ユニクロの急成長ぶりの本質をズバリ言い当てている反面、日本社会の有様についての記述についてはちょっとピントのずれた分析になっているというのが感想である。
ユニクロの成功原因は次の二つであると小島氏は言い切っている。
それは「ゴールデンアローマーケティング」と「足し算、掛け算のマーチャンダイジング」とコンサルタントだけあって、言い方は難しい。
わかりやすく言えば、ひとつは顧客層を限定しないでいつでもどこでも誰でも着られるカジュアル衣料を最低価格で提供することにある。
ゴールデンアローとは黄金の矢、つまり、多様な消費者を横断的に串刺することを意味する。
もうひとつは流行が売上を左右する衣料品の世界において、前年と同じものを改良とラインナップの拡充を重ねて作り続けていく。これが足し算を意味する。
多くの衣料品ブランドが意図して前年の実績を捨てていたのに対して全く逆の手法である。これに店舗を増やして、これが掛け算を意味するが、売上を伸ばしたのである。
上記の2つの特徴は、一言で言えば「顧客を選ばない流行に左右されない常識を超えた服」ということになるが、これが業界の非常識であったのである。
|