『日本航空は何故経営再建が出来たのか』
日本航空(JAL)は、2010年3月期で経営破綻している。破産法ではなく会社更生法という法律を根拠にしているため、破綻したとはいえ会社は消滅せず再建への道を歩んでいる。
歩んでいるというよりも、いとも簡単に黒字化してしまっている。2年前の破綻時においてはTVや新聞に出て来る専門家のほとんどが、日航の再建は非常に難しいと論評していたことを鮮明に覚えている。いや専門家というよりもマスコミそのものが再建は無理と考えていた節がある。
私はこのことが次の理由より不思議でならなかった。
事業経営がうまくいくかいかないかの最大のポイントは、需要と供給のバランスである。つまり需要に対して供給過剰でなければ大抵はうまくいくのである。(もちろん一定の需要が存在することが前提となるが。)
エアラインの業界は日航と全日空のほぼ独占といってよい。つまり全く供給過剰となってはいないので、需要に応じた供給体制を作れば必ずうまくいくはずである。
実際日航の再建に関わった人々のメイン戦略は、路線数、飛行機の保有機数、従業員数、この3つの3割削減である。これで95%問題が解決できると考えていたようである。需要つまり飛行機に乗る人々はある程度見積れるわけだから、それに応じた供給体制を作れば必ず黒字になるのである。
独占で商売をやることは本当に楽なのである。3つの3割カットが基本戦略であると書いたが、実際には従業員数は3割カットだが、路線数と保有機数は2割カットで済んでいる。再建後の最初の決算である2011年3月期も2,000億円近くの営業利益を出しているが、今期2012年3月期もかなり良い数字が出そうである。
それにしても2年前マスコミで大騒ぎしていた日航の経営破綻について、あっという間に黒字化した割にはほとんど黒字化した理由に関するニュースも報道されていない。これはどうしたことなのだろうか。
大手メディアの上層部は日航の赤字の原因が、我々TV局や新聞社と同様のものであると気付いたからではないだろうか。TV局も新聞社も経営状況はかなり厳しい。特に新聞社は完全なる赤字体質になっている。日本の場合、TV局と新聞社が一体の組織になっているため、共倒れしていく可能性もある。大手マスメディアも独占状態という意味においてはエアライン業界と全く同じため、供給体制のうち過剰な部分を削減すれば黒字化していくはずである。
要するにこの事実を明確化させたくないが故に、日航の黒字化ニュースにも熱心になれないのだろうと私は邪推している。
もう一つ日航の経営破綻問題に関して指摘しておきたいことがある。それはその国のメインの航空会社を絶対に外資系に譲り渡すことは無いという点である。それは有事(外国との戦争や内戦)の時は軍人(日本では自衛隊の人間)を民間航空機で移動させる必要があるからである。軍用機ではものを運ぶことはできても、人間まで移動させる余裕は無いため、民間機の出番となるのである。
要するに日航を破産させたり、あるいは外資に売却したりなどという話は、全くリアリティの無いことだったのである。
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