護憲・活憲運動における共産党のセクト的対応

 

改憲阻止勢力を総結集させる上での共産党の本気さ?

それを疑わせるセクト的排他的誤りの事例・基礎データ集

 

(宮地作成・編集)

 〔目次〕

   1、第24回大会決定の憲法改悪阻止方針のレベル

   2、新社会党からの「憲法改悪阻止協議」の拒絶対応のデータ

       新社会党本部通知4項目の全文−とくに共産党側の本音発言 追加

   3、新左翼党派を護憲・活憲運動から排除せよとの党中央指令記事

   4、9条の会におけるセクト的独善的言動のデータ

   5、9条の会よびかけ人問題における排他的言動のデータ

   6、第24回大会9日後の大転換=社民党に改憲阻止共闘の申入れ

       朝日新聞2月15日社説 共産と社民 昔の夢よ再びですか

       毎日新聞 2月23日 記者の目 存亡かかる共産・社民=尾中香尚里

       google検索『共産党 社民党 憲法 共闘』

 

 〔関連ファイル〕         健一MENUに戻る

    『共産党が護憲・活憲運動内で行う排他的言動の検討』

          共産党のセクト的分裂策動をやめさせるには

    HP『九条の会』 『あいち九条の会』

    加藤哲郎『護憲・活憲・論憲・創憲・改憲』憲法問題リンク集

          『1942年6月米国「日本プラン」と象徴天皇制』

    五十嵐仁『転成仁語』新著『活憲』注文。活憲・護憲でのコメント多数

    原仙作『護憲論の教条化を生み出す土壌−千坂さんへ』

    Google検索『憲法改定』

 

 1、第24回大会決定の憲法改悪阻止方針レベル

 

 2006年1月14日、日本共産党第24回大会は、決議・中央委員会報告を、代議員約1000人の満場一致で決定した。1961年第8回大会が宮本61年綱領を満場一致で決定して以来、これで、日本共産党は16回・45年間連続の満場一致党大会を見事に成功させ続けてきた。45年間、党大会において、基本決定に関して、反対・保留挙手をした党大会代議員は一人も出なかった。これは、資本主義国共産党運動史上における満場一致大会の世界新記録をさらに更新した。

 

 ただ、2000年第22回大会において、東京の弁護士代議員が、自衛隊容認の中央委員会報告に保留したが、42年ぶりの規約全面改定には賛成挙手をした。2003年第23回大会で、京都の代議員が、中央委員会報告内の日本語がおかしいと反対挙手をしたが、43年ぶりに全面改定をした不破綱領には賛成した。全面改定の規約・綱領という基本決定には賛成をしているので、これらも満場一致大会と規定する。

 

 この党大会における憲法改悪阻止方針レベルを、志位和夫『中央委員会報告』の抜粋で確認する。共産党は、憲法改悪阻止・護憲課題を大衆運動の中心の一つと位置づけている。ただ、方針の特徴は、()その課題で他政党・他党派と共同する現状にないと規定し、よって、()無党派との共同を広げる、とした。しかし、その裏側の実態と本音が、下記2〜5の事例・基礎データ集によって、早くも露呈されてきた。

 

    共産党・志位和夫『第24回党大会にたいする中央委員会報告』以下は報告原文の抜粋

                『第24回党大会の全内容』

 

 「憲法改悪反対の一点でのゆるぎない国民的多数派を結集するために、党の存在意義をかけて総力をあげてたたかう」。「わが党は、政治的立場、思想・信条の違いをこえた広い国民的共同の前進のために力をつくします」。「国民的多数派を結集する運動に力をそそごうではありませんか」。

 

 「わが党は、どんな課題でも、国民の利益にかなった一致点があるなら、他党との協力の門戸を開き、それを探求するという立場をつらぬいています。とくに憲法問題では、憲法改悪に反対し、その平和原則にそむくくわだてを許さないという一点での広い国民的共同をよびかけています。しかし、現在の日本の政党には、日本共産党との政党間の正式の共闘をためらう傾向が、憲法問題でも、根強い状況があります」。

 

 「国政選挙での共闘は、国政の基本問題での政策的一致と、先方に共闘をおこなう意志が必要であり、その条件がある相手は、全国政党としては、現在は存在していません」。「一つは、日本共産党と無党派との共同であります。その運動体としては、全国革新懇の運動が重要です。この十年間に草の根での革新懇が倍加し、地域、職場、青年で合計七百五十八に達していますが、この運動の発展にさらに力を入れたい」。

 

 

 2、新社会党からの「憲法改悪阻止協議」申入れの拒絶対応

 

 〔小目次〕

   1、新社会党から共産党への「憲法改悪阻止の共同協議」申入れ文書

   2、共産党による「新社会党との協議拒絶」回答文書

   3、新社会党による『日本共産党の新社会党への「回答」について』本部通知

      新社会党本部通知4項目の全文−とくに共産党側の本音発言 追加

   4、新社会党声明『日本共産党の新社会党への「回答」について』

   5、共産党回答内容にたいする批判噴出

 

 1、新社会党から共産党への「憲法改悪阻止の共同協議」申入れ文書

 

 日本共産党中央委員会様

 日ごろのご活躍に敬意を表しております。
 さて、憲法改悪がいよいよ政治日程にのり、これに対抗する諸勢力の共同が喫緊の必要となってきています。
 つきましては、憲法改悪阻止の共同の可能性について、率直な協議をいたしたく存じますので、ご検討ください。
 なお、協議には新社会党からは横堀正一書記長他が出席する所存ですので、よろしくお取り計らいください。

 

    2005615 新社会党本部書記長 横堀正一

 

 2、共産党による「新社会党との協議拒絶」回答文書

 

 「政党間共闘の条件は存在しない」 共産党が新社会党の申し入れに回答

    200617()「しんぶん赤旗」

 

 日本共産党の浦田宣昭幹部会委員・国民運動委員会責任者(憲法改悪反対闘争本部事務局長)は六日、党本部で新社会党の石河(いしこ)康国副書記長に会いました。昨年来、新社会党から「憲法改悪阻止の共同の可能性について、率直な協議」のために、社民党を含めた三党の窓口をつくってほしいとの申し入れがあったのに対応したものです。

 

 浦田氏は、以下の三つの理由をあげて、新社会党との政党間共闘の条件は存在しないと回答しました。

 ひとつは、新社会党が人事構成や運動方針などで明らかなように、不法な「糾弾路線」で日本の民主主義に決定的な害悪を流しつづけてきた部落解放同盟(「解同」)と密接な関係にあることです。同党委員長の栗原君子氏は「解同」と一体の新社会党広島県本部委員長であり、「解同」は、今日でも大会の運動方針その他で日本共産党への不当な反共攻撃をおこなっています。

 

 第二に、新社会党綱領では、日本共産党を名指しした事実に反する不当な攻撃がおこなわれていることです。同綱領では日本共産党について、「『国旗・国歌』の法制化を認め」「日米安保条約問題の凍結を打ち出し」とか、「党の利益を階級全体の利益や大衆闘争や少数者の人権よりも上におく体質をもっています」などとのべています。

 

 第三に、新社会党の「憲法改悪阻止の共同」なるものが、社民党や共産党の政党要件を国政選挙で活用しようとする極めて党利・党略的なものであることが同党の基本方針などで明らかになったことです。

 

    共産党の拒絶回答『政党間共闘の条件は存在しない』

 

 3、新社会党による『日本共産党の新社会党への「回答」について』本部通知の4項目全文

 

 〔出典の根拠 AMさんからのメールより〕

 新社会党の本部通知第21号2006.1.9は某地区本部から入手したものです。私は新社会党員ではありませんが、市民運動などで新社会党のみなさんと付き合いがあります。日本共産党の新社会党への「回答」について、という題がついています。この文章は1、経過。2、1月6日の協議の概要。3、「回答」の問題点、4、当面の対応という4部構成からなっています。

 

 追伸 この資料の入手先は「新社会党を弱小だと思って日本共産党は馬鹿にしている」とか「新社会党から言われたのが日本共産党は気にくわないんでしょう」といった冷静な反応でしたが、様々な掲示板での基本的な事実関係をふまえない書き込みの横行には腹を立てていました。

 

 (宮地注)、以下の4項目全文をこのHPに転載することについては、(1)資料の入手先の了解と、(2)AMさんの了解を得た。このデータは、今後の憲法改悪阻止の一点で共同する政党間協議の第一歩資料として、きわめて貴重である。その全文を公表する意義は大きい。というのも、共産党が他政党・党派にたいして、どういう対応をし、協議の場において、どのような発言をしたのかを示す重要な証拠の一つになるからである。

 

