書面添付制度がポピュラーなものに【2】
先月号に引き続き、書面添付制度について述べてみたい。
書面添付制度の効果についてはもともと議論のあるところではあるが今回の改正ではそこを鮮明にしたようである。
つまり次の意見聴取制度の導入である。
(1) 税務代理権限証書が添付されている場合(これは税理士法第30条のことで、要するに税理士に申告を依頼していることを証する書面のこと)
(2) 事前通知してから行う税務調査の場合(スケジュールを打ち合わせしてから行われる税務調査が諸般の事情により突然行われる税務調査もある)
(3) 書面添付制度を活用している場合。
以上3つの条件を満たしている場合においては、税務当局が税務調査を行いたいという事前通知をする前に、その関与税理士に対して書面添付制度における書面の記載事項に関して意見を述べる機会が与えられることになっている。
ここで言う書面の記載事項とは、申告書を作るに当たって判断に迷うような重要性の高い事項をいう。つまり予め関与税理士が問題のありそうな事項を先に宣言してしまうのである。
調査に入る前に問題点について税務当局と税理士で議論をやっておいて、そこで疑義が解決した場合には調査が省略されることになるのである。
税務当局との議論により税理士サイドが自分の落ち度を認めたときは、修正申告を提出することになるが、その場合は加算税という罰金は賦課されないというのが、今回の改正の最大のメリットかもしれない。
なぜならば日本の税務行政においては、諸外国の様にアドバンスルーリング
(事前照会制度、つまり税務申告をする前に、納税者ないしは税理士が税務当局と争いになりそうな事案についてこういう考え方に基づいて申告をするけれども、問題点はないかと、確認ができる制度のこと)が存在しないため判断に迷う点については、どうしても税務署に有利なかたちでの申告を行うことが多くなってしまうからである。
それは、クライアントが税務当局とのトラブルを嫌うという事情もあり、また納税者が負けたときは加算税という罰金を支払うというリスクもある。絶対に正しいと思っていても最終決定は裁判所が行うので、リスクが常に付きまとうのである。
よって一線級の税理士はアドバンスルーリングに代わるものとして、書面添付制度を積極的に活用していくことになるであろう。
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