渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

『単品管理こそが経営改善の決め手』

 

 

会社の経営がうまくいっているかどうかを決めるものさしは利益しかない。キャッシュフロー経営(資金を重視する経営)などといっても利益が出ていなければはなしにならない。年1回は税務申告の関係でどんな会社でも決算を組むが、それだけでは経営の資料として使えない。

 

よって、ある程度のレベルの会社は月次決算体制を構築している。といっても月次決算をやっている会社は中小企業全体の2割程度であろう。月次決算を組めば、月単位の数字をつかめるが、それでも中味はよくわからないため、部門別損益計算書を作成することになる。ちょっとしゃれた会社では経営計画における利益計画も部門別で作るため、毎月の予算と実績の差を部門別でチェックしている。要するに、会社の業績内容をチェックするには、ドンドン細分化していくしかないのである。その細分化の極致が単品管理ということになる。

 

単品管理とは、文字通り一つ一つの商品・サービスの収益性をチェックしていくことである。物販であれば、いくらで仕入れて、いくらで売ったかという粗利益率、粗利益額をすべての商品に関して行うのである。

サービス業やメーカーであれば、単なる粗利益率や粗利益額ではダメである。そこに時間軸の導入がポイントになる。

 

例えば、サービス業で100万円の仕事を受託して30万円の外注費を支払ったとしよう。この場合、粗利益率が70%だから高収益だとはならない。時間というものさしが必要である。この70万円を稼ぎ出すのに、内部の人間を何人投入し、延べ何時間働いたかを調べ、社員1人の1時間当たりの稼ぎ高を調べるのである。

 

このようにして、ひとつひとつの仕事、商売の収益性をチェックしていけば、どの仕事が本当はもうかっているのかがわかってくる。そしてもうかっている

 

分野を増やし、もうかっていない分野を減らしていけばよい。そうすれば自ずと経営改善ができるのである。そういう意味では実際のところ、多くの社長は自分の会社の収益性をほとんど把握していないと言ってもよい。それゆえに、どのような手を打ったらよいか、本当のところはわからないのである。

 

また、間違ってももうかっていない分野を、創意・工夫をして、収益性を高めようとしてはならない。創意・工夫をして、つまり付加価値を高めて、売価を引き上げていくのは、そこそこもうかっている分野である。苦手科目を克服するよりも得意科目をより伸ばす努力をすることである。

 

会社の業績が落ち込むと新規事業というはなしになりがちであるが、その前に既存の商売のチェック、つまり単品管理を行うべきである。

 

 

また価格政策においては、通常の価格基準のほかに、以下の6つの留意点について考えておく必要がある。

 

@スペック → 当初と仕事の内容が変わった時には価格を上げているかどうか。

A数量   → 当初より数量が減った時には、単価を上げているかどうか。

Bサービス → 本来、有料でやるべきサービスを無料でやっていないか。

C時間   → 平均的な時間よりも早く仕事をやるように求められたときに、価格を上げているかどうか。

D値引   → 担当者が勝手に値引していないか。

E現物   → 販売したにもかかわらず、無料で倉庫に保管しているという事実はないか。

 

 

 

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