 共産党は、2006年1月14日第24回大会において、次の志位報告内容を満場一致で決定している。「わが党は、政治的立場、思想・信条の違いをこえた広い国民的共同の前進のために力をつくします」。「国民的多数派を結集する運動に力をそそごうではありませんか」。「わが党は、どんな課題でも、国民の利益にかなった一致点があるなら、他党との協力の門戸を開き、それを探求するという立場をつらぬいています」。共産党の新社会党への拒絶「回答」と下記協議における本音剥き出しの発言内容は、共産党側のウソ・二枚舌の体質を証明するデータではないのか。

 

 〔小目次〕

   1、経過

   2、1月6日の協議の概要 共産党側の本音剥き出し

   3、「回答」の問題点

   4、当面の対応

 

 1、経過

 

 (1)、05年6月22日、日本共産党中央委員会に石河副委員長が出向き、「協議の窓口を設置してほしい」との文章をそえた申し入れ(別記全文)をおこなった。共産党は佐藤三男(労働局長、国民運動委員会副責任者)氏が対応し「協議して連絡する」との回答を得た。

 

 (2)、その後、返事がこないため、11月に幾度か電話で佐藤氏に催促したが、本人とつながらず、12月末になって浦田宣昭(書記局次長、幹部会委員)氏から「回答したい」との電話があった。

 

 (3)、06年1月6日に、石河が共産党中央委員会に出向き、浦田氏と吉村文則(国民委員会事務局長)から、要旨「赤旗」記事のような「回答」を得、若干のやりとりをおこなった。

 

 2、1月6日の協議の概要

 

 「回答」を得たあと、概略以下のようなやりとりをおこなった。

 (新社会党石河)、(1)「回答」内容自体に反論はあるが、今日は中身には踏み込まない。しかしせめて話合いの窓口を開くくらいの幅のある対応はできないのか。(2)首長選挙では各地で共闘できているのに「政党間共闘の条件がない」とはいかがなものか。

 

 (共産党浦田書記局次長)、(1)国政選挙における共同憲法だけでなく政策全般にわたる一致がないとできない。だから新社会党とも社民党ともできない。窓口設置も適切ではない。(2)首長選挙は、無所属を共同でおすのだから、性格が違う。

 

 (新社会党石河)、(1)首長選で共産党員を推薦し、かつ共産党の県委員会との協議もして共同している例はたくさんある。(2)各界から新社会党に護憲勢力の共同を国政選挙で実現せよとの切実な声が寄せられている。ばらばらでは大変なことになる。(3)一昨年の参院選ではいくつかの選挙区で共産党公認候補を推薦しようと新社会党側から申し出て、県レベルでは両党の協議が前進をみせたのに共産党中央からストップがかかった例もある。最初から全面的な共同を求めているのではなく、針の穴からでも可能な方法を探るためにも両党の話合いをすべきだ。(4)「回答」について「赤旗」に公表するのか。この理由で公表すると、共同にはいい結果をもたらさない。節度をもってはどうか。

 

 (共産党浦田書記局次長)、(1)各地の例はわかっているしすべて真剣に検討したうえでの回答だ。(2)護憲派の共同の要求はうちにも寄せられている。しかし社民党が憲法改悪反対を貫くかどうか不安が残っている。「九条の会」呼びかけ人で共産党と社民党の関係者が話しあうことすらできない。(3)国会では少数でも九条では改悪反対が多数派だから大衆運動で展望はひらける。将来も国政での共同ができないとは考えていない。機が熟せば社民党だけではなく民主党内や保守のリベラルも含めた共同をめざす。共産党と新社会党だけではインパクトがない。(4)党の各地から問い合わせもあるし、党の態度を示さねばならないので、「赤旗」に掲載する。

 

 (新社会党石河)、必要に応じまた話合いにくるが、それは応じるのか。

 (共産党浦田書記局次長)、わが党は共同のために常に開いている。

 

 3、「回答」の問題点

 

 従来から共産党県委員会との公式協議をした新社会党県本部に「回答」した内容をくりかえしたにすぎない。

 (1)、新社会党の「申入れ」には「社民党を含めた三党の窓口をつくってほしい」という要請は入っていない。まして比例選挙での共同はじめ国政選挙の共同を求めているわけでもない。「共同の可能性」について「協議する窓口」の設置を求めただけである。初対面の家のドアをノックしたら、家中を探し回って集めた「会えない理由」をありったけお客さんにつきつけて牡蛎のごとく閉じこもった。憲法の危機の中でのこの態度は極めて遺憾である。

 

 (2)、大衆団体としての部落解放同盟がどのような方針を持つかは当該組織の自主性の問題である。解放同盟と新社会党広島県本部が「一体」で「不当な反共攻撃」をおこなっているという主張に到っては、論外である。栗原委員長は「第9条の会・ヒロシマ」の副代表で重要な役割を担っており、広島県本部は一昨年の参院選挙で市民団体を通じて共産党も含めた幅広い共同候補実現に努力した事実をあげれば十分である。

 

 (3)、共産党の「国旗・国家の法制化」(99年)も「政権構想」(98年)における「日米安保条約の凍結」も事実である。他党への批判を明らかにするのは、共産党もおこなうことであって、なんら共闘の妨げとはならない。事実浦田氏も憲法改悪阻止では「民主党や保守のリベラル」とすら共闘すると明言した。

 

 (4)、「社民党や共産党の政党要件を…活用しようとする党利党略」にいたっては噴飯ものである。浦田氏とのやり取りではこれは昨年総選挙での近畿ブロックなどでの社民党との共同の試みをさすという。共同の確認団体の構成を求めつつも、緊急事態のもとで広範な有権者の切実な要求を実現するために、それこそ「党利党略」を犠牲にした妥協への、ためにする中傷である。

 

 4、当面の対応

 

 (1)、あまりにお粗末な内容の回答であるが、推測するに1月10〜13日にかけ共産党大会が開かれるので、党内の「引き締め」に懸命なようである。逆にいえば、それだけ各界や党内から、共同を求める意見が強まっていると思われる。

 

 (2)、そこで「回答」に過敏に反応し論争をひろげるのでなく、あくまで粘り強く共同を求める基本姿勢で臨む。またその方が、護憲勢力の共同を切望する広汎な人々の、わが党への信頼を高め、また各界の識者の共産党への意見具申も積極化すると判断する。いずれ共同を実現できる道であると考える。

 

 (3)、とはいえ、党と栗原委員長への中傷も含まれているわけなので、機関で慎重に審議し、なんらかの態度の公表を検討する。

 

 (4)、各県段階で、首長選挙の推薦・共同の依頼が県委員会や共産党関係者からある場合は、積極的に対応しつつも、この「回答」の問題性の指摘と共産党の善処を求めるようにされたい。また、「九条の会」など大衆組織で共同する共産党関係者にも積極的に問題を提起されたい。 以上

 

 4、新社会党声明『日本共産党の新社会党への「回答」について

 

    新社会党『声明・日本共産党の新社会党への「回答」』126日、その後削除

 

 〔私(宮地)の質問〕新社会党の「声明」は、新社会党HPに載っていたのを転載したのですが、その後削除されています。削除の理由は不明ですが。

 

 AMさんからの返事、新社会党はこの問題で過敏に反応するのではなく、ねばり強く共同を求めることを基本方針にしているようです。新社会党の主張がある程度伝わったから削除したというのが理由のようです。ちなみに『日本共産党の新社会党への「回答」について』は2006年2月7日の週刊新社会にも全文が載っています。

 本部通知第21号の文章と『日本共産党の新社会党への「回答」について』の文章ではだいぶトーンが違っていて、護憲協議に対しての新社会党の配慮の深さが分かります。

 

 2006年1月26日 新社会党本部 書記長横堀正一

 

 日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」(1月7日)に、新社会党からの05年6月15日の「協議」の要請にたいする「新社会党との政党間共闘の条件は存在しない」との回答が掲載された。

 その理由は、@新社会党が「部落解放同盟と密接な関係にある」こと、A党の綱領で共産党への「不当な攻撃」をしていること、B「社民党や共産党の政党要件を国政選挙で活用しようとする…党利党略」があること、という。

 

 わが党の申し入れは「憲法改悪阻止の共同の可能性について、率直な協議」をしたいというものであって、国政選挙での共同の協議を申し入れたわけではない。それすらも拒むというのは理解できない。また理由についても、「共同の可能性」までも閉ざすものとは到底考えられない。われわれは今、その内容について逐一論争している情勢ではないと考える。

 

 しかし、共同を切望する多くの各界の方々からたいへんな数のご心配と激励がわが党に寄せられているので、ここに事実関係と新社会党の態度を公にしておきたい。

 

 1、部落解放同盟中央本部と新社会党本部は支持協力の関係をもっていない。いくつかの部落解放同盟の地方組織とは共闘しており、わが党の党員が、人権確立の立場で部落差別をはじめあらゆる差別の解消にむけ活動するのは当然である。しかし、部落解放同盟中央本部の「方針」にしたがって党として「反共攻撃」をした事実はない。

 

