過去19年間で650社以上のM&Aを手がけてきたM&Aの仲介会社の社長がM&Aのメリットについて書いたものが本書の内容である。
ただ、現実にM&Aで成功している事例は、かなりレアケースなのではないだろうか。
というのは、後継者がいないから売却をということだが、誰も継ぎたくない様な会社、
つまり、将来性がない会社が売却対象となるケースが多いと思われるからである。
また、買った段階ではそこそこの業績であっても、その時がピークで、少しずつ経営状態が悪化していく様な会社を私自身いくつも見ている。
もうひとつ問題なのは、仮りに買うに値するような会社であったとしても、購入金額があまりにも高過ぎるというケースである。
売り手企業の希望金額を若干値切ったところで買ってしまうのである。対象企業を気に入ってしまうと往々にしてこうである。
多くあるのが、税引前利益の5年分というのが売買金額となるケースである。
これを2年分以下にすべきだという意見を私は持っている。M&Aに限らず投資は2年間で回収すべきなのである。
例えば、あるコンピューターを導入すると、人件費を1人分削減できるとする。
コンピューターが1000万円とし、人件費が1人年間500万であれば、1000万かけた後2年間で人件費が1000万円減少するため、
この投資はOKと考えるのである。
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