渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

雇われ社長を辞任したい時

 

 

諸般の事情により雇われ社長を頼まれたり、社長じゃないにしても名目上の役員になってくれというと言われることはよくあることである。

この頼んでくる相手というのは、当然その会社の大株主つまりオーナーである。

ただ、問題はその会社の商売がうまく行かなかった時である。

正式に廃業とするには、会社の規模にもよるが最低でも50万〜60万円はかかる。そうすると、小さな会社ではそのままほって置かれる可能性がある。

つまり、登記上は雇われ社長のままなのに、会社の実印や通帳は取り上げられてしまっている。

つまり、あらたに会社が借入をした場合、その責任を背負わされる可能性がある。この上なく危険である。

さて、この場合 雇われ社長はどう対応していくかである。役員と会社との関係は、民法上の委任、準委任契約である。

つまり、いつでも正当な理由などなくても、役員をおりることができるということである。

逆に、会社側からもいつでもクビにできることを意味している。

ところで、役員の辞表を出しても登記の手続きが行なわれなかった場合をどう考えるべきかである。

まず、辞任の登記をするように辞任した役員は、会社に要求することは可能であるしその判例もある。

また、登記がされなくても役員の資格は辞表を出した時点で失われるのが原則である。 

 しかしながら、雇われ社長の様に他に代表者がいない場合には、登記が終了するまで役員の権利義務が残ってしまうのである。(つまり後任者が決まるまでダメという意味)

これは例外規定であるが、現実には例外規定の方が多いのである。

 そこで、残る手段として辞任した雇われ社長は、裁判所に対して仮代表取締役の選任を申立てることになる。それでも次の代表取締役が決定されるまでには、早くても1週間はかかる。

 

 ここでの実務上の注意点は、大株主であるオーナーが代表取締役にふさわしいと推薦しておくことである。

 推薦などしていなくても、事実関係を調べれば、誰が代表取締役に適任かわかるかと思うし、わからなければ調査をすればよいと思う。

だが、裁判所というところは実に怠慢な所でそれをやらないのである。

法律上の解釈では、裁判所が仮代表取締役を裁判所の判断で選任するとなっているにもかかわらず、やらないのである。

 

 最近、私のクライアントで起こった事例では、辞任の登記をすることを口頭ではなく書面で行ない、さらに、やらない場合は法的手段を行使すると書いておいたため、うまくいった様である。

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