 新社会党の栗原君子委員長(広島県本部委員長)は、「第9条の会・ヒロシマ」の副代表であり、広島県本部は一昨年の参院選挙で市民団体を通じて共産党も含めた幅広い共同候補実現に努力したこと、また、わが党の前委員長・小森龍邦も日本共産党の志位和夫委員長とともに「九条の会」第一次賛同人として名を連ねたことからしても、わが党の態度は十分理解いただけるものと考える。

 

 2、他党の方針に一定の見解を持つことは、憲法改悪阻止の大義のもとではなんら共闘の妨げとはならない。「社民党や共産党の政党要件を…活用しようとする党利党略」にいたっては、全くの無理解・事実無根であって説明の必要もない。

 

 3、「しんぶん赤旗」の「回答」文には示されていないが、回答をした浦田宣昭幹部会委員は1月6日の会談の席上、わが党の石河康国副書記長に、首長選挙では新社会党との共同が数多くなされていることを認めた。また04年の参院選挙では、ある選挙区で新社会党県本部が共産党公認候補の支援の協議を申し出たが、共産党本部の判断で実現しなかった事実も認めた。このようにわが党の努力を認識した上での「回答」だけに残念である。

 

 4、このようにきわめて遺憾な回答であるが、改憲阻止のためには日本共産党も含めた全護憲勢力の共同が不可欠である。新社会党は、今後もそのために総力を挙げる。そしていずれは国政選挙レベルでの協力が実現しなければ改憲は阻止できないのであって、粘り強く現実的に可能な共同のありかたを、各界のみなさんと力を合わせ積み上げていく。

 その意味で、日本共産党が1月23日に社会民主党に「政党間共闘」の申し入れをしたことは一歩前進であり、新社会党もその結実を期待する。

 

 5、共産党回答内容にたいする批判噴出

 

 1、五十嵐仁法政大学教授HPにおける批判−2006年1月8日文の抜粋・転載

 

 共同について話し合う「窓口」すら拒否するとは?

 

 大変、残念な記事を目にしました。そう思った方は、きっと多かったことでしょう。

 昨日の共産党の新聞『しんぶん赤旗』に掲載された「政党間共闘の条件は存在しない 共産党が新社会党の申し入れに回答」という記事です。

 これは、「昨年来、新社会党から『憲法改悪阻止の共同の可能性について、率直な協議』のために、社民党を含めた三党の窓口をつくってほしいとの申し入れがあったのに対応したもの」です。これについて、浦田宣昭幹部会委員・国民運動委員会責任者(憲法改悪反対闘争本部事務局長)は「不法な『糾弾路線』で日本の民主主義に決定的な害悪を流しつづけてきた部落解放同盟(「解同」)と密接な関係にあること」「新社会党綱領では、日本共産党を名指しした事実に反する不当な攻撃がおこなわれていること」「新社会党の『憲法改悪阻止の共同』なるものが、社民党や共産党の政党要件を国政選挙で活用しようとする極めて党利・党略的なものであること」という「三つの理由をあげて、新社会党との政党間共闘の条件は存在しないと回答」しています。

 

 私は、昨年に書いた論攷「二大政党制の問題点と打破の展望 「第三勢力」をいかに形成するか」『学習の友』(200511月号)で、総選挙での小選挙区の壁を打破する課題と関連させて、次のように主張しました。

 

 第三勢力をいかに形成するか

 自民党の勝利を阻もうとすれば、民主党など対抗可能なもう一つの大政党に投票せざるをえない。しかし、そうすれば、共産党などの本来の支持政党の排除に手を貸すことになってしまう。このようなジレンマを解決するには、どうしたらよいのでしょうか。
 そのためには、小選挙区でも議席を争うことができるようにしなければなりません。当選可能性がないから悩むのであって、小選挙区でも共産党や社民党が当選できるようにすれば悩む必要はなく、自民党への対抗を期待して民主党などに投票しなくても済みます。

 しかし、そのようなことができるでしょうか。それは分かりませんが、そうしなければジレンマは解決せず、二大政党制的な枠組みを打破することも不可能でしょう。これについては、さし当たり、以下の点を指摘しておきたいと思います。
 第一に、民主党と自民党は政策的に見ればほとんど同じで、正確に言えば「保守二大政党制」です。特に、前原誠司新代表を選出して以降の民主党は、自民党への対抗勢力にはなりえなくなっています。したがって、「もう一つの対決軸」の形成は、急務だと言うべきでしょう。

 第二に、そのためには、革新勢力や民主団体、個人を結集した民主勢力間の共同を画期的に前進させなければなりません。統一戦線運動の21世紀的発展が望まれているということです。革新共闘や革新共同など、この分野で戦後革新運動が蓄積してきた経験と教訓を思い起こし、それに学ぶべきです。

 第三に、「一人を選ぶ選挙」という点では、首長選での勝利の経験が豊富にあります。これを小選挙区制にも応用するべきでしょう。国政選挙でも、参院沖縄選挙区で革新統一候補を当選させてきた実績があります。議席を争える小選挙区に候補者を立て、立てる以上は当選をめざし、創意と工夫に力を尽くさなければなりません。

 第四に、小選挙区制の壁をうち破ってきた諸外国の経験にも学ぶべきでしょう。左派党という「選挙団体」を結成して2議席から54議席に大躍進したドイツの教訓などがあります。旧社会主義統一党と社会民主党を飛び出した左派との統一が何故実現したのか。ここから学ぶべき教訓は多いのではないでしょうか。

 

 むすび

 打開の道は、統一にあり――このことを、強調したいと思います。
 このままでは、少数政党排除のために小選挙区制を導入した自民党の思うつぼです。「二大政党制」の罠にはまった民主党は、比例代表80議席の削減を提案しようとしています。これを許さず、小選挙区制そのものに反対するたたかいをすすめるとともに、何としても反転攻勢の方途を見いださなければなりません。

 そのためには、小選挙区でも戦うことができるような「第三勢力」を作り出すことです。それを可能にするような統一戦線運動の21世紀的展開こそが、日本を救う道です。そうすることで、何としても民主勢力の統一を実現しなければなりません。
 できるだけ多くの人に、こう叫んでいただきたいものです。「打開の道は、統一にあり」と……。

 

 このように主張してきた私としては、「共闘の条件は存在しない」として、新社会党の申し出をあっさり断った浦田さんの対応は、極めて残念であり、ガッカリさせられるものでした。
 この申し入れは、「共同」そのものではなく、その「可能性について、率直な協議」をおこなう「窓口」を作って欲しいというものです。「共闘」そのものについては、協議の中で意見を交換し、問題があれば率直に提起すれば良いではありませんか。初めから会わないというのでは、それこそ「話」になりません。

 

 そもそも、浦田さんは、統一戦線というものについての認識が不十分なのではないでしょうか。
 統一戦線というのは、理念や政策が異なっている政党や団体が、一致点に基づいて行動を統一するものです。それぞれの政党がどのような背後関係があり、どのような政策であるかは、さし当たり問題ではありません。
 今回の場合で言えば、「憲法改悪阻止」という点での一致点があるかどうかが問題なのであり、その点で一致できるなら「共同」「共闘」の可能性を探るというのが、正しい対応でしょう。初めから「門前払い」するようであれば、統一戦線などは不可能です。

 

 しかも、このようにして断っただけでなく、それをこのような形で公表することについても、あまりに無神経だといわざるを得ません。「『憲法改悪阻止』での政党間共闘は無理です」と、天下に公言してしまったようなものですから……。
 このような対応が「憲法改悪阻止」のための運動にどのような影響を及ぼすか、十分に考えてのことなのでしょうか。運動にプラスになると思っての公表なのでしょうか。「今年は正念場になる。これから力を合わせて憲法改悪阻止に取り組もう」と決意を固めている人々を励ますことになるのでしょうか。

 逆に、この申し出を受けて、共産・社民・新社会3党による「憲法改悪阻止」に向けての協議機関の設置を明らかにした方が、数万倍も運動は励まされたことでしょう。もし、『しんぶん赤旗』に、「改憲阻止共闘に向けての話し合いに入った」という見出しが出ていたなら、どれほど多くの人が喜んだことでしょうか。

 それを思うと、誠に残念です。このような対応は、共産党の評判を落とし、「憲法改悪阻止」の運動にマイナスになるのではないかと心配しています。

 今からでも遅くはありません。せっかくの申し出ではありませんか。共同の可能性を探るための努力を、是非行っていただきたいものです。
 私としては、もう一度、声を大にして、次のように繰り返さざるを得ません。その声を、是非、受け止めていただきたいものです。

 ……統一戦線運動の21世紀的展開こそが、日本を救う道です。そうすることで、何としても民主勢力の統一を実現しなければなりません。
 できるだけ多くの人に、こう叫んでいただきたいものです。「打開の道は、統一にあり」と……。

 

    五十嵐仁『転成仁語』新著『活憲』注文。活憲・護憲でのコメント多数。上記は1月8日内容

 

