渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

事業構造とは何か(3)

 

3]どういった顧客層に販売すべきか

 

顧客層の選定も、多くの経営者が間違えやすいことのひとつである。実際、中小企業の会社案内や求人募集などを見ていると、大企業との取引があることを自慢している会社が多い。

 確かに、大企業との取引はメリットも多い。しかし、同時にデメリットも多いのである。物事を決定していくためには、メリットとデメリットの両方を総合勘案する必要がある。メリットだけをチェックして意思決定してしまうのは誤りである。

 では、大企業との取引のメリットは何であろうか。

 ひとつは、相手がつぶれないということである。要するに、貸倒の失敗がないのである。とは言っても、最近では上場企業の倒産も多くなっているので、安心はできない。

 もうひとつは、年間の売上高の総量をある程度確保できることであろうか。

 

 それでは、反対にデメリットとは何であろうか。

 ひとつは、利益が取れないということである。最初はともかくも、特に永く取引していくとだんだん収益性は低くなっていくのが普通である。

 もうひとつは、手形でもらったり、支払サイトが永いので、資金繰りに困ることである。要するに、儲かりもしない仕事なのに、すぐに支払ってくれないのである。

 さらに、その大企業の社長との関係で商売をやっているのではなく、担当部長との人間関係で商売をやっているケースが多い。そうすると、仮に担当部長が人事異動で動いてしまうと、ピタッと仕事がこなくなってしまうこともあるのである。

 私がお薦めしたいのは、独立系の優良な中堅・中小企業との取引である。

 ます、ワンマン経営者も多いため意思決定が早い。もちろん、大企業のような稟議書制度などというくだらないものもない会社が多い。

 また、価格だけを単純に比較するのではなく、一流の仕事をするのであれば、高価格で取引をしてもらえるし、支払条件も良い。大企業とは違い、社長とのつきあいで仕事が決まっていくため、一流の仕事を維持している限りにおいては、取引を切られることも少ない。

 ただし、知名度がないのである。ですから、ハッタリと言おうか、自社の信用のために大企業との取引を利用するのは良いかと思うが、実際の商売は中堅企業で組み立てていくべきである。

 ここで注意すべき点は、そのメインとなる中堅企業に対する売上高を前売上高の30%以下に抑えておくということである。売上高の比重を高めていく方が、効率性は良くはなるのであるが、その顧客との関係が切れたときのダメージが大きいため、上限でも30%に留めておくべきである。

 また、私が中小企業の経営者に、大企業ではなく中堅・中小企業にも販売できるようと商品構成を変えていくべきである。

 最後に個人客についてであるが、一言で言えば、富裕層を狙えと言うことである。これにも当然販売する商品もそれに見合ったものを考えなければならない。安いものを一般庶民にたくさん販売するというのは、中小企業はやるべきではない。

 

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