渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

『65歳再雇用義務化とは何か』

 

 

今年の8月29日に高年齢者雇用安定法が改正されている。今月号では、そのポイントを整理しておきたい。この改正は厚生年金の支給開始年齢の引き上げとの関連で行われている。

 

まず厚生年金には定額部分と報酬比例部分の2つから成り立っていることを押さえておきたい。厚生年金のうち、定額部分については、来年つまり2013年4月より65歳から支給開始となる。(何年かかけて段階的に引き上げられてきた。)報酬比例部分については、来年4月より61歳から支給開始となる。(もともとは60歳だった。)

 

つまり、60歳で退職してしまうと、1年間は全く収入がなくなるため、民間企業での雇用期間を1年延ばせというのが今回の改正というか改悪の主旨である。誤解が多いが、来年の4月からいきなりすべての人が65歳まで雇用することになるという意味ではない。

 

例えば来年の4月15日で60歳になる社員がいると仮定する。改正前であれば、4月ですぐ退職だったのが、もう1年間雇用してくださいというはなしである。すでに60歳になっていて再雇用されながら年金をもらっている社員の場合は、今回の改正の対象外となるため、来年以降いつでも再雇用の更新を打ち切ることが出来るのである。

 

前回の改正は6年前に行われているが、そのときの内容を整理すると、以下のようになる。それは、

@    定年の引き上げ

A    継続雇用制度の導入

B    定年制の廃止

 

のうち、いずれかを選択しなさいというものである。つまり60歳定年後も働ける環境を整備したのである。実際には8割以上(大企業では9割以上)がAの継続雇用制度を導入している。

 

この継続雇用制度には勤務延長制度と再雇用制度の2つに分けられる。前者は定年退職せず、引き続き雇用するという制度で、後者は一旦は定年退職し、再び雇用するという制度である。さらに後者は「希望者全員を再雇用する場合」と「労使協定で、一定の基準を作り、それに該当した人のみ再雇用する場合」に分かれる。今回の改正は、この後半の部分をなくし、希望者は全員再雇用するというものである。

 

ここで問題となるのは、希望者はすべて雇用しなければならないのかということである。厚生労働省では企業の負担が重くなり過ぎないように「指針」を作り、心身の健康状態が著しく悪い人などは対象から外せるようにすることを考えているようである。

 

 

【参考】厚生年金の支給開始年齢の引き上げについて

 

◎厚生年金の定額部分は

◎厚生年金の報酬比例部分は

       2001年4月より61歳

       2013年4月より61歳

       2004年4月より62歳

       2016年4月より62歳

       2007年4月より63歳

       2019年4月より63歳

       2010年4月より64歳

       2022年4月より64歳

       2013年4月より65歳

       2025年4月より65歳

 

 と支給開始年齢が引き上げられている。

 

 




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