 2、「さざ波通信」掲示板、2チャンネル、ブログにおける批判−多数

 

 「さざ波通信」 一般投稿欄 2006年1月分投稿多数。

 google検索『新社会党 共産党 共闘』共産党批判が圧倒的

 

 3、労働運動研究所柴山健太郎常任理事からのメール−2月5日

 

 1月30日、都内の高田馬場で五十嵐仁、下山房雄(元下関大学学長)、伊藤誠、河内弁護士(自由法曹団)さんたちが今度立ち上げた『憲法と国政選挙の共同を考える懇談会』に呼ばれてドイツ総選挙と左翼党の報告をしましたが、共産党員、新社会党、社民党、旧社会党員、無党派の人たちが集まり活気のある会議でした。この会議で共産党員の中にまで今度の新社会党や中核、革マルとの共闘拒否について批判が強く、憲法擁護の広範な共闘の要求が強いことを知り、改めて意を強くしました。

 

 3、新左翼党派を護憲・活憲運動から排除せよとの党中央指令記事

 

 〔小目次〕

   1、「しんぶん赤旗」記事 2005年5月18日(水)

     暴力集団の“泥合戦” 改憲反対運動に入り込む「革マル」と「中核」

   2、「しんぶん赤旗」記事 2005年11月5日(土)

     憲法運動は無差別テロ支持勢力にどういう態度をとるべきか

   3、「さざ波通信」投稿 護憲運動の分断が心配--赤旗11月5日付けに論説について

   4、google検索『「革マル」「中核」 共産党 憲法』ほとんどが共産党批判

 

 1、「しんぶん赤旗」記事 2005518()

 暴力集団の“泥合戦” 改憲反対運動に入り込む「革マル」と「中核」

 

 憲法改悪反対の世論と運動が高まるなかで、憲法問題での共同のとりくみや平和運動に、各地で「とめよう戦争への道!百万人署名運動」や「憲法9条―世界へ未来へ 連絡会」(「9条連」)、「報復戦争に反対する会」などを名乗る団体が潜りこんできています。これらは一体どんな団体なのか、見てみましょう。

 

 互いに暴露

説明: 写真

ニセ「左翼」暴力集団の機関紙とビラ

 これらの団体は市民運動の装いをこらしています。ところが、その実体を、ニセ「左翼」暴力集団――これまで「内ゲバ」を繰り返してきた「中核派」と「革マル派」が、互いに暴露しあっています。

 「中核派」は、「9条連」について「カクマルが、にわかに『改憲阻止』なるものをペテン的に掲げてうごめき始めている。『憲法九条―世界へ未来へ連絡会(九条連)』を押し立てて『改憲阻止』をわめいているのだ」(機関紙「前進」二〇〇〇年七月三十一日号)と非難しました。

 また「『報復戦争に反対する会』はカクマルの偽装団体だ!」「この会は、9・11反米ゲリラ闘争以降に、カクマルによって作られた」(「前進」〇二年六月十日号)などと書いてきました。

 

 一方「革マル派」は、「『百万人署名運動』を隠れ蓑として組織的延命を図ろうとする中核派の陰謀」(各地で配布したビラ)と宣伝してきました。

 

 自ら示す深い関係

 「中核派」「革マル派」がこれらの団体と深い関係をもっていることは、みずからの発言からもうかがえます。

 現に「中核派」は、政治局アピールで「百万人署名運動の新たな取り組みを力強くやりぬこう」(「前進」〇四年一月一日号)と訴えています。

 

 「革マル派」も、「9条連は…平和運動を市民的な規模において広めるための運動体なのであって、この運動体が開催する諸もろの集会やその時どきにおこなわれる共同行動は、戦争に反対し、平和を守り、また『厭戦』・『非戦』を悲願とするあらゆる市民を結集する場たらしめなければならない」(機関紙「解放」二〇〇〇年十月二十三日号)と書いています。

 

 また「報復戦争に反対する会」は、〇一年十月の米軍によるアフガニスタン空爆開始直後の発足集会で「第三次世界大戦が勃発する危険性が高まっている」とする「問題提起」をおこなっています。これは「革マル派」の「ブッシュ政権による戦争放火は…第三次世界大戦へと発展する危機をいよいよ高めている」(「解放」〇二年一月一日号)とする情勢論と、うり二つです。

狙いは共産党打倒

 

 市民団体を装って憲法運動に接近する「中核派」「革マル派」は、まじめに憲法改悪に反対する立場に立っているのではありません。その最大のねらいは、日本共産党の打倒であり、民主的な運動のかく乱・破壊です。

 それは「労働者階級は日本共産党と大胆に決別し、彼らをのりこえ、打倒して、21世紀革命の勝利へ突き進もう」(「中核派」、「前進」〇五年一月一日号)とか「日共系の憲法改悪反対闘争をのりこえ、改憲阻止・反戦反安保闘争の高揚をきりひらく」(「革マル派」、「解放」〇五年五月二日号)などとのべていることにも示されています。

 

 テロを賛美

 その一方で「中核派」「革マル派」は、〇一年の9・11テロ事件のとき、ここぞとばかりテロリストを絶賛しました。「中核派」は、「9・11反米ゲリラ戦争は…民族解放戦争だった」と評価し、「米帝に、帝国主義全体に、本質的・実体的に決定的な世界史的な大打撃を与えた」と意義づけました(「前進」〇二年一月一日号)。

 一方「革マル派」は、「〈9・11反米ジハード自爆〉事件は、ソ連崩壊後のアメリカ一超支配の終焉の始まりを告知した画歴史的事態にほかならない」「ムスリム戦士達の『反米・反権力』の固い意志に共感する」とほめあげました(「解放」〇二年一月一日号)。

 

 数千もの市民の命を奪う無差別テロは、どんな理由や背景があろうとも絶対に許されない卑劣な犯罪行為です。それを賛美するのは、彼ら自身がこの日本で「内ゲバ」殺人を重ねてきたことからも明らかなように、陰惨なテロ体質をもっているからです。テロ賛美の姿勢に「中核派」「革マル派」の暴力集団としての本質が露呈しています。

 憲法改悪反対の国民的共同を広げるためには、これらの集団の本質を明らかにし、その策動を許さないことがきわめて重要です。

 

 2、「しんぶん赤旗」記事 2005115()

 憲法運動は無差別テロ支持勢力にどういう態度をとるべきか

 

 イラク戦争が泥沼化し、世界各地に無差別テロがひろがる事態は、二十一世紀の世界に暗い影を落としています。テロと暴力の悪循環を断ち切ることは、国際社会の切実な課題です。テロ根絶には、テロ勢力を国際社会の包囲で追いつめるとともに、テロの土壌をひろげる報復戦争に反対する国際世論と運動を発展させなくてはなりません。

 ところが、日本では、国際的な無差別テロを賛美し、テロリストへの支持・連帯という驚くべき主張をさけぶ集団が策動をつづけ、憲法運動や平和運動に入り込もうとする重大な事態が起こっています。これは憲法運動の大義を根本から傷つけることになりかねません。

 

9・11テロを礼賛する「革マル」「中核」

 二〇〇一年九月十一日に米国で発生した同時多発テロ事件。それは、三千人近くの尊い生命を奪い、地球文明と人類社会にたいする卑劣で重大な攻撃でした。ところが、この9・11テロを絶賛する異様な主張を展開したのが「革マル派」や「中核派」でした。

 「革マル派」は、9・11テロ発生直後から、いち早くこれを礼賛し、共鳴しました。

 

 「この大事件こそは、紛れもなく、アメリカ帝国主義の世界制覇策動にたいするイスラム復興主義の公然たる挑戦の奏効を意味する画歴史的事態にほかならないのである」(機関紙「解放」二〇〇一年九月二十四日号)

 「たとえ実行部隊がウサマ・ビンラディンとこれを支え率いるイスラム復興主義勢力のゲリラ・グループであったとしても…アメリカ帝国主義の全世界にたいする経済的・軍事的支配の中枢に風穴をあけた『殉教作戦=ジハード』は、まさにアメリカ帝国主義の世界『一超支配』の暴虐を打ち砕くための“挑戦”にほかならないのであり、その意味において画歴史的行為にほかならない」(同前)

 このように「革マル派」は、国際テロ組織アルカイダの指導者ビンラディンの名前もあげながら、9・11同時多発テロを「ジハード」(聖戦)としたうえで、「画歴史的行為」とほめたたえました。

 

 「革マル派」は、その後も無差別テロ礼賛の主張をエスカレートさせていきます。たとえば「解放」〇一年十一月十二日号掲載の論文「ジハード自爆事件のうけとめについて」では、「テロ弾劾」という主張を非難しながら、つぎのような文言を書き連ねています。

