渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

『税務調査手続の明確化』

 

 

今年の1月1日以後開始する税務調査より新しい税務調査手続がとられることになっている。今月号ではそのポイントをまとめておきたい。

 

[1] 質問検査等@(帳簿書類等の提示・提出)

[ポイント]

    各税法に規定されていた質問検査権の規定を国税通則法に集約した。

    現行法令の「質問」「検査」に加え、納税義務者に対し、帳簿書類その他の物件(その写しを含む)の「提示」「提出」を求めることができることを法律上、明確化した。

 

[2] 物件の留置き(預かり)

 [ポイント]

     現行の物件の預かり等の手続きを法律上明確化した。

     物件の提出者から返還の求めがあれば、特段の支障がない限り、速やかに返却する。

 

[3] 事前通知@(通知事項等)

 [ポイント]

     納税者と税務代理人の双方に通知する。

     従来通り、納税者及び税務代理人と必要に応じて、日程調査した上で事前通知する。

 

[4] 事前通知A(事前通知事項の変更)

 [ポイント]

     事前通知した後、納税義務者等から合理的な理由を付して調査開始日時又は調査開始場所の変更を求めることができる。

 

[5] 事前通知B(事前通知を要しない場合)

 [ポイント]

     違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあると認める場合、その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には無予告の調査を行えることになってしまった。

もともとは法律上の根拠はなかったが、実際は全体の5%であるが無予告で調査を行っていたのである。

 

[6] 調査の終了の際の手続(調査結果の内容説明)

 [ポイント]

     納税義務者に対し、法令上の「調査結果の内容の説明」であることを明示した上で原則として、口頭で説明する。

 

 

以上が改正点のポイントである。税務当局は、今までも実務上は行われていたことを法令上明確化しただけだから今までの税務調査と大きく変化することはありませんと主張している。

ただ私の予想としては、調査の実行前の準備に力を入れるようになるため、調査件数は減るがその期間は永くなるだろうと考えている。

これは、法令を細かく定めたため、どうしても事前準備や税務署内の手続きに時間がかかるからである。また、準備に力を入れるため、当然調査内容は深くなる。よって期間はかかることになる。

 

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