渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

更正の請求について

 

 

 更正の請求という言葉を御存知だろうか。

更正とは、税務署等が税金を追加で徴収したり(増額更正)、すでに徴収した税金の全部または一部を還付する(減額更正)行為をいうが、更正の請求における更正とは、減額更正のことを意味している。

 つまり税務署等に対して、納税者が税金を払い過ぎたためその全部または一部の還付を求めることを、更正の請求というのである。

 ただし、更正の請求が行なえるのは、法定申告期限からたった1年間だけである。

税務当局が税金を追徴できる期間が、7年間であるにもかかわらずである。

さらにもっと問題なのは、税金を払い過ぎたすべてのケースにおいて、税金の還付が認められているわけではないということである。

 

国税通則法では、その申告書に記載した課税標準等もしくは税額等の記載が、国税に関する法律の規定に従っていなかったこと、又はその計算に誤りがあったことにより、その申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときは、更正の請求ができると規定している。

 

実はこの国税に関する・・・・というのがクセものである。

税法には特例規定というものがたくさんある。つまり、原則では税金が100万円であるが、特例規定を使えば例えば半分の50万円になったりするという意味である。最初の申告において特例規定を使えば使えたのに、知識が無くて使わなかった場合には、更正の請求はできないのである。なぜならば更正の請求は上記より計算に誤りがあった場合にのみ適用されるが、特例規定を使わず原則どおり計算をしたことは誤りにはならないからである。

 

実は、更正の請求に関連して、税理士への損害賠償の問題が起きている。

例えばこんなケースである。

上場外国株式を取得していたため、配当金を1億円もらったという。その時に、

外国所得税として10%が差し引かれ、さらに国内でも10%の税金が源泉徴収されている。

外国株式については国内株式とほぼ同様の取扱いで、金額にかかわらず「申告不要」とすることが可能である。(これはあくまでの現行上の税法の取扱いで、今後は変わってくる可能性が大きい。)

また、確定申告を行なって「総合課税」とすることも可能である。要は有利不利の選択ができるのである。

 ただし一度選択してしまうと、計算に誤りがあったわけではないので、更正の請求はできない。

 つまり、外国所得税10%と日本の税金10%で済んだものを、誤って確定申告をして最高税率50%を使ってしまうと、もう更正の請求はできないのである。

 つまり(50%−20%=30%)の税金、約3,000万円をある税理士は分割で支払い続けているそうである。

 

 永年、税理士業務を行なっていると、こういう勘違いが必ずといっていいほど出てくるものである。給与所得などのいわゆる勤労所得の最高税率は50%なのに、配当所得などの不労所得の最高税率が20%で済んでしまうことが、ピンと来ないからである。

日本だけでなく、世界の税制の流れにおいて、人よりも資本に対しての課税が甘くなっているのである。

 

この記事は2007年5月に書かれたものです。

 

 

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