渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

最近の税務のトラブル事例【1】

 

 

税務当局から伝え聞いている最近の税務のトラブル事例を 御紹介しておきたい。

 

【1】 同族会社の留保金課税の不適用には明細書の添付が条件

  株式会社は資金を出す人と経営を行う人は別(つまり所有と経営の分離)ということを建前上は前提としているが、実際には、所有と経営が同一の会社、つまり同族会社の方が多い。

  同族会社においては、役員報酬をきちんと貰っていると、配当金を出さないケースが多いため、株主に対する配当金課税が出来なくなってしまう。

  そこで同族会社においては、利益が出ているにもかかわらず配当金を出していない時は、留保金課税という特別な税金を課税する事になっている。

  しかしながら2年程前から時限立法で、創業10年以内の中小企業においては、この留保金課税を適用しないという措置がとられている。

  ただし、一定の明細書を添付していることが要件となっている。

  しかし実際には添付していないケースが多いらしい。

  一定の明細書を添付していないだけならば、税務当局から指摘される前に提出すれば、税務上問題は無い。今問題となっているのは、明細書の添付うんぬんではなく、この規定そのものを知らなかったため、特別の税金を既に払ってしまった後に払い過ぎを知り、還付請求しているケースである。

  税務当局は今のところ還付請求には応じられないという態度をとっているようである。(私は税法上、還付請求は可能であると考えているが)

 

【2】 税込経理で消費税の還付を受けたときは雑収入となる

  消費税の関係で、経理方法は税込経理と税抜経理の2種類ある。

  年間売上高3,000万円以下の免税事業者は税込経理以外は認められていないが、3,000万円超の課税事業者はどちらでも選択可能である。

 

  ただし、税抜経理の方が法人税(個人であれば所得税)の税額は安くなるケースが多い。(消費税の税額はどちらでも変わらない)

  このことを知らないため、経理処理が楽であるという理由から、税込経理を選択している会社は多い。確かに経理処理が楽な面はあるが、コンピュータ会計を使えば何の問題も出てこない。税抜経理が大変であるというのは、次のような仕訳の差があるからである。

 

 《税込経理》

        現金     10,500 / 売上     10,500

 

 《税抜経理》

        現金     10,500 / 売上     10,000

                     仮受消費税等     500

 

   しかしながら、コンピュータ会計を使うと税込で入力してアウトプットは税抜きで行えばよいので、何の面倒もないのである。

   具体的に税込経理でやると法人税が倍ぐらいになってしまうケースをご紹介しておく。

 

 

 

【参考事例】

 

 

賃料は年間1,000万円(税抜)、

経費は減価償却のみで、

20年で償却すると仮定する。

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 


  @ 税込経理で利益を計算すると

           収入 1050万円

           経費  525万円 

               利益   525万円

   となるが、実際は還付される消費税(一億円×5%−1,000万円×5%=450万円)を収入に加算しなければならない。

つまり利益は525万円+450万円=975万円となる。

 

A        税抜経理で利益を計算すると

           収入 1000万円

           経費  500万円  

               利益   500万円      となる。

   つまり975万円−500万円=475万円に法人税率40%を乗じた分だけ税金は安くなるのである

 

この記事は2002年8月に書かれたものです。
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