「じゃあさ、ちょっとオレに付き合えよ」
「えっ?」
「ゲーセン行こうぜ、ゲーセン。時間潰しに」
「…で、でも、セリオさんが…」
「すぐ目の前じゃねーか。大丈夫だって」
「うーん。…そうですね」
「よしっ、じゃ早速行こうぜ」
「はいっ」
 オレはマルチを連れて、ゲーセンに入った。


 店内に入った途端、マルチは物珍しそうに、きょろ
きょろとまわりを見渡した。
「マルチは、ゲーセンに入ったことあんのか?」
「いえ、初めてです。とっても賑やかで、楽しそうな
ところですね」
「ああ、楽しいぞ。アミューズメントの最先端がこの
空間に詰まってんだからな」
「わあ…」
 マルチは子供のように目を輝かせた。

「あれはなんですか?」
「メダルゲームだ。お金でメダルを買って、増やして
遊ぶんだ」
「へえ…。じゃ、あれはなんですか?」
「対戦型の格闘ゲームだ。ほら、二台が向かい合って
るだろ? プレイヤー同士が対戦できるようになって
んだよ」
「へえ…。じゃ、あれはなんですか?」
「ジェットスキーのゲームだな。乗ると、機械自体が
ぐりぐり動くんだ」

「じゃ、それはなんですか!?」
 そう言ってマルチが訊ねたのは、エアホッケーの台
だった。
「エアホッケーだ。本物のホッケーは知ってるか?」
「あ、はい、いちおうは」
「あれのミニチュア版ってとこかな。金を入れると、
下から空気がふわーっと出てきて…」
「……」

「なんだ、やってみるか?」
「は、はいっ! …あっ、でも、わたし、お金持って
ないんです」
「…んなぐらい、オレがおごってやるって。…ほら、
向こうに行きな」
「は、はいっ、ありがとうございます!」

 オレたちは、台を挟んで向き合った。
「いいか、ラケットはこうして持つ。んで、パックを
打ち返して、相手のゴールに入れれば得点だ」
「はいっ、解りました!」
「よーし、じゃあ、始めるぜぇ〜」
 オレは100円を入れた。
 コトンと、出てきたパックを取り出し、フィールド
に置いた。
 さーて…、オレは――。

 A、本気で打つ!
 B、普通に打つ。
 C、手加減して打つ。