渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

『粗利益率ではなく粗利益額を重視せよ』

 

 高度経済成長の時でも、バブル景気の時でも、つまりいつの時代でもそうだが赤字割合がもっとも多い商売は、飲食店経営ではある。データを見る限り、これは間違いない。

 脱サラで会社を興すとなると大してノウハウもないのに飲食店を始めようと考える人は多いが大抵はうまくいかない。

 そもそも立ち上げの段階でうまく行かない人も、そこそこうまく行ってからダメになってしまう人も、いやかなり手広くやっている人も含めてだが、うまく行かない人の共通点は、原価率への異常なこだわりである。それも判で押したように30%である。これはもう病気としか言いようのないほどのこだわりである。つまり原価率病という病気にかかってしまっているのである。

 裏を返せば、粗利益を売上高で割ったもの、つまり粗利益率にこだわってしまうのである。本当に重要なのは粗利益率ではなく、粗利益額なのである。このことを飲食店経営者のみならず、ほとんどの経営者が誤解している。

 商売には、自分で商品やサービスを作り、それをお客に売り込む見込事業型商売と、お客から依頼されて商品やサービスを作り上げる受託事業型商売の2種類がある。

 このうち粗利益額よりも粗利益率にこだわってしまうのは見込事業型商売をやっている方である。

 逆に受託事業型商売をやっている方は、粗利益率にも粗利益額にも関心がなく、仕事がとれて、忙しくしていることで満足してしまう。

 はなしを飲食店経営にもどす。おいしいものを出さなければ、お客は来ない。それによって原価率が30%を超えたとしても、気にする必要などない。目標粗利益額を確保するために売価を上げるか客数をふやす(つまり回転率を上げる)ことを考えるべきなのである。もっとも、今の時代はデフレ不況の時代なので、売価を上げるよりは客数をふやす方向に動くのが一般的ではあるが。

 すべての商売がそうではあるが特に飲食店経営はその時代の流行の影響を受けやすい。つまり流行っている業種業態で勝負すべきなのである。奇を衒ったものをやってもうまくは行かない。時代時代に合わせて、やって行くしかないのである。その中で商品力を磨いていくのである。

 商品力を磨いた上で、重要になってくるのが販売力である。商品力と販売力の両方があるからこそ、目標粗利益額が達成されるのである。

 販売というものはどんな商売でも次の3つの手順で考えるとわかりやすい。

 まずは、見込み客を集めることである。このことをマーケティングと呼ぶ。マーケティングという概念は案外わかりにくく、いろいろな人がいろいろなことを言うが、見込み客を集めると定義付けるとわかりやすいと思う。

 次は、その見込み客への売り込みである。これをセールスと呼ぶ。

 飲食店であれば、店に来た見込み客のほとんどそのまま飲食していくのが普通であろう。つまりマーケティングがうまく行けばセールスは簡単なのである。

 そして最後は固定客化つまりリピータ化させることである。飲食店の場合は3つのうちリピータ化がもっとも難しい。飲食店経営者は、このリピータ化の決め手がその店の商品力とともに顧客対応能力にあることを強く認識する必要がある。

 

                 渋谷の会計事務所 中川尚税理士事務所
〒150−0031 東京都渋谷区桜丘町13−11 的場ビル2階 (渋谷駅西口より徒歩5分)  03-3462-6595

Copyright(C)2004 HISASHI-NAKAGAWA All Rights Reserved.