渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

 『 消費税の増税問題について

 

昨年も消費税問題について触れたが、今回はさらに深く掘り下げた説明をしてみたい。

 

昨年のはなしは、税率が5%なので諸外国と比べて消費税の税金が少ない様に思ってしまうが、実際は非課税商品や軽減税率商品が日本の場合少ないため、諸外国と同様の消費税を支払っているということと、大企業は消費税は多額の還付請求をしているということを述べた。

 

後半の部分をより具体的に述べてみたい。

例えば、税込金額7,350円で仕入れた商品を国内で税込金額10,500円で販売する企業は、500円―350円=150円の消費税を税務署に支払う。これが原則である。

しかしながら、外国へ輸出すると消費税は免税となるため、仕入のうち消費税分、つまり350円相当額を還付請求することができるのである。大企業は国内での売上よりも外国への売上が多いため、何百億円、何千億円も税務署より還付を受けているのである。直近のデータでは、例えばトヨタ自動車は年間3,200億円も還付をしてもらっていることがわかる。だから大企業(財界)は消費税の増税、法人税の減税を強く求めているのである。

法人税の減税が決まったことにより、トヨタは法人税の納税よりも消費税の還付の方が多額になることは明らかである。要するに、トヨタは日本では1円も税金を支払わない企業になってしまうのである。

 

この問題は世界中に広がっている。どの国も輸出企業は大企業である。もともとその大企業は輸出補助金を政府から受けて商売をしていた。しかしながら、その後輸出補助金はWTOの協定違反となったため輸出補助金に代わるものとして消費税を活用してきたのである。つまり、消費税の本質は輸出補助金にほかならないのである。

 

もうひとつの消費税の本質は第2法人税にある。つまり、消費者に消費税は必ずしも転嫁できるというものではなく、結局のところ事業者が負担せざるを得ないという現実がある。直接税だから法人が負担し、間接税だから消費者に転嫁できるというのはいわゆる机上の空論に過ぎない。

過去において法人税率の税率を引き上げた場合、物価は必ず上がっていたという事実がある。(要するに直接税と言われながら、転嫁してしまうのである。)直接税と間接税などという古典的な税の議論はもうそろそろ卒業しなければならない。

また、法人税と異なり赤字会社も負担するため消費税は国税滞納額のワーストワンになってしまっている。全滞納税額の何と45%を占めているのである。担税力(税金を支払う力)というものを考えると消費税を今後増税していくことは相当問題が出てくるであろうと思われる。

 

最後に平成元年に消費税が導入されたことにより零細企業の税負担がどう変化したかの事例を示しておきたい。年間売上高2,000万円の美容室を有限会社で経営しているケースを例に引く。このクラスの会社はほとんどが赤字である。つまり、法人税等の負担は年間7万円だけであったが、消費税導入により年間50万円の消費税が増加している。会社が負担する税金が約8倍になったのである。

 

 




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