<その1>
株式のアナリストである増田氏の日本経済論が本書の内容である。
マスコミなどで流布されている「主流派」の見解とは正反対の主張となっていて面白い。
インパクトのある箇所を何点か要約して御紹介しておこう。
◆オバマのメインスポンサーは二つある。
一つはヘッジファンドをはじめとする金融業界であり、もう一つは日本で言えば医師会に当たる薬品業界。
庶民からの献金は4分の1に過ぎない。
◆アメリカ人の平均寿命は先進国の中でも短い。
医療制度が改善されて平均寿命が延びたとすると、今度は年金制度を根底から組み替えなければならなくなる。
◆リーマン・ショック以来、世界金融危機について「いつごろ回復するか?」と聞かれることが多い。
落ち込んだ経済は時間さえ経てば回復するに決まっているという世界観は、世界標準で考えればむしろ例外的な楽観主義になっている。
◆70年代から80年代までは、価格動向や消費者のきまぐれで輸出額が大幅に変動する最終消費財の輸出が多かったが、
今は70%以上が資本財と中間財(電子部品や工業原材料)である。
これは外国メーカーが生産工程で必ず使うものだから、価格が割高だろうが円高だろうが日本の企業から購入せざるをえない。
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