 「アメリカ帝国主義の『富の象徴』たるWTC(世界貿易センター―引用者)と世界軍事支配の中枢たるペンタゴンにたいして、イスラームの虐げられた民衆の想いを背負い体当たりを敢行した『ジハードの戦士』たちの壮挙。思いもかけず炸裂したこの『対米ジハード』への驚嘆をともなった感激。まだ飛行中のハイジャック機のホワイトハウスまたはペンタゴンへの体当たり攻撃が…『どうか成功しますように』という思い。『ヤンキー、思い知ったか!』という心の叫び。『生きてこの事件を見ることができてよかった』という喜び。――歴史的大事件に直面して自己の中に激しく渦巻いたそういう感情を離れて、大衆に打ち出すスローガンを考えることはできない」

 さらに「解放」〇二年一月一日号(新年号)の巻頭論文では、あらためて9・11テロの「画歴史的意義」なるものを、つぎのように強調しました。

 

 「かの<9・11反米ジハード自爆>事件は、ソ連崩壊後のアメリカ一超支配の終焉の始まりを告知した画歴史的事態にほかならない。なぜなら、『経済のグローバル化』と『国境のボーダレス化』と『サイバー物神』という現代資本主義の矛盾をついて、アメリカ帝国主義の中枢に風穴をあけたのだからである」

 「われわれが<9・11>事件の画歴史的な意義を確認するのは、それが国際階級闘争の死滅的状況のなかで<反米・反権力>の固い意志をもって敢行されアメリカ国家の中枢に的確に風穴をあけたのだからである」

 

 「革マル派」は、その後も「<9・11ジハード自爆>一周年 闘うイスラム人民と連帯して全世界に反戦の炎を押し広げよ」(「解放」〇二年九月十六日号)と一貫してさけび、テロ勢力との「連帯」という挑発的課題を日本の平和運動にもちこもうとしてきました。

 一方、「中核派」も、9・11テロの直後からこれを賛美し、共鳴してきました。

 「九・一一はこの米帝の経済と軍事の中枢を壊滅的に痛撃した反米ゲリラ戦であり、アラブを先頭とした被抑圧民族人民の根底的な怒りの炸裂であった。米帝の超大国神話、万能神話は粉々に打ち砕かれた。それは米帝の没落の始まりを衝撃的に告げ知らせた」(機関紙「前進」〇一年十月八日号)

 

 「前進」〇二年一月一日号の「一・一アピール」でも「9・11反米ゲリラ戦争は…特殊的・極限的な形態で貫徹された民族解放戦争だった」「19人の自爆決起は、帝国主義国のプロレタリアート人民の3千数百人の死の重さにもひるむことのない戦闘であった」と、多数の人命を犠牲にしたテロ攻撃を賛美しました。そればかりか、「テロ」を「反帝的な階級闘争、民族解放闘争の不可欠な一形態である」とまでのべました。

 つまり「革マル派」や「中核派」は、いわば国際的無差別テロ支持勢力としての立場を公然と表明するにいたったのです。

 

「テロ根絶」の主張そのものに悪罵

 こうして国際的無差別テロ支持勢力となった「革マル派」「中核派」は、その一方で、日本共産党のテロ根絶の主張そのものにたいして最大限の悪罵(あくば)を投げつけてきました。

 日本共産党は、二〇〇一年の9・11同時多発テロが発生した際、米ブッシュ政権による軍事報復の懸念が強まるなかで、国連安保理理事国をはじめ各国政府首脳にたいし「テロ根絶のためには、軍事力による報復でなく、法にもとづく裁きを」と呼びかけた緊急書簡を送りました(同年九月十七日)。

 

 書簡は、9・11テロについて「多数の市民の生命を無差別に奪う憎むべき蛮行であり、絶対に許されない卑劣な犯罪行為」「国際社会全体にたいする攻撃であり、世界の法と秩序にたいする攻撃」ときびしく批判し、「テロの根絶のためには、軍事力による報復ではなく、法と理性にもとづいた解決が必要」という立場を明らかにしました。そして「国連が中心になり、国連憲章と国際法にもとづいて、テロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織、支援した者を逮捕し、裁判にかけ、法にてらして厳正に処罰する」よう提案するとともに、「軍事力による報復は、テロ根絶のための努力の大義を失わせ、テロ勢力にとって思うつぼの事態をまねく危険」があると指摘し、米ブッシュ政権の報復戦争のくわだてを正面から批判しました。テロと報復戦争の悪循環という世界の現実にてらせば、この主張に道理があることは明らかです。

 

 ところが「革マル派」は、テロ礼賛の立場にたって、日本共産党にたいし「今回の<反米ジハード>を『多数の市民の命を無差別に奪う憎むべき蛮行』であるとか『国際社会全体にたいする攻撃』とかと非難することじたいが狂っているのだ」と攻撃し、「『テロ撲滅戦』への太鼓持ち的唱和」「侵略戦争補強勢力」などと非難してきました(「解放」〇一年十月八日号)。

 「中核派」も、「日共には、闘うイスラム諸国人民への一片の連帯もない。それどころか帝国主義に全面屈服しその先兵となって『テロ根絶』を叫ぶにいたったのだ」などという見当違いの攻撃をくわえてきたのです(「前進」〇二年一月一日号)。

 

憲法擁護の運動の大義にかかわる問題

 「革マル派」と「中核派」は、もともとは、一九五九―六〇年の安保闘争以来、民主諸組織が主催する共同の集会などに参入しては妨害行動や暴力的挑発行動をおこなってきた、いわゆる暴力集団の系列に属する勢力です。さらに、「革マル派」「中核派」などは、長期にわたってくり返された凄惨(せいさん)な「内ゲバ」事件によって、自分たちが民主主義とは無縁な暴力・殺人者集団であることを実証してきました。

 

 民主勢力は、これらの行動の“実績”から、彼ら暴力集団を「統一行動の妨害団体」と認定し、「共闘にくわえない」という原則を確立してきました。これは、憲法運動や平和運動の分野でも、大事な原則としてうけつがれてきました。

 その「革マル派」や「中核派」が、その暴力性をさらに拡大して、いまや、国際的無差別テロを支持するもっとも危険な暴力集団として現れているのです。

 

 そして、いま重視しなければならないのは、この集団が、「改憲阻止」などのスローガンをかかげて、憲法擁護の運動に入り込むことをくわだて、そこに活動の新たな重点をおいていることです。このようなくわだては、絶対に許すわけにはゆきません。

 

 日本国憲法は、恒久平和と国民主権、基本的人権、議会制民主主義などを基本原則としており、全世界の人びとの「平和のうちに生存する権利」を確認しています。日本の民主主義と平和をまもる運動、とりわけ憲法改悪に反対し、憲法を擁護する運動には、国際的な無差別テロの支持勢力のための場所は存在しません。どんな形をとろうとも、国際テロ支持勢力の参入を認めることは、憲法擁護の運動を深く傷つけ、国際的にも運動の大義を損なう重大な汚点となるでしょう。

 

 だからこそ、本紙は、「革マル派」「中核派」などの暴力集団が、各地で憲法運動や平和運動に参加を策している問題について、警鐘を鳴らしてきたのです(「暴力集団の“泥合戦”―改憲反対運動に入り込む『革マル』と『中核』」五月十八日付など)。

 

 これにたいして「革マル派」「中核派」は、機関紙で「わが同盟にたいする排外主義的敵対」「大衆運動のセクト主義的分断」、あるいは「セクト的利害」による「統一戦線の破壊」等々、非難の声をあげています。

 一九五九―六〇年の安保闘争以来、統一戦線の破壊に専念してきた集団が、こういう言葉を口にすること自体、たいへんこっけいなことです。しかも、この集団は、国際的な無差別テロが世界諸国民の安全と平和を脅かすもっとも重大な危険のひとつとなっているときに、その国際テロを賛美する立場に公然と立っているのです。「革マル派」も「中核派」も、どんな詭弁(きべん)をろうしようと、自分たちのこの立場と憲法擁護の立場とは絶対に両立しえないものであることを、自覚すべきでしょう。

 この問題について、憲法運動に参加している関係者の一部に、「憲法擁護の運動に『排除の論理』を持ち込むな」といった議論があります。

 

 日本共産党は、政治的立場、思想・信条の違いをこえて、憲法改悪反対の一点での国民的共同をよびかけています。しかし、このことは、「憲法改悪反対」のスローガンに賛成しさえすれば、どんな危険な勢力をも共同にくわえる、ということではありません。私たちは、「革マル派」「中核派」の問題で「排除の論理」を問題にする人に、これらの集団が国際テロの支持・礼賛勢力である事実を、ぜひ真剣に考えていただきたいと思います。そうすれば、このような勢力に門戸を開くことが、憲法擁護運動の大義にかかわる重大な問題であることを、理解していただけるのではないでしょうか。

 

 3、「さざ波通信」投稿

 護憲運動の分断が心配--赤旗115日付けに論説について 2005/11/11 RK 30代 大学教員

 

 以下は大学関係者のMLで流されたものです。転載歓迎ということなのでここにも流します。

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護憲運動の分断が心配--赤旗115日付けに論説について

 しんぶん赤旗115日付けに論説「憲法運動は無差別テロ支持勢力にどういう態度をとるべきか」が掲載されました.また,同様の趣旨の論説「暴力集団の“泥合戦” 改憲反対運動に入り込む『革マル』と『中核』」が518日に載っていました.
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-11-05/2005110504_01_1.html
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-18/05_01_0.html

 

 これらの論説は,一見当然のことを言っていいるようにも思えますが,バランスと配慮を欠いているだけでなく,重大な問題点を含んでいると思います.憲法問題についてだけでなく,下に述べるように大学問題にも関係しますので,皆さんにも是非考えていただきたいと思います.

