事業経営においては成功例からではなく、失敗例から学ぶべきだというのが岩松氏の強い主張である。
失敗例とは普遍的なものだが、成功例はたまたま時代の波に乗ったというような偶発性の強いものも多いからである。
換言すると、経営者とは成功例、つまり、成功体験は語れるが成功原理は語れないのである。
以下本書の中で気になった箇所を御紹介し、それについての私のコメントを付しておく。
まずは「どんなに良い商品を作っても、売り方が悪ければ商品は売れない。商品力で売れるのは全体の3割に過ぎない」である。
この主張の延長線上には、多少商品力はなくてもと来るのだが、それはハッキリ言って間違いである。
多少営業力が弱くても商品力があればというのが正しい。特に高収益会社にするには、商品力は絶対である。
営業力でただただ売上を伸ばしても、利益が出なければ意味がないのである。
もうひとつは「会社の経営において、管理部門には極力カネをかけてはいけない。それより営業や商品開発に資金を集中し売上を上げることに注力するのが優先です」である。
これに関しては、岩松氏は本当に中小企業のアドバイザーをやっているのかと思ってしまった。中小企業の実態は販売や生産(ないしは仕入)にのみ力を入れ、管理が弱すぎるのが問題なのである。
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