本書は山崎豊子のベストセラー小説の「沈まぬ太陽」のモデルとされる、日本航空の初代労働組合委員長の小倉寛太郎氏と経済評論家の佐高信氏の対談を中心に構成されている。
興味深い点を要約して御紹介していきたい。
1つ目は「人を裏切りたくないと思った時に人間は強くなるのだ」というくだりである。
自分だけでなく仲間とともに強くなっていく側面がクローズアップされているが、そこに不当人事、懲罰人事を乗り越えてまた小倉氏の生きる強さがあったというのが佐高氏の見立てである。
2つ目は「いや、いろいろ誘惑やら脅迫があったのに、それに敗けないできたのはえらい」という山崎氏の発言である。
ところがそれを小倉氏は特別なことと考えていない。
特別なことをやっているという意識だったら続かなかったと言うのが佐高氏の見解である。
3つ目は「面白いもので、優れた経営者は自分と違ったタイプの人間を育てるし、それから人間的器量の拡大再生産をします。ところが劣った経営者は、自分のタイプでしか後進を引き上げない。しかも、自分より人間的器量が大きい者は排除する。それから経営者の器量の縮小再生産が行われます」というのは小倉氏の発言である。
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