 論説はいずれも,革マル派,中核派の2団体を批判の対象としており,これらの集団を「無差別テロ支持勢力」とし,護憲運動からの排除を求めています.しかしその理由としては,彼らのいくつかの言動を挙げているだけで,護憲運動の上での具体的の障害や妨害については述べられていません.これでは結局「思想」による運動からの排除と言わざるを得ません.

 

 護憲の一点で思想信条を越えて協力すべきだといいながら,特定のグループをその発言内容を理由に排除するということは,どうしても理屈が通りません.引き合いに出された発言や思想というのは,主に9.11事件など「テロ」に対する彼らの共感や賛同で,だから「無差別テロ支持勢力」であるというのです.それはそうかも知れません.しかしそうなると,自民党や公明党など与党に属する人も排除しなければならなくなります.なぜなら,両党はアメリカによる最も大規模な無差別テロ,すなわちアフガン戦争やイラク戦争を支持しているので,「無差別テロ支持勢力」と認定せざるを得ないからです.これらの政党の末端の一部や個々の党員が護憲運動に加わりたいと申し出た場合も当然「排除」しなければならなくなります.しかし実際にはこれらはむしろ歓迎すべきこととされるのではないでしょうか.

 

 護憲運動に限らず,何らかの市民運動,政治行動への参加「資格」の適否は,思想や所属団体によってではなく,運動や団体の行動目的や行動方法に即して具体的,実際的に判断するべきではないでしょうか.単なる集会や討論会なら,会の進行を乱さない限りだれでも「有資格」だが,何らかの直接行動(もちろん非暴力)を伴うとなると,非暴力を貫けるかどうかという事前判断が重要になる,といった具合にです.ところがこれらの文章は,そのような具体的な障害について,その例さえも一切挙げていません.2団体を「暴力集団」であるとしていますが,過去の事例を引いているだけで,現在の護憲運動の中で暴力事件があったとは書かれていません.それとも「予防的先制攻撃」ならぬ「予防的排除」なのでしょうか?

 

 共産党が左翼,リベラルに大きな影響力を持つことを考えると,この文章の様々な悪影響が心配されます.何よりも護憲運動に分裂が持ち込まれる恐れがありますが,その分野に限りません.このことは次のような私の体験から痛切に感じることです.

 東北大学や山形大学の学生寮の廃寮問題では,運動に関わっている学生らが「新左翼系らしい」という「情報」だけで,これらの大学で行われた,とんでもない不法行為や権利侵害が,「民主勢力」の多数から見逃されてきました.しかもその「情報」というのが決してあからさまに語られることはなく,「耳打ち」で伝えられるだけです.極めて不明朗で,アカウンタビリティーの対極にある事態です.これが,民主主義と人権のチャンピオンであるべき共産党を含む左翼・リベラルと呼ぶべき人々の間で起こっている事態なのです*

 

 ある大学の知り合いから,「D寮はF派の巣窟になっているから,廃寮反対運動の支援など止めた方がいい」と言われたことがあります.学生には全く申し訳ない喩えなのですが,分かりやすくするために敢えて使いますが,これは,「フセインは独裁者だから戦争もやむを得ない」と言うのと同じです.人権や団結権は普遍的なもので,何派には許されるが何派には認められない,というようなことはありません.民主主義が口先だけのものかどうかが試されているのですが,はっきり言って,その自覚のない人が多いと思います.

 これら二つの寮問題とそれにまつわる裁判事件ついて,組合系など主流派の左翼やリベラルなどの人々に繰り返し支援を訴えましたが,なかなかこれが難しいのです.原因が過去の「ゲバルト」時代の記憶だけとは思われません.どうしても共産党のこのテーマでの言説の影響を感じないわけには行きません.

 九条をめぐる状況は絶体絶命ともいうべき状況です.時間がないのです.かつてない規模と質の運動を創らなければ勝てません.その反対に,運動の分断という障害を自分たちで作ってしまわないために,多くの方が発言されることを期待します.事なかれ主義こそが最大の敵だと思います.対象とされた2派が少数だからといって些末な問題だと考えたら間違いだと思います.(05.11.8)

 

 4、google検索『「革マル」「中核」 共産党 憲法』ほとんどが共産党批判

 

 4、9条の会におけるセクト的・独善的言動のデータ

 

 愛知県の地域9条の会結成集会における共産党員のセクト的言動

 

 2005年冬名古屋市の名東区、他1区の結成集会に、「もくの会」会員が参加した。いずれの会場にも、9条の会と関係がない不破哲三著書『私の戦後六〇年−日本共産党議長の証言』(新潮社)が特別にうずたかく積まれていた。一つの集会において、講師が冒頭に、いきなり不破著書を掲げて、「この本はとてもいいから是非購読してください」と紹介してから、講演に入った。

 

 何をかいわんや・・・九条の会あれこれ 「滋賀九条の会」

 

 「さざ波通信」投稿 2006/02/05 におの鳥 30代 自営業

 「滋賀九条の会」は一昨年末、周到に共産党によって秘密に準備され、事務局は共産党だけで握り、社民党や新社会党は排除し、三井寺の住職(長吏)や堅田教会の牧師さん(当時)や元大津市長・元参議を、社民党や新社会党の書記局員や他の市民運動の事務局メンバーには内緒で担ぎ、突然記者発表したもの。
 その後、見るべき運動のないのを代表を引き受けた三井寺福家俊明長吏のせいにしている。こういうのを何をかいわんやというのである。

 

 

 5、9条の会よびかけ人問題における排他的言動のデータ

 

 〔小目次〕

   1、「さざ波通信」掲示板投稿者の9条の会よびかけ人排除と回答

   2、被除名者宮地健一の「あいち9条の会」よびかけ人排除の共産党言動

 

 1、「さざ波通信」掲示板投稿者の9条の会よびかけ人排除と回答

 

 1、建設人9条の会呼びかけ人拒否の件 2005/09/22 山本 40代 会社員

 

 私は、来週に東京で建設人9条の会の結成総会を受けて会の呼びかけ人のことで建設政策研究所に電話で問い合わせたところ、研究所の専従の方が私に「呼びかけ人の件は、建交労からクレームがあったために、あなたの呼びかけ人の掲載を保留にしたい。」の旨の返事をしました。私は、「クレームは、誰がしたのか。クレームの具体的な内容を教えてほしい。」と言いました。しかし、氏は、「クレームの理由はよくわからない。クレームの内容もわからない。」と答えました。私は、このことに納得できないために、メールで建設政策研究所に拒否の具体的な内容を明らかにするために今週中までの回答をするようにしました。メールの内容は、次の通りです。

 

 「○○さん、お世話になっています。建設人9条の会の呼びかけ人の拒否の件でお尋ねがあります。建交労の誰が、私の呼びかけ人の掲載にクレームを掛けたのでしょうか。クレームの具体的な内容は、何でしょうか。クレームをつけることは、自民党や公明党、民主党の憲法改悪の策動に手を貸すことになりますが、ご認識を伺います。また、ほかのルートから建交労に私に対する苦言を呈した人物がいると考えられますが、それはどうでしょうか。私への回答は、来週中にお願いします。」

 

 2、建設人9条の会呼びかけ人拒否についての質問の回答 2005/09/29 山本 40代 会社員

 

 建設人9条の会の呼びかけ人拒否の件についてのメールに質問への回答は、次のとおりです。

 ○様
 お世話になっています。建設人9条の会の呼びかけ人の件については、準備委員会において、提案したのですが一部意見が出て「賛同者」として名前を連ねていただくこととなりました。
 建交労から異論があったのが一つの理由ですが、その他にも賛同署名いただいた方をすべて呼びかけ人にするのはいかがかという意見もありました。
 この間多くの方からFAXなどで賛同署名をいただき、その全員について呼びかけ人になっていただくかどうか検討しました。従ってその他の方も呼びかけ人から外れた方が何人かいます。

