渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

事業構造とは何か(再論)

 

 3回にわたって書いたテーマであるが、事業経営において最も重要な問題なので、今回もまた述べてみたい。

 

 最近の経営相談の事例であるが、年商10億円程度のワインメーカーのケースをご紹介する。

 この会社は一部上場企業の子会社であり、相談者はそのワインメーカーの社長である。(社長は親会社からの出向)

 このワインメーカーは売上の8割は自社の工場で直接消費者に販売している。場所が観光地のため、旅行会社やその地域の旅館・ホテルとタイアップして、そのタイアップ先が連れてくる観光客に販売しているのである。

 残りの売上の2割は、小売店(酒屋他)に卸している。

 この社長の一番の悩みは工場での販売に経費がかかりすぎることである。せっかく経営計画を作っても、計画の固定費だけではどうしても売上目標が達成されない。それでついつい経費を使ってしまうため、経営計画をどう実際に使っていいのかわからなくなったというのである。

 つまり固定費が固定費でなくなってしまうということである。

 

 そこで私は次のようにアドバイスをした。

 

【1】   工場での販売をこれ以上には強化せず、販売方法を変えること

具体的には通信販売を取り入れること。

 

 平成9年以降この5年間、個人消費はかなり落ち込んでおり、百貨店・スーパー等の店舗販売はおおむね不振である。

 しかしながら通信販売のみは毎年伸びている。

 高齢者にも相当浸透してきていると私は見ている。

 

また、今までよかった工場販売がダメになってきたのであれば、そのことに力を入れないことである。

 事業経営の世界では、ダメなものに無理に力を入れてがんばらないことである。

 伸びそうなものを見つけてそれを強化していくことである。

 

 

【2】   ただ通信販売を始める前に、商品力を今一度チェックすること

 

 商品力をみがいてから通信販売を始めなければならない。この順序を間違えてはならない。

 工場での観光客相手の販売においては、お客様が観光気分というものもあって、多少味に難があっても許されてしまう。

 しかしながら通信販売ではそうはいかない。

 味に差別化がないと、一回は買ってもらえてもリピーター(繰り返しのお客)にはならないのである。

 

 

【3】   そして商品力(味)をみがき、通信販売の中味を検討するにあたり大事なことは、どういった顧客層をメインに販売するかを絶対に考えておくことである。

 

 どんな人にでも受け入れられるものを、とは考えないことである。

 みんなに好かれようとすると、みんなに嫌われてしまうのである。

 

 

 以上のようなアドバイスを私はいつも次の事業構造に引きつけて考えている。

 

 

 

テキスト ボックス: 商 品 力 テキスト ボックス: 営 業 力 テキスト ボックス: 顧 客 層
 

 

 

 

 

 


 

 

 

つまり、どんな商品・サービスを、どういった販売方法で、どういった顧客層に販売するかという事を常に念頭においてビジネスを考えるのである。

 

 そしてどのように事業構造を変えていけば高収益体質になるのかを模索していくことである。

 

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