本書では第4章「滅びる経済学という宗教」が面白い。以下、副島氏の主張を要約してご紹介していきたい。
日本の仏教は全部で16の宗派があるが、それと同様に経済学にもいろいろな宗派がある。
しかしながら、ケインズ理論以外は全く役に立たないことが、今日のアメリカ経済の状況により明白になっている。
経済政策は「財政政策」と「金融政策」の2本柱から成ると考えられてきた。
アメリカは特に後者の金融政策に力を入れて、国をメチャクチャにしてしまった。
この金融政策の理論的誘導者がミルトン・フリードマンという人物で、その支持者たちをマネタリストと呼ぶ。
金融政策は「金利政策」と「通貨量の調節」の2つから成る。
そして、金利はゼロになり、通貨量は際限なくジャブジャブにしてしまい、経済社会を破壊してしまったのである。
さて、前者の「財政政策」こそがケインズ経済学の神髄である。
これは簡単に言えば、税金で集めたお金をどう使うかに尽きる。
景気を回復させるには、生きるのもやっとの庶民層中心にお金をばらまけばよいのである。
貯め込んだりはせずに、生活費として消費するため社会でお金がぐるぐると回り出すのである。
この貧しい層に直接支給された資金は、必ず社会で循環するという考え方が肝である。
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