『書面添付制度とは何か』
今回は書面添付制度について述べてみたい。これは税理士法(税理士に関する法規則はすべてこの法律に書かれている)の第33条の2のことを意味する。
企業が税務申告書を税務署に提出する際に、その内容が正しいことを税理士が確認する書類(税理士が計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面)を添付する制度と定義付けられている。
ただ、この説明では今ひとつピント来ない。
簡単に言えば、税理士が顧問先の経理がきちんと出来ているため、税務調査を省略できるのではと考えた場合において、税務当局に対して提出するその推薦状のことと思ってもらえればよい。
もともとこの書面添付制度を活用した場合は、通常、利益の出ている会社であれば3年間に1回程度は税務調査が入るのが普通であるが、6年間に1回程度と頻度が少なくなるというメリットがあった。
また、6年間に1回の調査の場合、そのやり方も経理システムを確認するにとどめ、あまり細いことまで立ち入るということもない点もメリットと言えるであろう。
ただ、いずれにしても税理士が調査省略を目的として、書面添付制度を活用していても、調査そのものは行われていたのである。
それが数年前に制度の改正があり、かなり進化したのである。
具体的には、税務当局がある企業の調査を行おうと考えた場合、その申告書に書面が添付されている場合には、いきなり調査をするのではなく、
先に顧問税理士の意見を聴取して、書面添付の書面に書かれた内容の確認を取るのである。
税理士の聴取で納得が行った場合には調査省略となり、その顧問税理士に対して、その旨の書面を発行することになっている。
やっと書面添付制度イコール調査省略制度が確立したのである。
では、その背景は何であろうか。
私が思うに、税務調査官の調査能力の低下が大きいと考える。
そもそも調査官自身が権力を行使して、企業と事を構えることを嫌う傾向にあると聞いている。
税務調査とは、国家権力が民間企業の経理内容に介入していく行為にほかならないわけであるが、若手の調査官がそのことを避けているようである。
そのことからか、調査時において最近思うのだが、調査官が調査対象企業の業界事情について勉強していないケースが多い。
よって、その業界のポピュラーな取引慣行が理解できていないのである。その取引つまり経済行為があって、税務となるわけであるが、その取引がわかっていなければ当然に深い調査を行うことはできないのである。
特定の税理士を顧問にすることによって税務調査が省略されることは、企業にとって朗報であろう。
また、それ以外にも金融機関からの借入においても有利な条件のひとつになってきていることに注目しておく必要がある。
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