<その2>
もうひとつ本書の内容で取り上げておきたい点がある。それは地価の問題である。
牧野氏は次の様に記している。「日本では地価は上昇してはいけないのでしょうか。
私には、それは日本はもう成長してはいけないどころか、どんどん衰退していかなければいけないのだと言われているようにも聞こえます。」
戦後、日本は国策として土地の価格を上げて来た。上げることが経済成長につながると信じてきたのである。
それにより不動産業界の人々は、土地の価格が上がることはよいことなのだと完全に洗脳されてしまった。
日本のGDPは約500兆円。土地の価格の総額は約1000兆円で、2倍である。
諸外国はGDPと地価の総額はほぼ同額となっている。世界の標準ではマイホームの価格は年収の3倍程度である。
日本では年収の5倍以上となっている。
百歩譲って、地価の上昇が経済成長に貢献したとしても、日本人の1人1人の幸福には貢献していないのである。
日本の地価は高いのではない。高過ぎるのである。業界関係者も、もうそろそろこの程度の現状認識が出来ても良いのではないだろうか。
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