渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

最近の税務のトラブル事例【2】

 

 

 

引き続き、税務当局から伝え聞いている最近の税務のトラブル事例を御紹介していく。

 

 

【3】 一括償却資産は固定資産ではない

  10万円未満の購入は購入年度に全額が経費になる。20万円以上の購入は、固定資産として減価償却を行う。その中間、つまり10万円以上で20万円未満の物は一括償却資産として3年間で全額を償却する。この一括償却資産とは、経費を3年間で費用化するという意味で、固定資産とは概念が異なる。

  つまり、個人事業者が法人成り(株式会社や有限会社への移行)した場合には、個人事業者の法人成りした年度に残額を全額費用化することになる。通常の固定資産とは異なり、帳簿価額で法人に売却ということはない。

  また、個人事業者が事業を廃止(死亡による廃止

を含む)した時も、その廃止した年度に残額を全額費用化することになる。

 

【4】 適格退職年金制度を解約した場合

  国の制度である適格退職年金制度を解約する企業が増えてきている。つまり、国の他の制度(日本版401kのこと)や民間の退職金制度へ切り換えが行われている。

  その場合、解約に伴い今まで貯蓄したものの分配金が、各社員の口座に振り込まれる事になるが、問題は税務上の取扱いである。

  社員の退職に伴うものではないため、退職所得にはならない。退職所得となると税務上は優遇されるが、実際は給与所得としての課税が行われる。

 

【5】 住宅ローン控除における留意点

  個人がローンを組んで住宅を購入した場合は、税金の還付が受けられる。

  この住宅の購入には一定の条件を伴う増改築も含まれている。ただ、ここで大事なこ

 

とは、元々の住宅の所有者が行ったものでなければならないということである。

  つまり、父親名義の住宅を息子が増改築を行っても、税務上のメリットは受けられな

いのである。

 

【6】 補聴器の全てが医療費控除の対象となるわけではない

  補聴器で医療費控除の対象となるのは、医師の診療・治療に関連して購入した場合のみである。個人的に購入しても対象とはならない。

 

【7】 会社への貸付金の利息は確定申告する

  社長が自分が経営する会社へ利息をもらうことを条件にお金を貸し付けていたが、会社の資金繰りが厳しく、利息をもらえないでいたとする。

  この場合、会社は利息を未払い金として費用計上していたならば、社長個人は未収利息として確定申告の必要がある。

 

【8】 父親の事業を引き継いだ場合の消費税の取扱い

  父親が個人事業で商売をしていて、死亡に伴い息子がその事業を承継したとする。その場合、父親が消費税の課税事業者であれば基本的には息子も課税事業者になる。

  消費税の課税事業者とは2年前の年商が3000万円を超える事業者のことであるが、相続があった場合には被相続人(父親)の年商を用いるためである。

 

 この記事は2002年9月に書かれたものです。

 

 

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