 ○○さんの場合は、私の方で準備委員会に掛ける前に呼びかけ人になって下さいとお願いした経緯があり、申しわけありませんでした。私の一存で決めることができないで、準備委員会で検討することになっています。
 私が安易にお願いしたことが、不快な思いをさせることになり、お詫び申し上げます。
 尚、建交労から意見があったことについては、建交労内部の問題であり、準備委員会においてはその内容を詳細に聞くことはしていません。
 今後、賛同者の一員として「建設人・9条の会」への結集を多くの方に勧めていただくことをよろしくお願いいたします。
            建設政策研究所 ○○

 

 2、被除名者宮地健一の「あいち9条の会」よびかけ人排除の共産党言動

 

 2005年1月22日「あいち九条の会」結成集会が開かれた。私(宮地)は東海地方の同人誌『象』の合評会で、そのよびかけ人の一人になるよう推薦された。「あいち九条の会」代表世話人水田洋は、私をよびかけ人281人のリストの一人に挙げた。すると、事務局会議に出ていた祖父江共産党愛知県委員会副委員長・統一戦線部長が「宮地君をよびかけ人に入れるのはまずい。よびかけ人から外すべきだ」と主張した。水田洋名古屋大学名誉教授や成瀬昇元愛労評議長が、その理由を問い質した。祖父江副委員長は、「宮地は反党分子だから」という趣旨を答えた。

 

 水田・成瀬他の世話人も、9条の会は個人加盟だから、そんな排除理由は問題外として、共産党側意見を退けた。そこで、私は、無事、281人のよびかけ人リストに載っている。水田洋は、この経過を私に証言した。他にも、排除言動があるが、長くなるのでここに書かない。

 

 たしかに、私(宮地)は、1977年・40歳、共産党県常任委員・弁護士4人が怒り狂って、名古屋地裁民事裁判長に何度も怒鳴ったように、「国際共産主義運動史上初めて、一共産党員が、専従不当解任問題で、党中央を民事裁判に訴えたという前代未聞の反党・反革命分子。直ちに、門前払い却下せよ」と言われた人間ではある。しかも、共産党側から見れば、宮地は、専従を首にした後、学習塾だけおとなしくやっていれば見逃してもやるが、1997年60歳から『共産党問題・社会主義問題を考える』というHPを開き、日本共産党批判・レーニン批判を強烈に展開しているという歴代の被除名者リスト史上、最も凶悪で活動中の反党分子となる。

 

    『日本共産党との裁判・第1部〜第8部』党中央批判発言者への共産党中央の報復解任

 

 しかし、私たち夫婦は、憲法改悪に反対し、活憲の立場から、9条の会の趣旨に全面賛同して入会し、イラク派兵阻止の愛知県訴訟原告3200人に参加している。その名古屋地裁訴訟法廷やイラク派兵反対デモに何度も参加してきた。それら運動・言論の多数をHPにリンクし、私なりに宣伝行動をしている。

 

    宮地幸子『戦争と平和』自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟の原告陳述書

 

 私の愛知県共産党専従13年半の体験から見ても、祖父江愛知県副委員長の排除発言は、当然党中央の排除指令に基づく行為である。私は彼と同一地区内で地区常任委員をした時期があったので、個人的にも知っている。彼は、党中央指令がないのに、上記のような言動をするタイプの専従ではないからである。全国的にも、これらの排除指令は貫徹されていると思われる。水田洋の祖父江批判言動やその証言がなければ、このケースは、大衆団体・運動において、共産党が行ってきた無数の批判・異論者排除史の暗闇に葬られたであろう。

 

 

 6第24回大会9日後の大転換=社民党に改憲阻止共闘の申入れ

 

 〔小目次〕

   1、共産党「しんぶん赤旗」記事 2006年1月24日(火)

     憲法改悪反対の一点で共闘を 日本共産党が社会民主党に会談申し入れ

   2、マスコミ記事 東京新聞1月24日記事  社民 共産 30年ぶり共闘へ

   3、京都新聞朝刊 1月28日記事 共闘申し入れ一方的と不快感 社民、又市幹事長

   4朝日新聞 2月15日社説 共産と社民 昔の夢よ再びですか

   5、毎日新聞 2月23日 記者の目 存亡かかる共産・社民=尾中香尚里(政治部)

   6、google検索『共産党 社民党 憲法 共闘』

 

 共産党「しんぶん赤旗」記事 2006124()

 憲法改悪反対の一点で共闘を 日本共産党が社会民主党に会談申し入れ

 志位委員長が会見

説明: 写真

(写真)記者会見する、志位委員長(左)と市田書記局長=23日、国会内

 

 日本共産党は二十三日、社会民主党に対し、憲法改悪反対での両党の共闘について会談をおこなうことを申し入れました。

 申し入れ後、日本共産党の志位和夫委員長は国会内で記者会見し、憲法問題での共闘の会談の申し入れをおこなった経緯やその意義などについて語りました。

 

 志位氏は、自民党が昨年の党大会で「新憲法草案」を決定するなど、憲法改定をめぐるたたかいが新しい重大な段階を迎えているなかで、「憲法改悪反対、九条擁護の一点で、国民的な共同を広げるための努力が強く求められている」と指摘。これまで、日本共産党と社会民主党の代表が、五月三日の「憲法のつどい」でそろって講演をおこなったり、「九条の会」にそろって賛同人になるなどの機会が重ねられてきたことを紹介しました。

 

 そのうえで、二十日に日本共産党新執行部が就任あいさつで社会民主党を訪れたさい、志位氏が「両党の憲法問題での協力関係を発展させることを願っています」とのべたのにたいして、福島瑞穂党首が「自分たちには院内外での両党の共闘についてのためらいは一切ありません。障害はありません」と言明したことを、「たいへん重要な発言と受けとめました」と表明。今回の申し入れは、こうした経過を踏まえてのものだと説明しました。

 志位氏は、「いま、国会に議席をもつ政党のなかで、憲法改悪反対と九条擁護をつらぬいている政党は、日本共産党と社会民主党です。この両党の共闘関係が成立するならば、憲法擁護闘争の発展にとって積極的な貢献になることは間違いありません」と強調。その立場から両党の会談をしかるべき形でもち、憲法問題の共闘について話し合いをすすめたいとのべました。

 

■社民党又市幹事長

■「検討して返答したい」

説明: 写真

(写真)社会民主党・又市幹事長(右)に申し入れる市田書記局長(中)、穀田国対委員長=23日、国会内

 

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十三日、国会内で社会民主党の又市征治幹事長を訪ね、社会民主党の福島瑞穂党首にあてた、日本共産党・志位和夫委員長の申し入れ文書を手渡し、憲法問題での両党の共闘について、会談をおこなうことを申し入れました。

 市田書記局長が参院の社民党控室を訪ねると、又市幹事長は握手で迎えました。市田氏は、申し入れの趣旨を説明しました。これに対し、又市氏は「申し入れを歓迎します。両党間協議には賛成です。党首に伝え、党として検討して返答したい」とのべました。

 

申し入れ全文

 自民党が、昨年の党大会で「新憲法草案」を決定するなど、憲法九条を焦点とした憲法改定の動きとのたたかいは、新たな重要な段階をむかえています。憲法改悪に反対し、その平和原則にそむくくわだてを許さないという一点で、国民的な共同を広げる努力が、いよいよ大切になっています。

 これまで、「九条の会」やさまざまな市民団体が主催する憲法擁護の集会で、貴党とわが党の代表が、そろって賛同人になったり、あいさつや講演をおこなうなどの機会が重ねられてきました。

 

 この点で、二十日、わが党の新執行部が、貴党にごあいさつにうかがったさい、私が、これらの例もあげつつ、「憲法擁護のたたかいをすすめるうえで、両党の協力関係を発展させることを願っています」とのべたのにたいして、福島党首が、「自分たちには院内外での両党の共闘についてのためらいは一切ありません。障害はありません」と言明されたことを、私たちはたいへん重視しています。

 

 国会に議席をもつ全国政党のなかで、憲法改悪反対、九条擁護の立場をつらぬいている政党は、貴党と日本共産党です。この問題で、両党の間で共闘関係が成立するならば、国会内外の憲法改悪反対のたたかいを発展させ、国民的多数派を結集していくうえで、積極的な貢献となることは、間違いありません。

 この立場から、憲法問題での両党の共闘について、会談をおこなうことを申し入れるものです。

 ご検討ください。

 二〇〇六年一月二十三日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫

 社会民主党党首 福島瑞穂 殿

 

 2、マスコミ記事 東京新聞1月24日記事

 社民 共産 30年ぶり共闘へ

 

 共産党と社民党が二十三日、憲法改正阻止で共闘する方向になった。共産党の呼び掛けに社民党も前向きの姿勢を示したもので、両党が共闘に正式に踏み出すのは、一九七〇年代に「革新統一戦線」を結んで以来、約三十年ぶりとなる。

