これまた東京地検特捜部がやらかした冤罪事件のひとつであろう。
本書は原子力発電所、地方分権をめぐって霞ヶ関の官僚と闘った剛腕知事が特捜部によって無実の罪を着せられて失脚させられてしまうという内容である。
特捜部検事 森本宏の次の様な発言には、特捜部そのものを解体していく以外の道はないように思われる。
「佐藤知事は日本にとってよろしくない。抹殺する。」
検察が捜査から起訴、裁判、刑の執行まですべての権限を持っているという制度を変えなければならないと思う。
これだけ強大な権限を持つ国家機関は諸外国には存在しない。
検察の本来の役割は警察の捜査をチェックして裁判にかけることである。
ところが、特捜部は例外的に独自の捜査をして外部のチェックなしに起訴ができるのである。
もうひとつ問題となるのは、戦後出来た新刑事訴訟法の中の「検事調書の特信性」という法律である。
これは、証人が法廷で検事調書の内容を覆す証言をしても、裁判官が検事調書の方が信用できると判断すれば法廷での証言を無視することが許されることを意味している。
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