著者の鈴木氏は昭和19年岩手県で生まれであるが、デンマークの国籍を取得してからすでに30年超の時が流れている。
本書は消費税率25%を実施し、国民負担率71%という高税率国デンマークの社会システムを紹介している。
ちなみに消費税25%は他のヨーロッパ諸国と異なりすべての物に課税されている。
しかしながら、国民の幸福度ランキングや幸福度調査では1位となっている。
インパクトのある箇所を紹介しておこう。
まず、医療制度における「家庭医」についてから入る。
主治医のことだが、日本と違うのが、国の制度として存在し、1人の医師が1500人ほどを担当し、
その同じ医師が30年以上継続して治療を行なうのである。
また日本と異なり、患者が「注射してほしい」「薬を出してほしい」と言っても、
必要がない限り出さないので、医療費の無駄は限りなく少ない様である。
反面、1人の患者で1億円以上かかる様な治療でも本人負担ゼロで行なってもらえるのである。
つまり、デンマークの福祉政策の理念には「共生」という言葉があるため、
こう言った思い切ったことが可能なのである。
「高福祉」を実現させるためには、当然「高負担」となるわけであるが、これが問題とならないのは、税金を公平に徴収しようとするシステム(つまり脱税が起きにくいシステム)が存在しているからである。
このシステムが「個人登録番号制」と「事業者番号制」である。これにより納税者を一元管理しているのである。
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