サントリーのビール事業が黒字計上したのは1963年に参入してから45年目の2008年である。
そしてその立役者は「ザ・プレミアム・モルツ」で、そのヒットの原因を「営業」「開発」「生産」「ブランド」「経営」の各視点から論じているのが本書の内容である。
確かに2009年、他のビールが対前年比マイナスのなか、前年比110%増というのは大変な勢いである。
ただ、いくつか疑問もある。
ひとつは黒字になるのに45年かかったというはなしであるが、これは本当なのだろうか。
私の記憶では22年目で確か一旦は黒字になっていてはずである。
その後また赤字になっていたとしても。
仮にもし44年間赤字であったとしても本当に経営判断として正しいことなのだろうか。
80年代後半、洋酒事業で利益が出にくくなって、それを救ったのは食品事業である。
サントリーといえばウィスキーである、それにもっと力を入れるという選択肢はなかったのか。
赤字、赤字というが、シェアを広げるために多額の先行投資を行い過ぎていたのではないか、等々。
事業経営の観点から見ると不思議なことばかりである。
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