渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

事業構造とは何か(2)

 

 

 前号に引き続き、事業構造について述べる。

 [2]の販売方法について述べる前に、[1]のどんな商品やサービスをについて少し補足しておきたい。

 前号において、低価格品よりも高価格品を狙えと書いたが、言い方を換えると、中小企業は「世の中にあってもなくてもよいもの」を狙えということになる。間違っても日常雑貨品には手を出してはいけない。

 また、自社製品(商品)についての誤解も多いため、少し触れておく。

 例えば、下請ばかりやってきた会社が初めて自社で開発した商品を販売するケースにおいてである。この自社で開発した商品をメーカーに販売したのでは、自社商品にはならないのである。つまり、卸売業者か小売業者、もしくは消費者に販売するのが自社商品なのである。

 自社で開発しようが、他社で開発しようが、卸売業者等に販売できれば、それは自社商品となるのである。メーカーに売っていたのでは開発費などは見てくれないし、あくまでも下請には変わりないのである。

 また、多品種化よりも多角化の方が重要であると書いたが、多品種化を全くやってはいけないと言っているのではない。重要性の問題を言いたいのである。

難易度から考えれば、多角化の方が多品種化よりもはるかに難しいので、多品種化を先に進めておいて、後から多角化を始めてももちろん構わない。多品種化において重要なことは、商品構成である。

 つまり、Aという商品を扱っていた会社がBという商品を新たに扱うのに、AとBが全く無関係というのでは顧客には理解しにくいので、関連性のあるものが望ましいのである。

 

[2]どのようにして…販売方法

 

 一番理想的な販売方法は、直接販売である。なぜならば、ユーザーの声を直接聞くことができるからである。

そして、そのユーザーの声を聞いて、商品やサービスを手直ししていくのである。

 ところが実際は、特に技術系の会社は販売というものを軽視して、すぐ大手の卸売業者に持ち込んだり、大手の商社と総代理店契約を結んだりして、販売という事業経営において一番重要なものを他社に委託してしまっているのである。これは大きな間違いで、絶対にやってはならないことである。

 まず、中小企業が大手の卸売業者と取引きすること自体が誤りである。大手の卸売業者からみれば、中小企業の持ち込んだ商品などというのは、数多くある商品のほんの一つにすぎないのである。つまり、本気になって販売したりすることはまずないと考えるべきである。卸売業者の全売上高の1%以上になれば、多少関心を持ってもらえるのである。

 また、こちらから持ち込んだのでは価格的にも叩かれてしまい、利益は出ないものである。 

  ところが、経営者によっては、大手の卸売業者と取引きできたということだけで、自社のすべての商品を販売してもらえるという錯覚に陥ってしまうのである。

 ですから、卸売業者を通して販売するにしても、中小の卸売業者つまり自社と同レベルの会社と取引をし、しかも販売を委託するという姿勢よりも一緒になって販売するくらいの気持ちが重要である。

 総代理店契約、これもクセモノである。

 つまり、これは他社への販売をいっさい認めないものである。総代理店に自社の生殺与奪権を与えてしまうという恐ろしいシステムである。開発・製造は自社で、しかし販売は不得手だから他社へ委せるというその姿勢がそもそも誤りなのである。

 

 

 

                   

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