一条 指導機関の解散

() 極度の必要性がある場合には、全国指導委員会は、全国保障委員会の見解を聞いたうえで、県委員会ないし州委員会を解散することができる。同様に、州委員会は、州保障委員会の見解を聞いたうえで、市町村連盟(複数の市町村にまたがるものや大都市の地区におけるものを含む)ないしその下部組織を解散することができる。州委員会の決定は全国指導委員会によつて承認される。解散を決定した機関は、組織を指導し六カ月以内に臨時大会を招集する任務をもつ暫定委員会と責任者を指名することができる。

(二) 極度の必要性がある場合には、県委員会は基礎単位を解散することができる。その決定は、執行される前に州指導委員会の承認を受けなければならない。州指導委員会は全国指導委員会の承認を受ける。

(三) 上級の組織の大会が公示されて以降は、どのような組織も解散することはできない。

   第九章 党の管理

 第五二条 党の資産管理、財政管理の活動(略)

 第五三条 財政責任者 (略)

   第一〇章 議員

 第五四条 候補者 (略)

 第五五条 市町村およぴ県の選挙の候補者 (略)

 第五六条 州議会議員 (略)

 第五七条 州およぴ地方の議員団 (略)

 第五八条 下院議員およぴ上院議員.(略)

 第五九条 ヨーロッパ議会議員 (略)

 第六〇条 国会議員団 (略)

 第六一条 影の政府

(一) 国会議員団は、左翼民主党の全国指導委員会の合意をえて、影の政府を選出し、その構造と主要な活動方法を決定することができる。

(二) 影の政府は党の書記長によつて主宰される。

 第六二条 議員団と党の機関との関係 (略)

 第六三条 影の地方政府 (略)

 

   第一一章 情報

 第六四条 情報手段 (略)

   第一二章 党員証と党のシンボル

 第六六条 党員証 (略)

 第六六条 旗とシンボル (略)

 

   第一三章 規約の改正と規則

 第六七条 規約の改正 (略)

 第六八条 規則 (略)

 

   第一四章 最終規定および暫定規定

 第六九条 全国女性会議 (略)

 第七〇条 入党 (略)

 第七一条 指導機関の選出 (略)

 第七二条 規約の検証 (略)

 第七三条 県および州の指導機関の選出 (略)

 第七四条 権限の委譲 (略)

 

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