<その2>
ルールに従った税務調査は合法であるが、ルールからはずれた調査は違法であり、かつ、無効である。
納税者権利憲章とは、本来納税者に対する命令ではなく、税務職員に対する命令のことである。
しかしながら、大綱では「納税者に気をつけていただきたいことを憲章に書く」となっている。
これはおかしくはないのか。本来は税務職員が気をつけるべきことを書くのではないのか。
また、大綱では税務調査を行う際には、「事前通知を行うことを法律上明確化します」といいながらも、
例外規定を作り、一定の場合には抜き打ち調査もありとなっている。1970年台の抜き打ち調査率はなんと75%にのぼっていた。
それが税理士等の個別の抗議により、現在は5%程度に減っている。減っているとは言え、違法な調査が5%も行われているのも事実である。
抜き打ち調査は憲法で規定する基本的人権の尊重を考えれば、明確な違法行為である。
もうひとつどうしても指摘しておきたいことは、税務当局と課税上の問題で争いになった場合のことである。
日本では諸外国と異なり、納税者は税務当局の指摘した追徴税額を支払った上で、戦わなければならない。
そして、裁判等で勝てばその税金は還付されることになっている。
民主主義と言いながらも、国民よりも官僚の方が偉いという前提の上で法律が作られている。
本来は裁判等で敗北したら支払うというのが正しい制度であろう。ちなみに、このことは今回の法改正の中に入っていない。
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