 共産党の志位和夫委員長は二十三日午後、国会内で記者会見し、改憲阻止で社民党に共闘を申し入れることを表明。特に九条改正阻止で連携強化を図りたい意向を強調した。

 これに先立ち、志位氏は市田忠義書記局長を通じて又市征治社民党幹事長に、福島瑞穂社民党党首との会談を申し入れ、福島氏も応じる姿勢を示したという。

 又市氏は共闘について記者団に「私自身は賛成だ。ただ、両党だけで成果は難しい。(改憲阻止の)幅広い共闘の一環だ」と述べ、ほかの政治勢力にも同調を呼び掛けたい意向を示した。

 

 3、京都新聞朝刊 2006.1.28記事

 共闘申し入れ一方的と不快感 社民、又市幹事長

 社民党の又市征治幹事長は二十七日午後の記者会見で、改憲阻止に向けた共産党の共闘申し入れについて「もう少し丁寧にやってほしい」と不快感を示した。
 又市氏は二十三日の共産党の志位和夫委員長らの共闘申し入れについて「突然『会いたい』とここに来て、申し入れした後に、三十分くらいしかたたないうちに記者会見して発表した。『会見していいか』ぐらいは、共闘しようという相手には問うべきだ」と苦言を呈した。

 

 4朝日新聞 2月15日社説

 共産と社民 昔の夢よ再びですか

 

 共産党と社民党が、憲法改定の阻止に向けて共闘を目指すことになった。近く志位委員長と福島党首が会談し、具体的な協力の進め方を話し合うという。

 「社共共闘」と言えば、どこか懐かしい響きを感じる人も多いのではないか。60年代後半から70年代にかけて、旧社会党と共産党が協力して、東京や大阪の知事をはじめ多くの自治体で革新首長を誕生させた時代があった。

 だが旧社会党は80年に公明党と「連合政権合意」を交わし、共産党排除に転じた。以来、社共両党の関係は四半世紀にわたり冷え切ってきた。

 

 ここへきて歩み寄りの動きが出てきた背景には、両党の、とくに一線党員たちのせっぱ詰まった危機感がある。自民、民主の2大政党がともに憲法9条の改定に前向きななかで、これだけ小さな両党がいがみ合ったままでは抵抗しようもないではないか。そんな思いだろう。

 1月の共産党大会では、社民党との共闘に消極的だった執行部に対し、党員から積極論が相次いだ。

 

 先週末の社民党大会でも、共産党との共闘への反対論は一部にとどまった。「近親憎悪」とさえいわれた昔の拒否反応の強さからすると隔世の感がある。

 同時に、イラクにまで派遣するような現在の自衛隊を「明らかに違憲状態」とする宣言を満場一致で採択した。「縮小を図り、国境警備・災害救助・国際協力などの任務別組織に改編・解消して非武装の日本を目指す」という。かつて自衛隊違憲論だった時代の社会党に逆戻りしたかのような転換だ。

 

 もともと執行部の原案には「違憲」の文字はなかった。村山政権時代に打ち出した「憲法の枠内」という自衛隊の位置づけとの整合性に配慮したためだ。それをもっと明確にするよう訴えたのは地方の組織や党員たちだった。

 政権への夢を引きずるような現実論とは決別し、少数派に徹することが生き残りへの道という割り切りなのだろう。それには共産党との連携もいとわないという考え方でもある。

 

 結果として、両党の自衛隊をめぐるスタンスはほぼ重なったといっていい。

 だが、あわせても衆院16議席、参院15議席という小所帯だ。改憲の発議に歯止めをかけられる、衆参どちらかで3分の1以上という勢力にはほど遠い。現実の政治の力としても極めて弱い。

 

 とはいえ、改憲を含め自民党と同じ土俵で競い合うという民主党が、実のところ自民党との違いを打ち出しあぐねているなかで、共産、社民両党が「護憲」の旗を立てて共闘する意味は小さくない。

 前原執行部は改憲に前のめり気味でさえあるものの、党内や支持層には慎重論も少なくないからだ。民主党内の護憲派を緊張させ、路線論争の行方に影響を与える可能性もないとはいえない。

 小さな石だが、市民団体や労働組合など政党を超えた連携に広げられれば、波を呼ぶこともあるかもしれない。

 

 5、毎日新聞 2月23日 記者の目

 存亡かかる共産・社民=尾中香尚里(政治部)

説明: http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kishanome/news/images/20060223dd0phj000004000p_size6.jpg

昨年8月30日公示の衆院選で第一声を上げる社民党の福島瑞穂党首

=写真左、沖縄市で木葉健二写す=と共産党の志位和夫委員長

=東京・池袋で手塚耕一郎写す

 

 ◇護憲、本気なら共闘すべし−−「近親憎悪」に決別を

 共産党と社民党の党大会を、今年に入り相次いで取材した。国会の議席が激減した「老舗の護憲政党」は今数だけでなく理念・政策の面でも危機にある。憲法改正の是非を問う国民投票法案の国会提出が模索され、政界では改憲への動きが加速しているからだ。

 

 本気で改憲阻止を目指すなら、両党は「憲法を守る」一点でもっと積極的に共闘すべきではないか。ささいな理念の違いに縛られ主導権争いに終始すれば、改憲に迷う国民をわずかな違いで分断し、改憲阻止への逆効果になりかねない。

 

 「共産党がわが党の平和政策をどれだけ口汚くののしってきたか。(社民)党の主体性が重視されるべきだ」。11日の社民党大会で地方党員の一人が、厳しい言葉で共産党との共闘に対する慎重論を展開した。共産党に対する社民党の「近親憎悪」にも似た感情を改めて実感した。

 

 両党が昔から険悪だったわけではない。70年代には共産党と旧社会党(社民党の前身)が「社共共闘」を展開、全国の地方自治体に多くの「革新首長」を誕生させたこともある。しかし蜜月関係は80年1月の「社公合意」で幕を閉じる。旧社会党は公明党との「連合政権構想」で合意。「共産党は政権協議の対象としない」ことで一致した。

 

 以来共産、社民両党の関係は悪化、やがて衆院の小選挙区比例代表並立制導入の影響で、ともに党勢を衰退させた。昨年の衆院選で、自民、公明両党は憲法改正を発議できる3分の2の勢力を確保。改憲は現実の政治日程にのぼり始めた。

 

 国会で改憲の発議を阻めないなら、次は国民投票で「改憲反対」を過半数に持ち込む運動が必要だ。しかし両党とも自らの党勢拡大と、自党を中心にした「無党派層や保守層との連携」を強調するばかり。護憲政党同士の連携は、あえて避けているように見えた。

 

 こうした状況にまず業を煮やしたのが、共産党の地方党員だ。1月の党大会では執行部に対し、社民党との共闘を求める意見が続出。地方の声に押される形で、志位和夫委員長は大会後、社民党の福島瑞穂党首に「改憲阻止での共闘」を提唱。その意外感が、1カ月後に聞いた社民党の地方党員との違いを、さらに強く印象づけた。

 両党の地方党員の意識が異なる背景には、草の根の有権者との接触の度合いの違いがあると思う。

 

 党勢が衰退したとはいえ、共産党は各種選挙で大半の選挙区に独自候補を擁立し、機関紙配布といった日常活動も根強く残るなど、それなりに地域に浸透している。一方の社民党は、人材もカネも支持労組に大きく頼ってきたため、10年前の党分裂で労組が民主党支持に流れた後は、有権者と日常的に結びつく基盤が大きく損なわれた。

 

 だからというわけではないが、私は共産党の地方党員の方が、改憲反対の有権者の意識をより的確につかんでいるのではないかと思う。「『社共』だけが前に出ると幅広い勢力は結集できない」という社民党の懸念もわかるが、最も主張の近い勢力との共闘に及び腰なのに、無党派や保守層との連携を掲げても「本気度が疑われるだけ」という主張の方が説得力はある。

 

 国民の多数が女性・女系天皇を容認していても「今国会での皇室典範改正」には慎重論が多数派だったように、憲法問題でも「改憲に賛成だが、拙速に行うのは反対」という人もいる。こうした人々の意識も掘り起こす度量の広さが求められる時、過去へのこだわりは邪魔になるだけだ。

 

 「社公合意」の時に共産党書記局長だった不破哲三前議長は、今回の党大会で党運営の指導的立場を退いた。社民党の福島氏は弁護士出身で、政治家としては旧社会党時代を知らない。過去を乗り越える良い機会だ。両党は近く党首会談で共闘を確認するが、選挙協力も含め、現実の政治状況にさざ波を立てる行動を見せてほしい。

 

 両党を取り巻く環境は「革新ブーム」に沸いた70年代とは確かに違う。「ミニ政党クラスとなった両党の共闘にどれほどの意味があるのか」との思いもないわけではない。

 

 だが、世論調査などを見る限り、国民世論は政界ほど改憲一色ではないと思う。改憲に国民投票という要素が必要な以上、小さくても二つの護憲政党の動きはもう少し注目されていいはずだ。注目に値する政治行動を取ればの話だが。

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    毎日新聞・記者の目『護憲、本気なら共闘すべし−「近親憎悪」に決別を』

 

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