アメリカ文明衰退の真相というサブタイトルがある本である。
なかなかインパクトのある内容であるが、主だったものを要約して紹介していこう。
まずはひとつ目「自動車の偶発事故が刑事犯罪になってしまう怖さ」を指摘している。
普通の犯罪と異なり、犯意は事故が起きた後に発生する。
つまり、自分を守るために事実をねじまげてしまうことを意味する。
また、むち打ち症は当人の自覚症状以外なんの兆候もないため、特定の事件でむち打ち症が派手にマスコミで報道されると、全国各地でむち打ち症の患者が激増するという事実も紹介している。
2つ目は「今まで世界中で行われた公共事業で最大なものは何か」という問い掛けである。
それは、エジプトのピラミッドでもなく中国の万里の長城でもなく、アメリカの州間高速道路(1950年後半)がその答えである。
そして、伝統的な都市集積のど真ん中に高速道路を通したため街を分断し、壊してしまったのである。
3つ目は「アメリカ人の個人家計に占める交通費の比率はほんの17〜18%に達する」というくだりである。
日本では7〜8%だからかなり差がある。
電車賃に対するガソリン代の問題ではなく、クルマ自体の減価償却が大きな差を作っているのだろう。
4つ目は「クルマはエネルギー浪費型の交通機関、そして、スペース浪費型交通機関でもある」のくだりである。
鉄道が1人の人間を運ぶのに必要なエネルギー消費量は車の6分の1である。
また、車では人間1人を一キロ運ぶために占領する面積は鉄道の120倍に上がるのである。
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